いま中国人は何を考えているのか

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532261511

作品紹介・あらすじ

日本人が抱く中国人のイメージは、その実像と大きくかけ離れる。「なぜスタバにショートサイズがないのか」「反日デモをする本当の理由とは」…。日中をまたにかけ活躍する著者が、現地での実体験から、中国人の意外な国民性、ものの考え方を詳しく紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者:加藤嘉一(かとう・よしかず) コラムニスト
    内容:ありきたりな国民性論とおもしろい時事評論。

    【目次】
    まえがき(2012年1月11日、北京の自室にて 加藤嘉一) [003-006]
    目次 [007-019]

    第1章 日本人があまり知らない中国人マインド 021
    見栄を大切にする中国、実利を取る日本――スタバでわかる日中の違い 022
    上海万博は中国人で大盛況
    北京のスタバでは客の注文を無視することも
    地域によって異なるサービス水準
    中国のスタバにはショートサイズがない!
    砂糖やミルクはたっぷり入れる
    ブラックで飲む人は日本の100分の1しかいない?
    一大イベントは「ガス抜き」効果? 033
    ワールドカップ一色に染まった2010年夏
    圧倒的に多いサッカーファン
    日本や韓国は応援しない
    中国内にはびこる腐敗
    日本に来ると軍国主義でない姿に驚く 039
    中国人のすさまじい購入意欲
    日本への旅行条件を緩和
    規制緩和の三つの効果
    共通点の多い日中
    中国人にはなかなか理解されない「個人の見解」 049
    尖閣での衝突は小泉首相退任以来の危機
    緊迫したなかで重慶に
    日中の政治システムの違いを明確にする

    第2章 確実に育ちつつある市民革命の萌芽 059
    中国高速鉄道衝突事――人民が週刊誌の記者のように 060
    「ネット版天安門事件」を恐れる中国――次々と削除されたブログと掲示板 062
    グーグル VS 中国政府
    グーグルのジレンマ
    「ネット版八・九」は起こりうるか
    四つの機関がネッ卜を監視――検閲強化で激減したネット利用 069
    重要イベントの前後は統制が強まる
    ネットユーザー実名登録制
    「封じ込め」の効果は絶大
    世論引き締めと緩和のジレンマ
    劉暁波ノーベル平和賞獲得は中国民主化を促すか? 077
    一言で十分に理解できる
    劉暁波のノーベル平和賞に政府内はパニック
    外国人の動向よりも「中国人が中国をどう思うか」を重視
    パンドラの箱は開きたくない
    変わりゆくメディア――民主化の「追い風」にできるか
    ネットとマスコミではこんなにも違う――毒ギョーザ事件に中国国民はどう反応したか? 087
    突然の事件解決
    沈黙を破るワンミン
    民衆の不満を裏付ける結果に
    映画『南京! 南京!』にこめられた中国人監督の本音 094
    少しずつ変わりつつある民衆の歴史観
    日本兵が行った「二つの解放」
    歴史認識を超えた世界
    限られた環境でリスクを背負う中国人

    第3章 実はとても日本が気になる中国人l 101
    日本の首相がころころ替わるのはなぜ?――高校生がつぶやいた一言 102
    鳩山首相の突然の辞任に驚く
    アジア各国は日本の一挙手一投足を見ている
    日本の苦境が政治を壊しているのか
    「頻繁換相」から抜け出すには
    民主主義は国を成長させたのか?  111
    日中ジャーナリスト会議
    中国メディアは政府発表を鵜呑み
    脱GDP主義がはやり
    日本への関心はあまり高くない?
    国際社会から「同情」される海洋国家日本の外交 119
    「日本の政治家は何に忙しくしているんですか?」
    12歳少女からのアドバイス
    ソフトランディングを目指した日本
    利益を得たのは米国か
    日本を仮想敵国にすることには何の意味もない
    あるときは大国、あるときは新興国――中国が陥るダブルスタンダードというジレンマ 131
    気候変動問題について激しく議論
    国益を最優先にした発言
    中国人のコミュニケーション術
    他山の石とする中国のしたたかさ――トヨタのリコールへの対応に学ぶ 138
    トヨタ神話は終わったか?
    米国から直接北京へ
    トヨタ危機は決して他人事ではない
    他山の石とする中国のしたたかさ

    第4章 世界第2位経済国の自信と苦悩 147
    舞い上がる中国――独自の体制に自信を持つ国 148
    還暦を迎えた中国
    内への投資から外への投資へ
    何をよりどころにすればよいか
    中国の独自モデルを歓迎
    北京事務所撤退の大号令――中央のご機嫌取りに躍起な地方機関 156
    北京にある地方政府の事務所は数多い
    地元への便宜をはかるため中央省庁を接待
    積極的に民衆のガス抜きを行う
    「敵」「仲間」というイデオロギー闘争
    腐敗は数千年の歴史に根ざしている
    対日デモは実は中国政府にとって痛手だった 163
    デモは一切禁止
    2005年の悪夢が脳裏をよぎる
    「日本を批判すること」=「政治的に正しい」
    中国はもはや中央集権国家ではない!
    共産党のガバナンスカが著しく低下
    「反日無罪」に矛盾が

