BEソーシャル!: 社員と顧客に愛される5つのシフト

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  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318505

作品紹介・あらすじ

世界は透明になり、ソーシャルシフトする。社員・顧客・社会に愛される企業のあり方は日本経営の原点「三方よし」に通じる。透明性の時代にあるべき企業像とインサイドアウトによる変革の道標を示すビジネスパーソン必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • ”#ESF夏 懇親会で飛び出した「企業も人も、ソーシャルにならなきゃ」という発言から想起して、イベントの帰り道に購入した本。ループス斉藤さんの強い想いを感じる。

    単なるきれいごとではなく、企業は「統治」から「透明」の世界へと活動ステージを移しているのだと僕も思う。
    そんななか、本書では、自分自身をどうソーシャル化していくかが語られており、とても共感できる記述が多い。

    ナレッジコミュニティ、CoP、ブログ、StrengthsFinder、コーチング、SNS、MBB、U理論、ワールドカフェ、利他、人間力、マーケティング etc.
    これまで見て、触れて、実践してきた多くのモノたちが、一つの線でつながりそうな気がする。

    <読書メモ>
    ・今、企業がすべきことは、ソーシャルメディアを利用して生活者の言動をコントロールすることではなく、人々に共感されるように企業自身を変えていくことだ。ソーシャルメディアを活用する「DOソーシャル」から、企業自身がソーシャルメディアに溶け込む「BEソーシャル」のステージへ。やがて、世界はソーシャルシフトしていく。(p.2)

    ★表裏のない人柄、誠実さ、一貫性、言行の一致、実名で自らの考えを発信し、行動することで、人々の間に責任感や誠実さが生まれ、相互信頼が育まれる。ザッカーバーグの発言の原点はここにある。(p.26)
     #おー。翠眼!
     #元となったザッカーバーグの発言はp.24に。「仕事上の友だちや同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる。(略)現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない」

    ・世界でも稀な「企業文化第一主義」。それを実践するトニー・シェイCEOは語る。「結局のところ、会社は人が集まってできています。そして、人は誰でも、しあわせになりたいと望んでいるものです」「ザッポスの長期的なビジョンは、『至上の顧客サービスとエクスペリエンス(体験)を提供する』ということです。ザッポスでは、『どんな会社(企業文化やコア・バリュー)をつくるのか』を重視することで、このビジョンを達成することができると信じています。それが、顧客、社員、取引先、そして最終的には投資家に幸せを届けることにつながると信じています」(p.41-42)
     #Wow!

    ・ミシガン大学のバーバラ・フレデリクソンは、ポジティブ性の10形態として「喜び」「感謝」「平静」「興味」「希望」「誇り」「楽しみ」「鼓舞」「畏敬の念」、そして「愛」をあげている。(p.57)

    ・大胆な変革が必要なのは、他社との戦略的提携
     CEOは、自社の変革にあたって、他社との提携・協業の実現を最も重要視している。(p.81)

    ★本書では、社員の意欲と協働を導くイノベーションを「社員エンパワーメントの革新」、顧客と個のつながりを深化するイノベーションを「顧客エンゲージメントの革新」、パートナーとの緊密な連携によるイノベーションを「パートナー・コラボレーションの革新」と名づけ、ソーシャルシフトの3基軸と位置づけたい。(p.87)

    ★なんと、役員全員の直筆メッセージとサインが書かれた「カルチャー・ブック」が送られてきたのだ。「カルチャー・ブック」は社員がザッポスの企業文化について書いたもので、毎年美しく製本化されている書籍だ。イアン君は大喜び、それ以上に父親の心を貫いた。(略)「私は死ぬまでザッポスで買い物をするよ!」。フェラーラがこの感動をツイートしたのはもちろんのことだ。(p.91)
     #コンタクトセンターでのブランド体験。ポジティブ事例として。

    ★成果やがんばりに対するリアルタイムなフィードバックは、社内の雰囲気を明るくし、かつ目立たない貢献が可視化される一石二鳥の効果がある。東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドの「ファイブスター・プログラム」、リッツ・カールトンの「ファーストクラス・カード」などは有名だ。さらにサウスウエスト航空では、同社の価値観と理念を実践している社員には「勝利者賞」、目立たぬところで素晴らしい貢献をしている社員には「心の英雄賞」、最も優秀な整備士には「最優秀スパナ賞」といったように、報奨にも遊び心を取り入れている。(p.123)
     #「お助け賞」「助かり賞」…

