データで見抜く日本経済の真相 日本は決して終わらない

  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534047809

作品紹介・あらすじ

雇用は悪化したのか、格差社会は広がるのか、日本は財政破綻に陥るのか。惑わされるな、ニュースでは伝えない「日本の現実」。

感想・レビュー・書評

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  • ・アメリカ車のビッグ3は高速道が整備される前に、人口が減少傾向にある中西部にディーラー網を整備してしまい、ディーラーが法で保護されていて再編が難しかった。

  • 日本はもうすぐ破綻してしまうという人達と、日本の実力には底力があるというグループがあると思いますが、後者の代表例として、三橋氏、長谷川氏、日下氏等、限られた人の本ばかり読んでいた傾向があったので、他の人の意見も参考にしようと思い、この本を手に取ってみました。

    ニュースでは伝えられない「日本の現実」というサブタイトルに魅せられてこの本を読んでみようと思いました。派遣の人よりもパートが増えている、日本は不平等の国でない(でも貧しくなっている)等は新たに認識した内容です。

    数日前に未曾有の地震を体験して、その衝撃で、現在福島原発が炉心溶融に至る可能性もある、大変な事態に陥りそうな状態ですが、この事態も乗り切って欲しいと思っています。

    以下は気になったポイントです。

    ・非正規社員の内訳をみてみると、パート女性の伸びが著しい、派遣は伸びているが絶対量は小さいのが現実(p12)

    ・200万円未満の所得就業者は、2007年には1882万人、その多くは非正規社員で女性が1105万人でその多くは主婦パート、ただし、非正規200万円未満の男がこの15年で増えている(p14)

    ・このまま家計貯蓄率が低下の一途をたどって安定的に国債を引き受けてくれる相手がいなくなると、長期金利の上昇を招く可能性がある(p32)

    ・家計調査によれば、勤労者世帯の黒字率は26%程度(総世帯ベース)だが、無職世帯はマイナス33%(つねに消費が可処分所得を上回る)である(p35)

    ・90年代まではジニ係数算出のために全国消費実態調査が用いられていたが、2000年に国民生活基礎調査(福祉事務所経由)が用いられるようになったので、所得の低い人の捕捉率が高くなった、OECDによれば他国データは全国消費実態調査に近い、それによると日本は2000年で22カ国中で11位(p49)

    ・日本を平等にするために効果的なのは、所得が低い人の所得をあげることが、P90/10(所得10番目の人と90番目の人の所得比較)からわかる(p50)

    ・2001年から2007年までの企業の繰越欠損金は減少傾向が続いているので、企業の納税額はあまり増えないので、税収の伸びは期待できない(p84)

    ・日本の対外純資産は世界一だが、対外資産のみで比較すると、米国、英国、ドイツ、フランスよりも小さい(p115)

    ・大きな純債務を抱えているアメリカは、対外債権債務からの所得収支で大きな黒字を稼いでいる、日本とは逆で、収益率の高い直接投資や株式投資の資産に占める割合が高いため(p121)

    ・日本市場の参入障壁の高さは、日本のオフィス賃料や人件費といったビジネスコストの高さ、海外から厳しくて分かりにくい諸制度の存在(規制、許認可、行政手続き)である(p145)

    ・アメリカへのキャッチアップを進める中国が直面するのが、経済成長の持続、環境の維持、資源の確保を同時にする必要があること(p156)

    ・中国の単位GDPあたりの一次エネルギー消費量は、2008年で日本の6.4倍(30年で3分の1に効率化したが)、アメリカの3.5倍なので、経済(規模、量)は上回っても、効率(質)は及ばない(p158)

    ・2007年6月に中国国務院が発表したものによれば、省エネ・汚染物質削減について、「一票否決=これがダメなら他が優れていてもダメ」を導入した(p159)

    ・ユーロをなくして、各国通貨を復活させるコストのほうがはるかに大きくなるので、ギリシアを支援する(p182)

    ・日本車は売却時の中古車価格が高いので、買ってから売るまでのトータル保有コストは日本メーカに有利、なので日系メーカは北米で利益を上げられた(p195)

    2011/3/14作成

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著者プロフィール

1950年生まれ。東京大学農学部卒業。学習院大学博士(経済学)。経済企画庁国民生活調査課長、海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミスト、早稲田大学政治経済学術院教授、日本銀行政策委員会審議委員などを経て、現在、名古屋商科大学ビジネススクール教授。著書『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社、日経・経済図書文化賞受賞)、『日本国の原則』(日経ビジネス人文庫、石橋湛山賞受賞)、『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書)、『ベーシック・インカム』(中公新書)、『デフレと闘う』(中央公論新社)など多数。

「2021年 『コロナ政策の費用対効果』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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