現代アメリカ選挙の集票過程 アウトリーチ戦略と政治意識の変容

著者 :
  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535585201

作品紹介・あらすじ

人種と民族、信仰と宗教、富と貧困など、アメリカ社会の多様性に潜む根源的対立を収斂させ、選挙民の投票行動を決定づける個別対応の集票戦略である「アウトリーチ」について詳細に論じた初の政治分析論。

感想・レビュー・書評

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  • 「1つのアメリカ」はどこにもない。

    2016年の大統領選挙で泡沫候補と思っていたドラルド・トランプが意外に善戦し続けるので不思議に思った。
    だってトランプ支持なんてアメリカ人で馬鹿なの?って普通思うじゃないですか。

    この本は、細分化が進む個別の選挙民に対する集票手法(アウトリーチ)について論じられたものである。
    著者は実際にヒラリーの選挙事務所で働いた経験もあるそうで、選挙で使われたチラシ等の写真資料も豊富。

    この本を読むと「1つのアメリカ」はもうどこにもないこと、2008年と2012年の大統領選2回を勝ち抜いたオバマ自身が持つ特性の稀有さがよく分かる。

    そしてトランプが善戦している理由は日本人にはわからないだろうなとも。
    アメリカの選挙戦は「空中戦」(既存のテレビなどのメディアなどの選挙活動)と「地上戦」(エスニシティや宗教などに基づいた特定コミュニティに特化した戸別訪問などの選挙活動)に大きく分類され、日本にいると後者を窺い知る機会はまずないからだ。
    エスニシティや宗教などのグルーブ内でも経済的に相反する利害関係があるので、それも加味した上でのアウトリーチがなされているとのこと。そうなるとトランプ支持しているセグメントだけ見ていても、なぜ彼らがそのような行動をとるのかは知ることができない。

    ただネット上でアメリカ選挙民の声をウォッチしていると、ヒラリー支持派は「自分の周りにトランプ支持者なんて一人もいない」というし、トランプ支持者は「自分の周りにヒラリー支持者なんて一人もいない」と言っていることが多い気がする。今年の大統領選はある意味、内戦みたいなものかもしれないね。

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著者プロフィール

広告業やアグリテックの分野で活動する機械学習エンジニア。2017年10月に株式会社iMindを設立。PythonよりもJuliaの方が好きですがあまり使う機会に恵まれません。

「2020年 『数式をプログラムするってつまりこういうこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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