    ・例えば、キンドルの利用者は書籍内にアンダーラインを引くことができ、世界の読者から人気の高い「ハイライト」を共有できる。これにより、amazonは、どの書籍の、どの部分が、どういう読者にとって重要かというPOU(Point of Use)を独占的に取得することになった。彼らはこのデータを書籍紹介に挿入することも可能だし、読者の関心を先取りすることで書籍の売れ筋を予測することも可能だろう。(p.152)
     #コラム5 おもてなしのための情報武装、ビッグデータの活用、より。

    ・実際に企業を構成しているのは人間であり、企業間提携には経営者同士の信頼関係と現場社員同士の信頼関係が欠かせない。社員間のコミュニケーション、コラボレーションを促進するために、バリューチェーン間でクローズされたソーシャルメディアの活用も注目されるだろう。(p.158)
     #このための 企業内(グループ内)SNS!

    ・近江商人を研究した足立政雄博士は、彼らの経営特質を次のようにまとめている。第1に正直正路、第2に倹約、第3に陰徳、第4に中庸、第5に遠慮近憂、第6に地方貢献、そして第7に三方よしだ。(p.177)

    ★社員自らが意識改革を行い、業務効率を上げる。そんな意図で働きやすい環境づくりを提案する制度「ブラックジャック・プロジェクト」も1997年にスタートした。事業拡大や経費削減といったトップダウンの改善ではない。「どうすれば自分たちの仕事が円滑で効率的になり、おもしろおかしく仕事ができるか」という視点で、社員自らが問題を提起して行動する改善活動だ。(中略)表彰されても賞金は出ない。楽しく働ける環境を自らのちから出実現したことがご褒美なのだ。(p.186)
     #堀場製作所の事例。多い時には500チームほどになる。声をあげて同じ問題意識を持つ社員らが話し合うことで、時に優れたアイデアが生まれる。
     ##これをtopicRでやってみたら???

    ★同社小堀社長は語る。「私たちがつくったお仏壇に手を合わせ、涙を流して喜んでくれる人がいます。心をこめてつくるとは、そんなシーンを思い浮かべることができるということ。いのちある材料でできたお仏壇で生きる力を感じてもらえる。ここに私たちの誌名があります。(後略)」(p.196)
     #これ、すごい。そのために、工房へのビデオカメラ設置、注文客へのネット配信、一般の方々へ見学実施、感動ミーティング開始、社会貢献活動(使用済みろうそくの寄贈 等)。
     ##作り手・売り手が、最終的な利用者を感じること。

    ・企業文化主義も、行き過ぎればバランスを崩すということだ。(p.206)
     #リーバイスの例。意外だな。

    ・アウトサイドインがいわば対症療法に相当するのに対して、インサイドアウト、つまり内面から変革していく取り組みは根治療法を目指すものだ。(略)ビジネスにおいて、心にあたるのは「使命や価値観」であり、行動にあたるのは「業務遂行による価値創造」、習慣にあたるのは「社内の風土」、人格にあたるのは「ブランド・パーソナリティ」、運命にあたるのが「社会との共生とビジョンの実現」だ。
     #冒頭で『7つの習慣』を引用して、インサイドアウトを説明。「心が変われば行動が変わる ?」のフレーズを引用して。

    ★ソーシャルシフト、5つのパラダイムシフト(p.220)
     理念:「規律から自律へ」…ブランド哲学
     組織:「統治から透明へ」…社員協働メカニズム⇔社員エンパワーメントの革新
     事業:「競争から共創へ」…ビジネスモデル⇔パートナー・コラボレーションの革新
     価値:「機能から情報へ」…顧客経験価値⇔顧客エンゲージメントの革新
     目標:「利益から持続へ」…事業成果
     #語呂の響きが素敵な5項目のリスト。統治から透明へ、うまいなぁ!

