マネジメント・テキスト ビジネス・エコノミクス 第2版

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532323806

作品紹介・あらすじ

吉野家の牛丼の値付け戦略のねらいとは? なぜコンビニは日本で定着したのか? なぜ、コストコはなぜ会員制なのか? なぜユニクロとニトリは流行るのか? なぜサントリーのセサミンはネットでしか売らないのか? なぜ、業界1位の企業をひっくり返すのが難しいのか? ドトールとスターバックスの違いの理由は?

◆ビジネス界を代表する人々との豊富な接点をもち、企業の動向に詳しい伊藤元重教授が、価格、マーケティング、流通、競争、戦略、消費などをめぐる企業の豊富な事例をもとに、価格理論、ゲーム理論、情報の経済学、行動経済学、産業組織論などのミクロ経済学の基本コンセプトがどう応用されているのか、また、応用できるのか、やさしく、たっぷりと解説します。ビジネスの現場で日々起こっている興味深い現象の背後にある理屈が手に取るようにわかります。知的刺激を得られること間違いなしです。

◆経済学を土台にしてビジネスを見れば、企業や人々の行動、政策の動きをより「深く」「広く」理解することができます。たとえば、金融界のビジネス慣行も、宣伝広告の社会的な意義も、不完全情報の理論という考え方で説明できます。また、人々の(必ずしも合理的ではない)クセを分析する行動経済学は、マーケッティングの微妙なテクニックから株式市場におけるバブルの生成にまで考察を広げることができるのです。

◆ビジネスの世界での事例をミクロ経済学の素材として提供することで、より血の通った経済学を学ぶことができる本です。また同時に。経済学の考え方を利用して、ビジネスの世界への関心を一層深めることのできる本です。

◆AI、IoT、ビッグデータなどIT・デジタル化、イノベーションの進展やネットビジネスの興隆、サブスクリプションなどのビジネスモデルや気候変動問題への対応などの新しい話題、行動経済学などの理論の進展などを踏まえて、企業の事例・戦略などの解説部分を刷新しています。旧版よりボリュームも大幅に増やし、内容をより充実させています。

感想・レビュー・書評

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  •  「ビジネス・エコノミクス」というタイトルの本書においては、ビジネスー企業の活動、競争、戦略、ビジネスシステム、産業などーの現場で起こっている様々な現象を体系的にまとめ、その見方を提供することを目的としているとのこと。

     第2版の刊行は2021年、日々身近に目にしている企業活動が具体的な素材として取り上げられているので、内容を興味深く読み進めることができる。例えば、吉野家の牛丼の価格を例にして、需要の価格弾力性と価格の設定付けの考え方について学ぶことができる。流通問題を取り上げたChapter2では、ユニクロやニトリのようなSPAと呼ばれる小売業者が、商品の開発から生産の委託・流通まで自らが管理してやるビジネスの台頭、従来の主流であった問屋を中心とした流通チャネル、成熟市場となったコンビニの今後などについて説明がされる。そしてChapter3では変わる市場のあり方として「中抜き」と問屋機能の変化、ネットによる新たな流通形態の登場等が紹介される。またビジネの現場での経済現象を分析、理解する上で有効なゲーム理論と行動経済学の知見が取り上げられる。そして最後にイノベーションが日本ではなかなか上手く進展していないことが説明されるが、日本のビジネスは果たしてどうなるのだろうか、そうしたことを考えさせられる。

     取り上げられている素材は興味深いし、記述も平易で、とても読みやすい。ビジネスに関心を持つのに大変参考になる良書だと思います。

     
     

  • 伊藤元重氏によるマネジメントテキスト
    経済とビジネスを結びつけて語られており、読みやすく興味深い良著
    経済の構造から過去から現在への流れを語っており、大局観に。

    メモ
    ・価格にはじまり、価格に終わる
    ・需要の価格弾力性 高い場合は薄利多売を。一方でブランディングやストーリーか、ターゲット分けなどでこれを下げることも重要。
    ・安売り、価格設定の類型 
      略奪的ダンピング 競争相手を倒す
      ロスリーダー 目玉商品 顧客を店に惹きつける
      フォワードプライシング 将来の費用低下を織り込んだ価格設定
      スイッチングコストのもとでの顧客取り込み

