G20先進国・新興国のパワーゲーム

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354794

作品紹介・あらすじ

先進国の低迷と新興国の隆盛で拡大を続ける国際不均衡。世界新秩序の覇権をめぐる各国の攻防と協調、そして迷走の最前線を解説。

感想・レビュー・書評

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  • [次の世界の、次のフォーラム]いわゆる発展途上国の急激な成長や、グローバルレベルで広がりを見せた金融危機を端緒として、その役割に大きく注目が集まったG20。効果的な合意をそのフォーラムは達成することができるのか、そして今後果たすことが望まれるものは何かといった点に焦点を当て、多極化時代における国際協調の在り方を問いかけていく作品です。著者は、日経新聞の記者として働きながら、G20の歩みをつぶさに見てきた藤井彰夫。


    今ではたびたびニュースに登場し、その名を聞くようになったG20ですが、その成り立ちの過程に各国の駆け引きや国際金融を取り巻く環境の急激な変化があったことがよくわかる一冊です。そして、協調を求めながらもその中で自国の利益と影響力を拡大しようと目論む各国首脳のバトルも見所の1つです。個人的には、G20の立役者の1人でもある英国元首相のゴードン・ブラウンの頭のキレっぷりと先の読みっぷりに衝撃を覚えました。


    多数国間協調と書くと、それだけ国家という単位の重要性が衰えているように感じていたのですが、下記に抜粋したとおり、何の強制力も持ち得ない枠組みにおいてはその影響力や役割を保持するために、各国がそれぞれの領分をしっかりと勤め上げなければならないことがよくわかります。G20が過渡期的なフォーラムになるか否かはまだ不透明なように思えますが、どういう形で世界の一片が回されているのかを知る上で良い勉強になりました。

    〜G20での政策協調が機能するには、各国が責任ある経済政策運営をする能力を持つことが大前提となる。〜

    こういうフォーラムを取り上げる本はあまり読んだことがなかったので新鮮☆5つ

  • G20発足の背景を解説。アジアの成長とともに、世界の経済の重心が東へ移動し、もはやG7では世界を救えない状況にある。今日の大国と明日の大国が今後の経済発展のために議論の場を設けた。

  •  本書は、非常に専門的で予備知識なしに読みこなしにくいが、国際政治とは何かとか、どう動いているのかを知るには良い本であると感じた。
     そもそも一般の人間は普通「G20」にそれほど興味をもたない。せいぜい首脳のパフォーマンス程度にしか見ないと思うが、よく考えれば、国際政治とは場合によっては戦争をも選択しなければならないような弱肉強食のシビアな場所である。日本も過去にいくつかの戦争を経て現在があるわけだから重要なものであるが、普通あまり関心を持たない人が多いと思う。かつて「G7」というのがあったが、いつのまにか「G20」になったのかというのが一般の感覚だろうと思う。
     本書によると、1973年におきた石油高騰による第1次石油危機への国際強調を目的として、1975年にランブイエで、米国・英国・フランス・西ドイツ・イタリア・日本の6カ国首脳が集結したのが最初だという。そして1976年にカナダを加えた「G7」(先進国首脳会議)となる。世界的な経済危機に対し、すでに政策の協調と調整は欠かせなくなった世界情勢があるのだろう。その後、冷戦の終結により、1998年ロシアが加入し「G8」になる。
     そして、2008年に世界的経済危機であるリーマンショックがおきる。リーマンショックへの世界的経済危機への対処は、もう「G8」ではできない。同年に、初めてワシントンにおいて「G20」が開催された。しかし「G8」では力が足らず、「G20」では大きすぎて結束できない。そこに様々なドラマが展開される。「サルコジの説得」「ブッシュの対応」。本書の内容は、読むものに政治家のリーダーシップとは何かを教えてくれる。その後の2009年のロンドン「G20」では、対立する中国・フランスとオバマの仲裁のドラマが展開される。そこには、新たな世界秩序を模索するリーダー達の姿があるが、日本の政治リーダーは出席はしているが、存在感は薄い。1年交代の総理ではとても首脳外交どころではない。なんとも情けないと感じた。せめて日本の総理も5年程度は地位を維持してもらわなければ世界では相手にされないと感じた。
     本書での日本の地方自治体に「国際機関を誘致する」という提案は面白いと感じた。過疎と人口流出に悩む地方自治体が世界に街を開くことは意義も実益もあるのではないだろうかと思った。しかし、今の自治体職員が英語で対応できるところがどれだけあるだろうか。道は遠そうだ。
     本書は、国際政治の基礎を描いた入門編のようなものかもしれないが、国際政治の実態を簡単に知ることができる良い本であると思った。

  • G20が辿った軌跡を政治の切り口を中心に描写。良書。

  • 日経新聞の国際記事まとめ的な
    G20を主題として経済状況や各国の政治経済がよくわかる本。5月位までの情報しかないが、すごくわかりやすく、中立的で全体をとらえてるという印象。感情抜きで読めるのがよかった。

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著者プロフィール

日本経済新聞社論説委員長
1985年 早稲田大学政治経済学部卒、同年日本経済新聞社入社。経済企画庁、日銀、大蔵省などを担当し、マクロ経済・金融・財政を取材。87-91年 ニューヨーク米州総局、98-01年 ワシントン支局駐在。経済部デスク、経済部編集委員兼論説委員、欧州総局編集委員、ワシントン支局長、Nikkei Asian Review編集長、上級論説委員などを経て、現職。

「2021年 『シン・日本経済入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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