    ・有機的な組織を変革するための6つのステップ(p.238-239)
     1.全社を横断するアイデア・プラットフォーム(オレンジ)
     2.イノベーションを創造する仕組み(ワールプール)
     3.バランスのとれた業績評価(ERM)
     4。組織フラット化と情報共有(シスコシステムズ)
     5.性善説で成果思考な職場環境(ベストバイ、ジェットブルー航空)
     6.価値観を共有し、社員が自律的に行動する組織(ホールフーズ・マーケット)
     #組織抵抗の少ない順に。()内は第4章で示した具体的な事例。

    ・社員満足を測定するアンケート例
     Q1:米国ギャラップ社による「組織の生産性と強い関連性のある質問事項」(p.275)
     #人勢塾で紹介された 12個 を。これはやるしかない。

    ・フェイスブックはWork.comのファーストユーザーで、現在は3900人に及ぶ全社員が利用している。彼らはお互いがどのような仕事をしているかを知ることができるし、素晴らしいことをした人に光を当てることができるようになった。(p.283)
     #後者をうまく運営していければ価値になる。前者が強いと・・・。

    ★社内の透明化を実現したナイアーは、さらに大胆な改革に乗り出す。全社員が社長を評価できるようにし、その結果を社員が閲覧できるようにしたのだ。続いて役員や管理層にもこのシステムを広げていく。共生ではないが、自信のある役員がナイアーに続きはじめ、結果的にほとんどの管理者が受け入れていった。
     #インドの受託計ソフト開発会社 HCLT(ヒンドゥスタン・コンピューターズ・リミテット・テクノロジーズ)の事例。社員数3万人、世界18カ国に拠点を置く企業に、43歳で社長に就任したヴィニート・ナイアー氏のとった数々の施策。ヒエラルキーの大逆転。「それからわずか4年で社員数は5万人、売上高と営業利益は3倍、顧客数は5倍に伸びた」 ← Wow!

    ★規律と自律はトレードオフであり、いいとこ取りをできるものではない。あくまで選択なのだ。未来型組織を選択した企業には、その志において共通点がある。それは、顧客や社員を資源ではなく「人間」として尊重していること。顧客や社員に強制することなく、相手の立場でものを考え、いかに貢献できるのかを真摯に求め続けていること。そして社員を信じる強い意思を持っていることだ。(p.304)
     #人間として尊重する。貢献を求め続ける。社員を信じる。

    ・未来型組織、「6つの特徴」(P.307)
     ・トラスト    :透明性、健全な社風による相互信頼の醸成
     ・コラボレーション:社員の自由闊達な交流、情報共有、共創を促す職場
     ・チーム     :小さな自律的組織による顧客経験価値の創造
     ・ユニファイ   :使命、価値観、目標共有によるチームの全社調和
     ・イノベーション :自律的に全社からイノベーションが孵化する仕組み
     ・フィードバック :バランスのとれた指標、ボジティブな相互評価

    ★僕の目の前には数日前までここにあったものが、何もない。だから「廃業」とポツンと言った。そしたら息子はそれを許してくれなかった。「再建する、必ず。だから、社員は解雇しない。会社も町も復興する」(p.319)
     #八木澤商店ブログ「八代目日記」より。 くぅ?。

    ★今、僕たちに大切なことは、そこから一歩踏み出して、日本の原点に戻り、日本人としての誇りを取り戻すことではないだろうか。これから訪れる新しい時代は、まさに僕たち日本人が理想としていた世界を具現化していくことに他ならない。それをみなが自覚して、力をあわせて、幸せに溢れた新しい日本をかたちづくっていくこと。そして世界をより良くしていくことだ。社内政治はもういらない。お客様のため、社会のため、世界のために、どのように貢献するかを考えよう。(p.328)
     #斎藤さんの熱い想い。

    ★遠く離れた岩手と茨城ですが、人と人がつながることの喜びを再確認しました。誰かの役に立ちたい、そして自分も成長したいと願うのは人間の自然な気持ちなのだと想います。(p.334)
     #老舗スーパーチェーン カスミのソーコミ マネージャーの高橋さんのセリフ。
     #とても強く共感する。今なら、オレに出来るだろうか。→★オレにしかできないことがあるとすればこの領域だぞ。

