「人口減少経済」の新しい公式: 「縮む世界」の発想とシステム

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 189
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532350956

作品紹介・あらすじ

個人の生活から企業の経営、地域経済、政府のあり方まで、必要な変革を描き切る。

感想・レビュー・書評

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  • 人口のシュリンクダウンはどんな未来をもたらすのだろうか?

    この本、めっぽう面白くはあるのだが、その観測はいささかバラ色に過ぎるような気もする。

    小泉“独裁”政権の動向も含めて、この先には暗雲がたちこめているように思うのはマイナス思考なのだろうか…。

  • 2004年発売の本であるが、現在読んでもその内容は新しく感じる。2014年に人口減少の危険性を訴えた増田レポートよりも10年早く警鐘を鳴らしていたのに、その趣旨が、現在の政府の対策に反映されているとは思えない。

    第6章人口減少経済への羅針盤の、2地域経済システムの再構築が示唆に富んでいた。本源的所得(移出所得)確保の必要性を訴えて、工場誘致や補助金、公共事業でもよいが、その問題点を指摘しつつ、地方広域経済圏の形成を提言する。現実においては、近いほど地方間のライバル意識もあれば、気候や都市基盤も似ていることから、地方間の分業は難しいと思われるが、地方同士の移住者の取り合いに終始している地方創生策に対する一つの解として注目したい。

    その他、気になったところ。
    P58 不況による経済の縮小が需要側から起こるのに対して、人口減少による経済の縮小は供給側から起こることを説明している箇所。
    P60 各国のデータから労働力不足に対する対策としての「省力化」が日本においては、過剰投資となっており、効率的な投資になっていなかったことが示されている。
    P61 「中核となる労働力の縮小傾向に対しては徹底的な省力化によって生産水準の維持拡大を図り、その結果としての付加価値率の大幅な低下については、市場メカニズムのもとで得られる利益率を大きく超えた企業利益を獲得することによって企業の維持存続を図ろうとしたというのが、80年代初頭以降の企業行動だった」(抜粋)

  • 様々なグラフを用いて、展開されておりとても読みこなすには難しかった。
    単純に労働者が減るからGDPが減る。
    企業は生産能力の縮小を図らなければならない。
    地方の方がすでに高齢化を経験しているためダメージは少ない。
    ただし地方においても都市部との格差は非常にでてくる。
    余暇時間の増加に価値を見いだせば人口減少社会においても豊かな生活だと考えることが出来る。

  • 日本の少子高齢化による人口減少の原因が明確に書かれた著作。田の先進国等と比較し、日本の戦後社会の施策が、今日の日本特有の高齢世代のシェア急拡大によるものだとの主張。一読をお勧めします。

  • 少子高齢化が進み、総人口が減っていくと、売れるものも少なくなっていく。
    そうすれば企業はおしまいだ!・・・ではなく、労働人口も減っていくから、豊かさは変わらない。
    企業は労働人口にあわせて、設備投資も減らしていかなくてはいけない状況となる。海外に目を向けて売り上げを増やすか、国内中心に様々なニーズにこたえられる体制を作っていくか。これからの企業は大変だ。
    一方で働く人はというと、より高い賃金を得るため企業間移動が盛んに行われ、終身雇用も崩壊し、少ない労働人口では年金も期待できないし、貯蓄率も減っていく。人々の方向性はスペシャリティを高めてより高い賃金を求める戦士となるか、余暇を自由に過ごすライフスタイルを描くかは自由。

  • 年金まわりの制度について勉強してた時に読んだ本。かなりしっかりした内容だった。

    ・少子化と言っても生まれてくる人の数はそこまで減っていない。日本とドイツだけが人口調整を実施し、結果的に高齢化に苦しんでいる。
    ・企業の内部留保は設備投資に回るのが通常だが、マクロ的に見て設備投資の必要性がなくなったため、そのカネが遊んでいる。消費に回らずに過剰貯蓄状態。
    ・省力化によって生産性は上昇するがやがて上昇率は逓減。一方で生産コストは比例増。よってその差分である付加価値が減少。省力化の極大値を超えた分は過剰投資
    ・適切な生産量と効率的な生産、適切な賃金水準。
    ・高齢化が深刻なのは大都市圏。一方の地方圏は人口は減少するが生産者人口はそこまで変化しない。

  •  少子高齢化が進む日本に未来はあるのだろうか。日本の人口が減ることで当然、全ての商品の消費は激減するだろう。労働力を補うために高齢になった人たちを雇い入れたとしても、生産性は振るわない。それを補うために設備に投資し、市場を海外にまで広げられるのは一部の大企業だけである。将来を見据えると、そこまでして大企業が日本に留まる理由はない。かといって、海外から移民を受け入れるにはリスクがありすぎるのだとか。小さな国家を良しとし、小さくてキラっと光る老人国家として生きていくしか道はなし。

  • 仮説の論拠が後半になればなるほど、曖昧で、羅針盤にもなりきれていない印象。しかし、前半部はこれまでの流れを復習できるないようであり、人口が減少して行くという事実を理解できる。さすがに30年後を描き切るには切り口が弱過ぎる。

  • 処分済

  • この本は、2009年に今までの人口増加を基にした制度設計が崩れ、
    今後の縮小される日本経済を書いているのですが、
    特に小さな政府を進める必要性については、注目した記憶があります。
    皆さんすでに読みましたかね???

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著者プロフィール

政策研究大学院大学名誉教授

「2015年 『東京劣化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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