    中国での評論4カ条――中国漁船衝突事件後に陥った無力感 175
    日中の緊張と朝鮮半島の緊張
    当事者として日中関係の難しさを痛感
    発言する場がないことへの苦しさ
    「慎重」と「リスク」の頃合いを探す
    日本にもリスクをとった大臣がいた

    第5章 歩いてみてわかる中国の真実 183
    貧しさから信仰も放棄せざるを得ないチベット 184
    『ブラッド・ダイヤモンド』の世界
    チベット暴動は語ってはいけないタブー
    おびただしい数の武装警察
    チベット族は冬は収入がない
    信仰も物質的豊かさが伴ってこそ
    自分の言葉を話さなくなった人もいるチベット 191
    心の中の矛盾を押さえて必死に生きる
    北京もラサもやっぱり「中国」なんだと実感
    国家と民族
    漢族は嫌い
    より良い自治を求めるチベット
    チベットには漢化しかないのか
    「第二のハワイ」不動産バブルに注目――海南島三亜を歩く 199
    常軌を逸するホテル事情
    戦略的に観光島をつくる
    不動産の8割以上が地元民以外の所有
    軍事島の役割も果たす
    「世界の工場」からの脱却を試みる動き――中国で一番物価の高い町、東莞を歩く 206
    中国で最大の工場地帯
    タクシーの初乗り金額は北京の倍!
    風俗都市という一面も
    輸出主導経済も窮地に
    モデルチエンジへの試行錯誤が続く
    給料増への活動に励む出稼ぎ労働者たち――河南省鄭州を歩く 215
    鄭州の重要な位置づけ
    出稼ぎ労働者の異様な求職運動
    沿岸部からの労働者が殺到
    一転して人手不足に
    2008年と2009年の三つの共通点
    2009年には農民工の余裕を感じた
    内陸でも労働者の権利意識が高まってきた 226
    三たび、鄭州を訪問
    消えた「市場」
    「市場」は移動していた
    食いつきのよくない労働者
    地域経済が活性化した証拠
    労働者の「余裕」を感じた
    これからますます注目される内陸部

  • 「中国」と言っても、一枚岩ではないということ。実際に中国人と日々つきあっている筆者の実感をこめたエピソードあれこれ。内田樹氏の講演で加藤さんの名前を知ってこの本を購入したものの、積ん読してて、やっと読了。時機を外してしまいましたが。

  • 「なぜスタバにショートサイズがないのか」「反日デモをする本当の理由とは」…。そんな市井に関する人間たちの話題から、機微に触れかねないような日中間の外交問題、さらにはチベットに赴き、実情を探ったルポ。

    『中国で一番有名な日本人』としていまや日本でもよくマスメディアで発言する機会を見かけるようになった筆者が記す『最新の中国事情』に関するルポルタージュです。

    中国の政界の機微に触れるような話から、
    「なぜスタバにショートサイズがないのか」
    といったような市井にまつわるお話。もしくは中国の若者は
    「反日デモをする本当の理由とは」…。
    といった日中間に関する微妙この上ない話に至るまで筆者の中国を見つめる目の鋭さと、中国は北京大学を皮切りに世界に向けて発信をする筆者ならではの筆致は新しい世代の論客、知識人が出てきたんだなと思うにいたるものでありました。

    筆者のブログや中国版のツイッターはネットユーザーはほぼ確実にチェックされているらしく、中には中国の首脳クラスまでが彼の発言に耳を傾けているという『実績』は体ひとつで13億人の生きる国で生きてきたある種の『強さ』を感じさせるものでした。僕がなるほどと思った箇所は日本側から決して見ることのできないチベットに関する事情で、日頃、観光客に向かって自らの『本音』を決して打ち明けることのないチベット人たちの貴重な『声』が掲載されていて、その部分は非常に参考になりました。

    筆者をいざなったチベット人ガイドが言った『あと20年もすればチベット自治区からチベットなる文化・風習は消えうせてしまうだろうね』という場面は本当に衝撃的でした。そして巻末のほうに収録されている中国の労働者の動向も面白かったです。ここ最近の中国の内部事情に関することを知る手がかりになるかと思われます。

  • 日本の少子高齢化を受けて、中国人労働者が日本に流入してくる可能性はある。
    そういう意味でも、この本を呼んで、中国人を知るいい機会になったと思う。

  • 通信教育の小論文課題に引用出来るかなと考え、読み始めました。

    本の帯には「何故か中国のスタバにはショートサイズがない」という誘い文句らしいものが、、、正直あんまり本筋と関係なかった。ちなみに、中国でショートサイズがないのは単に飲む量が多いからと、中国のコーヒーは薄いらしいからだそうです(コーヒーを飲む習慣がないから、あんまり苦くしすぎても売れないとのこと)

    中国は今まで北京、広東省・Dongguan市に合計で2ヶ月程度しか滞在した事がなく、正直わからない事だらけ。それなのに、現在中国語検定の勉強したり、中国での生活へ着々と準備を進めている訳なので、今中国人が何を考えているのか興味津々なのです。

