三淵嘉子と家庭裁判所

著者 :
制作 : 清永 聡 
  • 日本評論社
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本棚登録 : 54
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535527454

作品紹介・あらすじ

1938(昭和13)年、日本で女性が初めて司法試験に合格し、1940(昭和15)年に3人の女性法曹が誕生した。そのひとりが、戦後初めて女性の判事・裁判所長となり、家庭裁判所創設にもかかわった三淵嘉子さんである。三淵さんは、女性が参政権さえ持たない=立法に携わることさえできない時代に、明治大学で法律を学び、弁護士になった。太平洋戦争、慣れない田舎での疎開生活、家族との別れ……激動の時代を経て、残った家族を養うため、三淵さんは裁判官になる。最高裁判所では、同僚たちと家庭裁判所の設立に向けて奔走する。***女性の社会的活躍が期待される今日、その先駆者である三淵さんから学ぶところは多い。本書は、丁寧な取材によって書き上げられた三淵さんの評伝とゆかりの人々の人物像、実弟や後輩の証言を通じて、三淵嘉子さんの人となり、足跡を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • この4月に始まったNHKの朝ドラ『虎に翼』の主人公・寅子モデルになった三淵嘉子さん。中田正子さん、久米愛さんと共に昭和13年に初の女性弁護士になった方です。少年事件の審判では、罪を犯した少年たちに分かりやすくゆっくりと話し、法律の話をせず将来の生き方を説くことが多かったそうです。

    三淵さんの戦前→戦中・疎開→戦後の私生活は、脚色がなくても朝ドラそのもの!
    想像しただけで、もう悲しくて涙が出そうです。ドラマは史実と違う設定があるので、これからの展開が気になります。ドラマはドラマとして楽しんでいきたいと思います。

  • 虎に翼 |NHK_PR|NHKオンライン
    https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/tag/index.html?i=37689

    来年春の連続テレビ小説 三淵嘉子ってどんな人? NHK解説委員室
    https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/480374.html

    『三淵嘉子と家庭裁判所』(編著:清永聡) | Web日本評論
    https://www.web-nippyo.jp/34796/

    三淵嘉子と家庭裁判所|日本評論社
    https://www.nippyo.co.jp/shop/book/9174.html

  • 今期の朝ドラ「虎に翼」のモデル、三淵嘉子氏のことを記した本ということで読んでみた。著者はNHK解説委員の清水聡氏。ドラマ開始に合わせてかと思いきや、平成30年に「家庭裁判所物語」を著し三淵嘉子氏のことを書いていた。評伝と、ゆかりの人々の記述、弟や職場の人のインタビューなどからなっている。精一杯生き抜いた人、というのが伝わってきた。

    大正3年生まれ、昭和13年に高等試験司法科に日本初の女性3人のうちの一人として合格、戦争直前に結婚するも夫は戦病死。幼子をかかえ、しかも戦後相次いで父母を亡くす。ドラマとは少し違って兄弟は嘉子が一番上で弟が4人。一番上の弟は戦死、戦後は弟たち3人を学校にやる、その後裁判官になり昭和54年に横浜家庭裁判所長を最後に退官・・ 仕事面ではほとんどの場面で「女性初」の言葉が。圧倒的な男性社会の法曹で、しかし記録を読むと、職場の飲み会でも「三淵さん何か」と言われれば「モンパパ」をさらりと歌う。実務でも飲み会でもとにかくやりましたよ! という気迫。

    裁判官を志した理由は「弁護士は本当に困った人のための正義の味方だと思っていた。だが実務をやってみると白を黒といいくるめないといけないことがあった。その矛盾が若い私には耐えられなかったのです。『本当に正しいことをはっきりさせることをやりたい』、それで試験を受けた時のことを思いだしたのかもしれません」と述べている。昭和13年当時、女性は弁護士にはなれても裁判官と検察官は「日本帝國男子ニ限ル」だったのだ。

    NHKの番宣で、昭和54年の退官のフィルムを見たが、薄赤のスーツにおそろいのベレー帽、ふくよかでまん丸い顔、これはみかけは伊藤沙莉はぴったりはまっている。それに性格も、家庭裁判所では親身な裁判から当事者にも職員にも慕われていたのだが、家庭では感情を表に出すようだったのだ。ここらへんもぴったりな雰囲気。

    私生活では昭和31年に同じ法曹界の三淵乾太郎氏と再婚。三淵氏の家には21歳の次女、18歳の三女、14歳の長男、嘉子の一人息子の芳武は13歳。

    本では三淵氏の息子は「昨日、仲睦まじかったかと思うと今日は波乱が起き、わが家はとても平穏とはいいがたい状態になった。・・むしろ仕事があったからなんとか家庭が保てたと思う。でも生きることにあれほど熱心であり、ひたむきであった継母」と述べている。一方実子の芳武は「乾太郎さんとはすぐ仲良くなれました」とある。そして「母にとっては絶対、再婚してよかったですね。母は初めての女性の法曹の一人で、男の社会で戦っていました。安心してすべてを話し、相談できる夫を得ましたから、幸せでしたね」と述べている。

    昭和13年に試験に合格した久米愛、中田正子、そして嘉子は戦前には結婚しているが、戦争中は3人とも仕事から遠ざかり疎開をして畑を耕している。明治末から大正初期に生まれたこの時期の人の戦争の影響の大きさが伝わる。

    2023.12.20第1版第1刷 図書館

  • 女性初の弁護士・判事・裁判所長として知られる三淵嘉子の伝記を中心に、彼女に関わった人たちの回想や、戦後、設置された家庭裁判所の創設の背景などを当事者の声をもとに記したもの。

  • 東2法経図・6F開架:289.1A/Mi12k//K

  • 289-K
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著者プロフィール

NHK解説委員

「2018年 『家庭裁判所物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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