    ・時は経ち、ソーシャルメディアの時代。人々はつながりを取り戻し、ビジネスにおいても社会規範に基づく行動が期待されはじめた。社会規範はロイヤルティを育て、社員の協働を促進し、結果的に事業成果を高める効果がある。(p.338)
     #本当にそう思う。技巧ではない。戦略だけでもない。そういう世界を前提に考えなくっちゃ。


    <きっかけ>
    ・Enterprise Social Festival 2013 懇親会で、何人かの方と話すなか「ツールもきっかけとして重要だけど、いちばん大切なのは中にいる人間がソーシャルになることだよね!」と意気投合。その帰り道、「まだ読んでなかったけど、まさにこの本のことだよな」と思って購入。”

  • 心に響く良書。繰り返し読んで消化したい

  • 【読書その258】先日参加した勉強会でお話を聞いた、(株)ループスコミュニケーションの斉藤徹氏の著書。企業の目線でいかにソーシャルメディアを活用するか。

  • たくさんの企業の経営の取り組みが載っていて、充実の内容でした。
    社員が幸せであることで、また顧客も幸せに導くことができるのだなぁと。
    たくさんの分析や例示を含んでおり、何度読んでも気付きがありそうです。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:336//Sa25

  • ソーシャルによる企業への影響
    プラス、マイナス面それぞれ例示があり、わかりやすい

  • 最近のビジネス書の内容をかいつまんで知るための本である。また、作者の価値観には大変共感も出来る。

    問題は書名に、ソーシャルと付した事だと思う。あくまでも道具であり、きっかけなのだろうが、ソーシャルならではの気付きが安直過ぎる気がする。

    端的に言えば、当たり前のこの事にソーシャルと名前を付けただけである。プロモーションの問題の様な気もする。そういう意味で内容が上手くタイトルに反映していない残念な本であると思う。

  • 図書館の返却期日までに読み終えず返却…買おうか、また借りようか検討中。

  • 前書であるソーシャルシフトとともに内容的にとてもいい本だと思いました。
    特に第2部ソーシャルシフト革新の3基軸にかかれてある
    社員エンパワーメントの革新・顧客エンゲージメントの革新・パートナーコラボレーションの革新は読みごたえある内容が多くあるかと思います。
    一部の仲間で悩んでいた人にお勧めしたいと思いました。
    後、5つのパラダイムシフト『規律から自律へ』、『統制から透明へ』、『競争から協創へ』、『機能から情緒へ』、『利益かr持続へ』もいいと思います。

    ただ。。。
    内容はいいことが多いと思いますが、その要因がすべてソーシャルメディアとからんでいるという論調には疑問です。なんでもかんでもソーシャルってつけて述べるのはどうかと思います。

    まあでもこの本とソーシャルシフト・Openリーダーシップの3つの本は読んで損はしない本かと思います。

  • ソーシャルシフトを書いた著者が、実際のソーシャルとは何かということを、具体例をもって証明しようとしている本。

    具体例であるので、どうしても特に日米の企業に焦点を当てて、往来の企業とは異なる方法、異なる対応で企業価値を上げている成功例・失敗例をあげているという内容になるので、理論よりも実例集になっている。それがわかりやすいとはわかりやすいが、すべての企業がこのようには運営できないだろうなとも思ったりもしたりした。企業、お客、世間、すべてが満足することがよいことであるという結論にはおおむね反対ではないが、それだけでは生活できないところもあるのも真実。

    あとがきに書いてあった、人は市場規範(経済的な面)社会的規範(社会の一員としての面)があると書いてあり、会社から自宅に帰るときに切り替えると書いてあったがその通りだと思った。そのような意味での指摘は正しいと思う。その意味では、一読してもよいと思う。

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著者プロフィール

さいとう・とおる
1958年生まれ。1982年西武百貨店入社。
流通産業研究所、パルコを経て
1997年大手広告会社入社。
現在、研究部門で生活者・トレンド研究、消費・流通などの
分析を行っている。
著書『吉祥寺が『いま一番住みたい街』になった理由』、
編著書『超高齢社会マーケティング』ほか。

「2017年 『ショッピングモールの社会史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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