バーゼル3は日本の金融機関をどう変えるか: グローバル金融制度改革の本質

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354619

作品紹介・あらすじ

IFRS、ボルカールールなども踏まえた一連の制度改革が、どこまで、どのように影響するのかを実践的に解説。メガバンクの実数値を用いて試算するなど、影響を具体的に予測する。

感想・レビュー・書評

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  • 本作は、著名証券アナリストによるバーゼルIIIという国際的な金融ルールについての解説書・経緯書であります。

    ちなみに証券アナリストってのは業界のトレンドや個社の株価予想とかしますが、ランキングがあるんですよね。

    私はかつて日経ヴェリタスという金融系の週刊新聞を取っていました。定期的にアナリストランキングというものが掲載されており、筆者の一人、野崎さんはよく名前をお見掛けしておりました。・・・って思ったら野崎さん現在は大学教授とのこと。失礼しました。

    ・・・
    ご存じの方も多いでしょうが、最も直近の規制の原因は、ザックリ言えばリーマンショック。過度なリスクテイクを行う金融経営に対し、より厳格な国際的なルールを適用しよう、というものです。その内容について書かれています。

    もちろん、以前から国際的なルールは提案されており、それがバーゼルIとかバーゼルIIとか呼ばれていました。筆者はいみじくもバーゼルIIまでは性善説でルールが作られ、バーゼルIIIは性悪説に基づいた設計、とおっしゃっていました。バーゼルIIでは経営の幅も持てるように割と自由な規制設計だったと。バーゼルIIIは厳しく定義がされており、抑制的・厳密・パターナリスティックな設計であると。言いえて妙です。

    ・・・
    そのルールの中では、自己資本比率規制が特徴的です。
    一般の自己資本比率の場合は「自己資本÷総資産」で表し、借金の割合の多寡をみたり、業界平均から高いか低いか等を見たりすると思います。

    金融機会の場合は「自己資本÷RwA(Risk-Weighted Asset)」のフォーミュラになっております。より資産サイド(何で運用しているか)を見て、こちらに掛け目をかけます。同じ一億の貸金でも、政府に貸すのと赤字企業に貸すのとでは同じ一億円ではない、という考えです。ヤバい会社ほどRwAがが大きく、分母が大きくなり、比率を押し下げることになります。また自己資本にもTierという区分を設け、より厳密な意味での資本を規定しています。

    この比率をグローバルに規定することで、万が一の時のためにきちんと自己資本を用意し健全な運営を促すということですね。

    そのほかより手元流動性について目を配るためのLCRやNSFRについての説明もされております。

    まあ殆どの方には興味はない部分かとは思います。

    ・・・
    日本のメガはかなり規模が大きく複雑ですが、規模が小さくて構造が単純な金融機関(スタートアップ、ネット金融機関、海外子会社・現法)ならば、自分でエクセルでモデルでも作れるのではないかなあと感じました。私も手がすいたら作ってみて、専門部署とのリコンサイルでもしようかなと少し(だけ)考えました。完全に趣味の世界ですが。

    ・・・
    ということで金融業界の方以外、ほとんど関心を喚起できなさそうな本でした。

    金融業界でも、リスク管理部門や市場部門にいない方、当該部門にいるもののまだまだ勉強が必要だという若い方には参考になるかとは思います。

  • バーゼル3を理解したくて読みましたが、まだ全然わかりません。具体的に理解したいのは住宅ローンの証券化です。お勧めの本あれば、教えてください。

  • 4〜5

  • 読みやすい。

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著者プロフィール

一橋大学大学院経営管理研究科特任教授、一橋大学大学院フィンテック研究フォーラム代表。
一橋大学大学院修了、博士(経営法)。シティグループ証券取締役副会長、経済産業省企業価値研究会委員、内閣官房経済部市場動向研究会委員、北京大学日本研究センター特約研究員、慶應義塾大学講師などを歴任。
2006~2010年日経アナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。

「2020年 『金融が解る 世界の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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