    ・流通の歴史
      流通網が不十分な時代 まちの小売店舗 → 大規模店舗 →Ecommerce

    ・ハブ&スポーク → 間が介在することによる流通の効率化

    ・コンビニエンスストアの普及 近代経営システムPOS フランチャイズの仕組み
      時間コンビニエンスの高さ 品揃え、営業時間のメリット

    ・補完と代替。補完は事業機会において非常に重要な概念。
           代替性が強いものはビジネスとしての成立難しい。

    ・ネットによるさまざまな領域での中抜きの発生構造。

    ・問屋の持つ機能 物流ロジスティクス、商流、問屋金融
      →情報ネットワークにより、商流と金融機能は不要に

    ・サブスクリプション成功の3つの論点 
      料金設定 定額制と限界費用の整理
      顧客との継続的な関係 顧客との情報共有、還元
      顧客の囲い込み 顧客に利便性を提供し続ける

    ・ペイオフ制度はモラルハザードを抑止し、危なそうな銀行を淘汰するための仕組みとも

    ・参入障壁を高める6つのパターン
      規模の経済性 経験曲線効果
      製品の差別化 ブランド
      資金条件 
      資源利用の独占権確保
      流通チャネルへのアクセス
      公的規制
    ・ポジショニングの三類形
      特定の商品やサービスに特化する。ユニークな製品やサービスを出す
      深掘りする顧客に焦点を定めて徹底的にサービスする
      顧客へのアプローチを戦略的に組み立てて、特定の顧客、あるいは特定のニーズを取り込む

  • これは面白い。
    経済学をリアルの世界の話を交えてわかりやすく解説してくれる良書。

  • 価格は、大事。
    二部料金制は、ベースとなる売上を確保しつつ、
    さらに積み上げていくことができる。
    入場料に加え、そこに施設利用料を取るなど、
    携帯料のようなもの以外にも応用される。

    マスマーケティングの仕組みを
    理解すると応用がきく。
    製造業がいて、卸がいて、小売がいる。
    蛇口をひねると、製品たる水がこれらを通っていく。
    今までは、製造業と、小売業の組み合わせが
    膨大でとりまとめることそのものに
    価値があった。
    ITの力で、それが解消されたことで、
    中抜きが起きる。
    また、小売も、他と同じものでなく、独自のものを
    扱うべく、直接製造と組む。
    また、自分たちで製造する。

    ファイブフォースも、もとは経済学。
    どうやって、それぞれの交渉力をおさえるか、が
    参入障壁を築くコツ。
    顧客と、長く関係を築けるか。
    競合の意思を挫くための先制攻撃かできるか。

  • ユニクロやニトリがとっている強者の戦略がなるほどでした

    「ユニクロやニトリがやっているのは最初に小売価格ありきで、それに応じて生産するための仕組みを検討する。そのポイントは、コストを下げるところまで生産量を増やして売れるかどうか、になる」

  • 経済学や経営学の門外漢の私からすると、とてもわかりやすく、面白かった。
    浅くひろく

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/322138

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/888031
    多摩にもあります。

  • 初心者向けの経済学の紹介本
    日本企業の事例を中心にしているので、身近で分かりやすい

    価格決定のメカニズムなど分かっているようなことも為になった

    コロナやDXのことも触れられているが、変曲点になりうるぐらいしか述べられてはいない。広く浅くというかポイントを押さえた内容かと。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50265478

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著者プロフィール

東京大学経済学部卒。経済学博士。現職:東京大学名誉教授・学習院大学国際社会科学部教授。経済財政諮問会議議員、復興推進委員会委員長などを歴任。専門は国際経済学。著書に、『入門経済学』(日本評論社)、『ゼミナール国際経済入門』『ビジネス・エコノミクス』『ゼミナール現代経済入門』(すべて日本経済新聞出版社)など多数。

「2022年 『図解 はじめて学ぶ みんなのお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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