    一人っ子政策世代である「80後」「90後」世代が何かと問題視されますが、カナダで出会った彼らは真面目に人生を考えている普通の若者でした。ただし、中国国内に置かれた場合、発言や行動がカナダでのそれと変わってしまうんだろうな。国を離れることで、等身大の彼らを見る事が出来るんだろうな。

  • 中国に対するイメージはいろいろあるがその現状を伝える本書。思っていた通りの部分がある一方でやはり思い違いしていた部分もかなりあった。
    個人的にはもっと図などをつけて読みやすくしてくれても良かったかなと思います。

  • 「いま中国人は何を考えているのか」読了。2012年31冊目(31/100)。

    「中国で一番有名な日本人」で話題の加藤嘉一さんの本。中国や韓国との領土問題が気になる昨今、勉強のために読んでみた。

    読んでみた感想としては、だいたい自分が思っていた中国のイメージを同じだったが、中国のネットユーザーワンミン(網民)の力が政権に影響を与える時代になっているのは新鮮な話だった。全体を通して、今までの中国、今の中国、これからの中国が何となく見えてくるような一冊。

    中でも一番印象的だったのは、加藤嘉一さんが中国で発言(言論・評論)をする時に満たそうとしている4つの軸の話。

    1.日本の国益や日本人としての自尊心を傷つけないこと
    2.中国の体制・国情にけるボトムラインには触れないこと
    3.中国の国民に面白い、ためになると感じてもらうこと
    4.中国政府、インテリなどに政策提言として啓発的だと認識してもらうこと

    これが、4つの軸だそうだ。これを守ろうとすると、限られた話になるとのことだが、中国で発言(または中国に対して発言)していくには、これを守ることが本当に必要だと感じる。

  • 大きく3部構成に分かれていて、
    前半はネット大国となり「中国高速鉄道衝突事故」「劉暁波ノーベル平和賞」などで中国民主化の可能性を示唆した内容。
    中盤は「対日」についての内容。
    後半はチベット問題、生活水準や労働環境の苛酷さを取りあげた、前半とは対照的にネガティブな内容、です。

    どこかハードボイルドな文体のお陰でサクサク読みましたが、まず雑感として「中国って、いちいち規模がでけぇ」

    ネットユーザー5億人、2500万人のリストラって、日本では考えられません。
    それで一党独裁体制で丸めこもうってんだから、24時間体制のネット統制に4つの党を要するし、
    反対に「ガス抜き」の代表であるW杯の時期には、ほとんどの会社が勤務時間をズラす(しかも自国は出てないのに!)

    そして、そのパワーが「反日」に向いた時を述べた第4章には少し恐怖しました。
    日本を批判することが政治的に正しい、という方程式を持った国民を率いて、国家運営を進めなければならない中国共産党を、果たして心から批判できるだろうか?
    私の様な何も知らない日本人から見れば「ちゃんと統制しろよ!」と言いたくなる。
    けれどそういったプロパガンダが染みついた国民を、逆撫でしては政権が崩壊しかねず、輸出の面で経済も生活水準も落ちていく。
    そんな気難しい国の統制をするだなんて、何が起こっても何もしない日本をまとめるよりも、よっぽど高度な腕が試されていますね。

    8月に上海へ行った時、お店の従業員の態度の悪さや、電車に乗り込む時のマナーの悪さなどが気になりましたが、青島から旅行で来た大学生の二人は、日本にとても興味を持って「来年北海道に行くんだ!」と話してくれました。
    職場の中国人労働者も、良い意味で自己主張が激しく、勤勉で、そして日本人よりもずっとアクティブで、見ていて元気が出ます。
    こんな平和な日本に生まれた我々と、生まれながらに「抗日戦争における勝利」の意味を浸透させた国民とが、政治的に分かりあうのはまあ難しいでしょう。
    ただ、食わず嫌いでただいがみ合っていても何の意味もなく利益にもならない。
    だから旅先や仕事で会う彼らの良さや日本の良さを伝え合って、「あぁ、意外と良い人たちなのか」と庶民レベルで分かるだけでも十分だと思います。

    考えれば考えるホド、こんなに近い国同士が仲悪いって、不毛!!

  • うーん。ちょっとまとまりがない。この前の方がよかったな。

  • 著者の深い洞察力に感銘を受けました.中国を理解する上で,最良の1冊と言えるかも知れません.

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著者プロフィール

1984年静岡県生まれ。2003年高校卒業後単身で北京大学留学、同大学国際関係学院大学院修士課程修了。英フィナンシャルタイムズ中国語版コラムニスト、北京大学研究員、慶応義塾大学SFC研究所上席所員、香港フェニックステレビコメンテーター。『従伊豆到北京有多遠』、『中国、我誤解イ尓了口馬?』など中国国内で著書多数。日本での著書に『中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。2010年、中国の発展に貢献した人に贈られる「時代騎士賞」受賞。 公式サイト:http://katoyoshikazu.com/

「2011年 『常識外日中論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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