「作りすぎ」が日本の農業をダメにする

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354770

作品紹介・あらすじ

すべての原因はここにあった!「過剰生産=価格の低下」が農家を苦しめる。日本だけでなく、世界中で食料が過剰生産されているという事実を直視せよ。時代に合わなくなった農業政策の無駄を排し、強い農業を作るための施策を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 世界には食料が足りないと強く思い込んでいましたが、そうではなく、むしろ作りすぎて余っている現状を例とその弊害ともにわかりやすく説明されています。
    トウモロコシを用いたバイオマスエネルギーでエタノール生成し始めたから、食料が不足しているとか、ほんとに思ってました。
    世の中勉強しなきゃ、まんまと騙されてること多いんだなと痛感しました。。
    日本の農業への提案など、非常に勉強になる本で、万人にオススメしたい1冊です。

  • 「作りすぎ」と指摘されれば「確かに」と感じる。スーパーマーケットには食品が満ち溢れ、コンビニ等でも賞味期限切れの弁当を廃棄する食品ロスに痛痒を感じない。家庭の冷蔵庫には野菜が傷むまで放置され捨てられてしまう。フランスのように農業従事者が少なくなり、農地が集約化されて効率的な農業になるには、現在の農家の土地所有に対する呪縛を解くという難題が立ち塞がる。国内の生産と、海外からの輸入のバランスを考えた食の安全保障の難しさを感じた。

  • データに加えて政治的、歴史的、地理的背景まで解説されて、さらに読みやすい!

  • 農水省農業環境技術研究所の勤務歴ある著者(現東大大学院准教授)が、データをもとに現代農業の本質を解明しようとする。農協、三ちゃん農業、非効率的な米作の問題点は、著者指摘のとおり(あまり新味はない)。が、その処方箋は一風変わっている。「輸入自由化を認める一方、省力化・大規模化(農村人口の減少・地方衰退の容認)による国内競争力強化と、大規模土地集積が不要な野菜等の国際競争力を高めて輸出産業化する」見解。ただし、この方向性の政治的解決が困難なことを見越し、米作をTPPの例外とする多国間協議に臨むのを別案とする。
    個人的には前者を目標にしてほしい。米の国内競争力の回復は必要と考えるからだ。なお、以下気になる点を残しておく。①人口が増加しつつあるアフリカは飢餓ではない。飢餓があるのは内戦等で政治的に不安定な地域だけ。②農産物の価格高騰は金融業界の資金流入による。農産物価格は下落傾向。③オランダ農業を参考にすべき(なお、オランダは穀物自給率は低い)。④国内の米市場は規模が小さく、諸外国から見て自由化・参入メリットがないから、TPP除外の交渉妥結の可能性はある。
    ⑤民主党の農家戸別補償制度は、欧州のそれとは似て非なるもの。⑥仏の農業規模は、米のそれの2分の1程度とし国際競争力を保っている。他方、日本の農業の就業人口は、欧州諸国に比べて多く、省力化・大規模化が図れないまま低い生産性に止まる。

  • あとで考えます。

  • ①世界的に農産物は足りていて、今後も不足しない ②土地集約は今後も難しい ③米を除外してTPPに参加し、省力化をすすめるのが妥当 ( ´_ゝ`)

  • 世界人口が増えているのは、化学肥料や機械化などの効果で、大量に食料を供給できるようになったから。常に飢餓死してしまう人たちはいるが、それは1950年以降劇的に減った訳で、突発的に起こるアフリカの飢饉は、政情不安や紛争などの人災が原因。

    現代は、食料は簡単に大量生産できてしまうので、農業分野では雇用は減る一方。日本も米がたくさん、出来すぎてしまうので減反政策。

    確かに食料危機を訴える説よりも、こちらの方が説得力があります。

  • 技術革新(化学肥料、農耕マシン)により、収率が上がり少ない人数で大量の農作物が収穫できるようになった。食料が余っているから値が下がり、だから農家は苦しいのである。
    穀物はアメリカのような広い土地での栽培にあっている。日本のコメ農家は大規模化しなくては生き残れない。農業人口をもっと減らして日本は野菜・畜産など土地が狭くても効率よく経営できるものにシフトすべき。

    牛肉1Kgを得るのに飼料8Kg必要で効率が悪い。豚肉だと4Kg。鶏肉だと2Kgで済む。それでも肉食が増えているのは食料が余っている証拠。
    ほんとの飢餓(生きていくための食料が足りてない)のは内戦などの一部地域のみ。「10億人が命の危険」というのは栄養バランスが悪い地域のこと。

  • 2011年12月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号:611.3//Ka97

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著者プロフィール

川島博之(かわしま・ひろゆき)
ベトナム・ビングループ主席経済顧問、Martial Research & Management Co. Ltd., Chief Economic Advisor。1953 年生まれ。1983年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授を経て現職。工学博士。専門は開発経済学。著書に『日本人が誤解している東南アジア近現代史』(扶桑社新書)、『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』『習近平のデジタル文化大革命』(いずれも講談社+α新書)、『「食糧危機」をあおってはいけない』(文藝春秋)、『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』(日本経済新聞出版社)等多数。

「2021年 『中国、朝鮮、ベトナム、日本――極東アジアの地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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