一気にわかる世界史

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  • 日本実業出版社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534054227

感想・レビュー・書評

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  • イスラムの時代500~1500年が、とても長いものであったことに驚いた。学校で学ぶ世界史がヨーロッパ中心で世界史が構成され、あるいは、イスラムのことを教えられていたのかもしれないけれど、これほど長期間に、豊かな文化の実りを輩出しつつ繁栄したことを、具体的な正しいイメージをもって学べていなかった。

    「となりのとなりの法則」。世界史を動かす、一番手と二番手の関係等、とても面白く有益なコンセプトで、世界史をひもといてくれる本だった。

    今後、歴史物を読む、あるいは、歴史の背景の中で何かを考え、位置付けるときに、いつも手元に置いて参照したい本である。

  • ☆3.5
    「人類史」より「ビジネスパーソンに向けたニュースや経済を知るための手がかり」って感じです。コンセプトが良くて歴史の大枠を捉えられました。ただし、注意点もあります。

    ① 小さな文明や国にほとんど触れない
    ② 1/3が現代史。3章「世界史から現代を考える」ではほぼ経済の話題です。文化や人権など他の視点はありません。そして一番重要なことに作者の解釈が多いです

    情報を制限したり、自己解釈を盛り込むのは悪いことではないと思います。ただこれ一冊では偏るので、3章は話半分で聞き、ほかの本も読もうと思います。

  • 世界の中心はその時、どこにあったか?を主軸に一気通貫して読める世界史の入門書です。西アジアでの文明の勃興からギリシャ、ローマ、イスラム、ヨーロッパ、アメリカと覇権となった国々を追って世界の趨勢の移り変わりを説明しています。文明が起きてから現代に至る歴史観がこの本によっておぼろげながら築けたように思えます。これをベースに個別の歴史書を読めばより精細な歴史知識が身につけられると思います。

  •  いやー,おもしろい本でした。
     文字通り,世界史が一気にわかった気になります。西洋史でもなくアメリカ史でもく中国史でもない,ちゃんと世界史なのです。
     本書は,当時,地球上で一番栄えていた国(地域)にスポットを当てて,その世界の中心地が,時代とともにどのように変遷していったのかを,時間軸に沿って紹介してくれています。
     高校まで行った人ならだれでも,一度は耳にしたことのある,いろんな帝国や王国・王朝の名前が出てくるのですが,本書を読み進めるうちに,学校で習っただけのバラバラだった世界史の知識が,大きな歴史の流れの中で,位置付いていく気持ちよさを感じることができました。
     学生時代(中・高・大学生の頃)は,日本史は好きだったのですが,世界史のいろんな国やら民族やらが覚えられないで,ついて行けませんでした。でも,こんな風に教えてもらえば,もっともっと興味を持って世界史を学習できたかも知れないなあと思います。
     世界の中心の変遷を見ていくと,それは,「となりとなりの法則」で移動していくのが分かります。オリジナルな,全く新しい文明はなかなかできないのです。これまでの文明に影響を受けながら,次の文明が成長していくのです。これまでの文明は,長年,繁栄したが故にこれまでのやりかたに硬直し,そのため保守的になって発展できずに滅んでいく。そんな繰り返しが,世界史の大きな流れなんだなあと感じました。
     私のような世界史が苦手な方にも,お薦めの本です。

  • 本の帯に書かれているように、この本は新しい視点(世界の中心=覇権国は、となり・となりの法則に基づく)で書かれた、世界史の通史の、画期的入門書です。

    今までは、欧米諸国の盛衰が開設された本は何冊か読んできましたが、彼らが実力をつける前では、世界でどのような国が力を持っていたのかを、有史以来の4大文明にさかのぼって、それ以降、途切れることなく解説しています。

    このような本は読んでいて楽しいですね。受験の世界史から、「大人の世界史」の世界へ招かれた素晴らしい気分です。

    以下は気になったポイントです。

    ・現代の世界における繁栄の中心は、北アメリカ・西ヨーロッパ・日本とその周辺、という3か所となる、11億人(全体70億人)でGDPは全体の7割(p13、14)

    ・オイルランプの燃料は、地域によって異なるが、オリーブ油・菜種油等の植物油が中心、1900年代以降の電灯の時代になるまで、一般的な照明器具であった(p18)

    ・オリーブ油を取る機械をとくに大きく発達させたのは、今から2千数百年前の古代ギリシア人。重要な輸出産業で大きな利益をもたらした。そのベースとして、素材や道具としての金属器(青銅ではなく、鉄)の普及があった(p21、22)

