落語で資本論 世知辛い資本主義社会のいなし方

著者 :
  • 日本実業出版社
3.43
  • (1)
  • (3)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 35
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534060310

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • 資本論の大事な要素と落語の話を合わせたいままで見たことない本になってます。
    落語の話と資本論の話がわかって一石二鳥であることがよくわかります。
    また、所々に談志師匠の話が非常に的を射てて改めて、談志師匠凄さ実感しました。
    マルクスの資本論は大変難しい本なので、それをうまくまとめた談慶師匠にも改めて敬意を示したいです。
    #読書
    #読書記録
    #読書好きな人と繋がりたい
    #立川談慶師匠

  • ●立川談志。「酒が人間をダメにするわけじゃない。人間なんてもともとだめなものだと言うことを、酒が教えてくれるんだ」=業の肯定。「人間の愚かさ」を経済方面で理論化したのが「資本論」
    ●資本論が難しいのは、独特のレトリックと文体、そして聖書由来のキリスト教用語で書かれているからです。
    ●工業化が進展する前の江戸時代は、資本家と言う存在は未だ生まれていませんでしたので、江戸町人たちは、自分が稼げる身の丈に合った労働だけで生活していました。「座って半畳、寝て1畳、天下取っても2合半」
    ●明治維新で、武士が失業すると、士族となった層に退職金が支給されることになる。これをもとに商売を始めた士族が多くいたのですが、持ち前のプライドの高さで、ほぼ商売はしくじる。
    ●資本主義は、極めて合理的なシステム。競争によって技術の進歩をもたらす。しかし、あくまで利益を得る限りに於いてであり、独占が生まれると、技術の導入や労働者の技術の発展をあえて図るような事はしなくなる。

  • 資本主義には"オチ"がある

    ■概要
    資本論を解説するのではなく、「落語と結びつけるとこう理解できるのでは、現代社会に活かせるのでは?」という落語家の筆者からの提言。

    ・人間の業を肯定する資本主義と落語
    >そんな談志の理念の一つが、「落語とは人間の業の肯定である」 という歴史的な落語の定義であり、 これをはじめとするいくつもの落語の理論化を打ち出しました。 マルクスと談志、落語と『資本論』。 まったく異質なものですが、あえて無理やり共通項を見出そうとすると、「人間のシステム エラー大全」ではないかと思います

    ・資本主義のオチ (解釈の解釈)
    まず資本主義社会は、産業革命初期から格段に良くなっており、ましてや封建主義や奴隷制に戻りたいわけではない。ただ良くなっているから、資本主義を全肯定していいのかという前提がある。
    資本主義の弊害、労働疎外〜これは個人の労働力を商品として売買するから?〜や環境、自然への影響が挙げられる。これらはまさに人間の業であり、個別事象をみると「いやいやそんなアホな」という"オチ"がある。ところが"全体最適?"という社会全体を元に話が進むと、"アホな"みたいなトホホなオチが落語の様に資本主義にも待っている、すでにそんな話がいくつもある...

    ■感想
    イノベーションの扱いが雑だし、考察が甘い点が気になったけど、それ以外は良かった。
    ○マルクスと資本主義
    マルクスは社会主義者で古い、というのが誤った考えであるが、学生時代の教科書の浅はかな理解だとそうなりがち。あくまで資本主義の不完全さを解いたのが資本論であり、社会主義革命に影響を与えたのは共産党宣言なのでは?
    ○資本主義の捉え方
    そうすると資本論とは社会主義マンセーではなく、資本主義をみなおす上で大変示唆に富むはずだし、資本主義か社会主義かの二項対立はおかしい。"社会主義が失敗したから現代資本主義は正しい"ということはなく、資本主義の先にある我々人間の活動、業との向き合いを考えなければならない。そういう意味では本書も哲学書である。その哲学の部分を落語噺や談志師匠の言葉でイメージをつけてくれた。
    ○資本は虚数iの様に抽象概念で実態がない
    特定の資本家、金持ちが搾取するというフランス革命前の様な封建主義と違い、資本は実態がない。なのに全てを、特に人の労働力を「商品」にするし、労働者からは搾取する。※これもブラック企業の様な明らかな悪ではなく、目に見えない抽象概念。最終的には我々を「包摂」していく。フランス革命と異なり倒すべき相手が居ないからこそ余計にタチが悪い
    ○敵はわが内にあり!?
    やはり自らを「商品」ではなく、資本を活かす「生産者」であると捉えるしかないのか。山口さんのいう「コンサマトリー」、内なる心の声に従い何かを成そうとする、その過程において資本をうまく使えるのか、やはり資本に包摂されるてしまうのか。そこがポスト資本主義への分水嶺だと思う

  • この本で資本論を理解しようと思うのではなく、資本論を読んでから、この本を楽しむほうがいいのかなと感じました。出直します。

  • 資本論を落語と結びつける。すごいとは思う。けれども、面白いかは別だ。先に進めない。途中でやめる勇気を教えてもらった。

  • 登録番号:1027423、請求記号:331.6/Ta14

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

落語立川流真打。著述家。1965年11月16日生まれ、長野県上田市出身。1988年慶應義塾大学卒業後、株式会社ワコール入社。営業マンとなるが、芸人の夢を諦めきれず、1990年吉本興行福岡一期生オーデションに合格し所属となる。1991年ワコールを退社、吉本興業も退所し、立川流Aコースに入門、「立川ワコール」を名乗る。2000年二つ目に昇進。師匠七代目立川談志による命名で「立川談慶」に改名。通常3年程度で二つ目になるが、前座修行10年は異例。2005年真打昇進(慶應義塾大学卒初の真打)。趣味の筋トレは50歳を超える今でもベンチプレス100㎏以上を上げる。
著作は落語家としては異色の20冊超え。『大事なことは立川談志に教わった』(KKベストセラーズ年)、『教養としての落語』(サンマーク出版)、『落語はこころの処方箋』(NHK出版)、『落語に学ぶ粗忽者の思考』(WAVE出版)、『不器用なまま、踊りきれ。 超訳 立川談志』(サンマーク出版)、『天才論 立川談志の凄み』(PHP新書)などがある。

「2022年 『武器としての落語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

立川談慶の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×