市場は間違える、だからチャンスがある: 渾沌を生き抜く投資論
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2009年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532353865
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
著者は、スパークス創業者の阿部氏である。
決して完璧と言える経歴を持たない氏が、アメリカで企業し、紆余曲折を得て
スパークスを立ち上げ、現在の企業まで成長させた事に対して、個人的には尊敬に
値すると感じている。そんな氏が執筆した本は読まないわけにはいかない。
内容は、氏の人生の過程と氏の投資哲学とその基本的モデルだ。
彼の変化は主に、ソロスとの出会いから始まる。ソロスと出会い、鍛えられ、
投資を学んだ。それは再帰理論である。それを元に独自に情報を付加し、
彼のモデルを作った。というのが大まかな流れ。
まぁ、客観的に評価すると半分はスパークスの宣伝だ。(笑)
けど、それなりに彼の主張を整理してみると、
1.市場はファンダメンタルから大きく乖離する場合が往々にしてある。
それは、投資の長グレアム、フィッシャー、バフェットそしてソロスも認める事実だ。
2.アクティブ運用はなくならない。パッシブはただ乗りに過ぎない。
3.今後はデフレ傾向からインフレ傾向になる。
以上の3点くらいか。まぁ付け加えるなら、
メガトレンドとして中国を含むアジア成長とエネルギー需かな。
これらの考えは、投資家の中でも投資のプロには多いな助言となり得るが、
個人投資家には無理な理論である。それは情報量とその分析量が絶対的に足りないってのが
大きなポイントだ。
簡単に言えば、彼の主張は”さやぬき”である。それは一つの方法として明らかに正しい。
が、上記4投資賢人が認めるように、ファンダメンタルに再帰するのも正しい。
要は、投資哲学をどのように設定し、その上でどのような戦略を決めるのか。
それだけの話である。戦略はどれが間違いでも、どれが正しいとも言えない。
どの戦略にするのか。そして戦略を決めたら徹底的に守る。それだけだ。
しかし、久しぶりの投資系の本はやはり面白いし、氏の人生の一部を知れた事は
かなり自分の人生を省みる良い刺激になったと思う。
お薦め出来る。
以上