「19世紀」でわかる世界史講義

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (533ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534059321

感想・レビュー・書評

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  • 著者はマルクス経済学が専門なので、特に19世紀は経済の記述が多い。

    19世紀に、歴史学は王朝の正当性を語る宮廷史に代わって、客観的な史料史学、実証史学が出現したが、解釈の問題が残った。シュペングラーは、「西洋の没落」で世界史=西洋史であることに疑問を提示した。アーノルド・トインビーは、アマチュア歴史家だが、あらゆる国について網羅する世界史「歴史の研究」を書き上げた。

    資本主義は国民国家の市場の枠内で成長し、資本が蓄積すると近隣諸国へ資本を輸出して、国外市場の獲得に手を付け始めた。西欧では、それぞれの市場が閉鎖的だったため、アジアやアフリカ、南アメリカが狙われることになった。安価な工業製品を生産するためには、安い原材料を仕入れなければならないため、他国を植民地にするか不平等な条約を締結させて強奪する帝国主義政策が生まれた。自由資本主義時代に恐慌が頻発した結果、弱い企業が駆逐され、独占的企業が生み出された。1860~70年代になると、企業は競争しなくなって寡占化し、カルテルやトラストを結ぶようになった。これを銀行が主導し、帝国主義国を支える大きな存在になった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/778297

  • 歴史を見る上での視座を考えさせてくれる名著、特に近世から今を結びつける理論が素晴らしい。オススメします。

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著者プロフィール

的場昭弘(まとば・あきひろ)1952年宮崎県生まれ。マルクス学研究者。1984年、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て現在、神奈川大学教授。マルクス学の提唱者。マルクスの時代を再現し、マルクス理論の真の意味を問い続ける。原資料を使って書いた作品『トリーアの社会史』(未來社、1986年)、『パリの中のマルクス』(御茶の水書房、1995年)、『フランスの中のドイツ人』(御茶の水書房、1995年)をはじめとして、研究書から啓蒙書などさまざまな書物がある。本書には、著者による現在までのマルクス学の成果がすべて込められている。

「2018年 『新装版 新訳 共産党宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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