- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532260927
作品紹介・あらすじ
公的債務が膨らみ続ける日本…。財政は債務超過状態に陥り、破綻の危機が迫る。残された時間は少ない。どんな手を打つべきなのか。気鋭の研究者が、財政危機の現状を詳細に説明し、社会保障制度改革など再生のプランを具体的に提案する。
感想・レビュー・書評
-
¥
mmsn01-
【要約】
・
【ノート】
・日経アソシエ7月
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
さすがに大学の先生が書いているだけあって、専門用語と数字による論理的な説明は非常に説得力がありますが、私の知識で細かなところまではとても理解できないというのが正直なところです。実際に日本を動かす政治家や官僚に読んでもらいたいものです。
-
日本の政治家に国家財政を選挙より優先に考えてくれている人はいるのだろうか?
-
ざっと読んだ。
やや難しい。 -
問題点、解決案ともに書いてある
-
図書館にあり
-
本書は、社会保障制度の改革について論じた本だ。増大する社会保障給付に対して手を打たなければ2020年までに日本の財政が破綻する可能性が強いことを指摘し、消費税の5倍増(25%)を主張する。「増税が不可避の場合、『資本課税ゼロ』定理にしたがうと、段階的に増税するよりも、一度に増税した方が、将来の経済成長を低下させるリスクは少ない」(p.39)そうだ。
著者の独自性は、この先にある。「社会保障(対GDP)の充実は、経済成長を安定化させる傾向をもつ」(p.115)、「格差是正と成長の間に存在すると思われてきたトレードオフは『神話』であり、ある程度の格差の是正は1人あたりGDP成長率を高める可能性がある」(p.112)とする著者は、現代日本における大きな問題が世代間格差にあると述べる。その点を著者は「世代会計」と呼ばれる手法を用いて説明している。戦争経験者は例外として除外するとしても、現在の50代は過大な利益を得ているそうだ。
処方箋は次のようになる。まず、固定的な社会保障予算と他の予算とを厳格に区分経理する。前者については政府から独立した「世代間公平委員会」が担当し、政治の介入を防止する。制度としては現行制度と組み合わせやすい「事前積立方式」(簡単に言うと世代間の負担を平準化する方式)を採用し、財政破綻を防いで1人あたりGDPを安定的に成長させる基礎を作る――という筋書きだ。
私自身は、この処方箋の実現可能性は低く、財政破綻は免れないと考えている。たとえば、世代間の公平を達成するためには、民主制においては中高年層が利他的でなければならない。しかし、各世代はそれほど利他的ではないことが「多くの実証分析による結果」(p.133)だと著者は述べている。そもそも、もし各世代が利他的なのなら「バローの中立命題」が成立し(p.130)、内国債でファイナンスされている現状では財政の問題はないことになるだろう。
ところで、同書の第5章で紹介されていた「管理競争」という概念は興味深い。オランダの医療保険で導入されている仕組みだそうで、保険事業者自体は民間でもかまわないが、公平性を政府が担保している。実際、オランダは欧州31カ国の中で医療の質が最も高いと評価されているそうだ(p.166)。 -
経済学は素人レベルの私ですが、「年金保険料負担と受取額は、80歳以上で、6.8倍、今の20代で1.6倍で明らかに不均衡」その年代の方々が生きてきた時代の物価が、インフレかデフレかを勘案しているのか。単純比較できないのでは?「日本国民の年齢の中央値は42歳。若者の意見は通りにくい」20歳以上の年齢の方のみの中央値を見ているか?「将来の年金負担を隠れ債務と考えれば日本は破綻状態」将来国庫に入るべき年金保険料を対応させてカウントしなければそうなるでしょう。企業会計をそのまま当てはめるのは違和感が。「世代間(負担)調整委員会を国の機関として設けよ」メンバー選出、権限の付与、などいかにも難しそう。世代内にも調整が必要なのでは。と感じました。