    ・3500年頃前、今のトルコにあった、ヒッタイトという国で、製鉄の技術革新が進んだ。当初はヒッタイト限定であったが、3200年前頃から普及し始めた(p23)

    ・荷車、犂(すき)、帆かけ船、金属器、文字の使用、これら文明にとって「基本中の基本」というものは、メソポタミアや、その周辺のエジプトで始まった(p25)

    ・帝国とは、複数の異なる民族を征服・支配する国、のこと(p47)

    ・アレクサンドロスの帝国(紀元前300年代)は、ギリシアとペルシア帝国を足したようなもの(p58)
    ・西暦100年代のユーラシアは、西から順に、西ローマ帝国・パルティア(イラン)・クシャナ朝(中央アジアからインド北西部)・後漢(p67)

    ・700年頃までに、のイスラム帝国は、かつてのローマ帝国にも匹敵する超大国となり、世界の繁栄の中心はイスラムになる。(p72)

    ・イスラム教の、スンナ派(選挙による初期のカリフから、ウマイヤ朝へ引き継がれたカリフを認める)と、シーア派(認めない)は、アラブ人とペルシア人の対立も関わる(p73)

    ・騎馬は、本格的に行うには、高度な道具が必要な技術。安心して乗るには、「あぶみ」「くつわ」の馬具に、精密さや耐久性が求められる(p78)

    ・モンゴル人による発明はほとんどなかったが、モンゴル人を技術や知識で補佐した中国人やイスラムの人々が広い範囲を旅したことで、様々な技術が伝わった(p81)

    ・オスマン朝(トルコ)は、1400年代には東ローマ帝国を滅ぼし、1500年代にはエジプトのイスラム王朝を征服し、初期のイスラム帝国に匹敵するオスマン帝国となった(p82)

    ・ロシアでは、モンゴルに従属する地方政権だった、モスクワ大公国が、1400年代後半にモンゴル勢力を破って独立を回復した、1600年代にはそれを引き継ぐ、ロマノフ朝が成立した(p85)

    ・カトリックにはローマ教皇というトップがいて、各地の教会は、教皇を絶対権威と仰ぐ。東方正教にも、コンスタンチノープル総主教が存在するが、カトリックに比べて地域・国ごとに独立性が強い(p89)

    ・1500-1600年代は、オスマン帝国や明・清王朝が繁栄していた。スペインは多くの植民地を得たが、トータルな国力は小さかった。しかし、科学・技術・軍事力は世界の最先端となっていた(p95)

    ・1680年代のウィーン包囲では、オスマン帝国は大敗している。スペイン、イタリアが台頭した、1500-1700年頃までは、イスラムから欧州への過渡期(p96)

    ・1500年代ー1600年頃にかけては、イギリスは新興国、ベルギー・オランダは先進国であった(p100)

    ・1880年代に、アメリカの工業生産が世界に占める割合は29%で、イギリス(27%)を抜いて世界一位となった、1913年にはドイツ(16%)にも抜かれた(p111)

    ・2つの世界大戦をおおざっぱに言うと、ドイツという当時のナンバー2が、ナンバー1のイギリスに挑戦した。両方とも、イギリスにはアメリカという仲間がいた(p115)

    ・オスマン帝国は、一次大戦後に、イギリス・フランスにより多くの部分が占領された。アナトリアからオスマン朝の支配を終わらせる革命が起きて、1923年にはトルコ共和国が成立した(p119)

    ・1991年にソ連の体制は崩壊した、ロシア周辺のソ連を構成する国々は、ソ連から離脱していき、冷戦は終了した(p129)

    ・衰退しつつある繁栄の中心(1800年代の中国、オスマン帝国等)では、成功体験や伝統の積み重ねによる、社会の硬直化が起きている、その停滞を「周辺」からの革新が打ち破る、そして従来の中心は周辺になってしまう(p143)

    ・西ローマ帝国を滅ぼした「ゲルマン」と西ローマ帝国との関係は、今現在の世界で起きていることを考える参考になる、欧米とアラブ・イスラムの関係である(p151)

    ・1950年当時の世界で、GDPの最大はアメリカで27%、二位はソ連で10%、イギリスが7%、冷戦とは、2番手ソ連が、1番手アメリカとの戦いに敗れ崩れ去ったもの。これは、中国が未来の世界1番手を目指すために戦争という手段をとってはならないことを意味する(p160、162)

    ・鉄道ができたのは、蒸気機関などの機械の発明だけでなく、株式会社のような社会的な仕組みの発明も重要(p172)

    ・時代の変化で採算が取れなくなったが、社会に必要なサービスは、政府の仕事になる(p176)

    2016年10月16日作成

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