柘榴のスープ

  • 白水社
3.73
  • (13)
  • (20)
  • (25)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 153
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560027462

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • エキゾチックで中東の魅力にハマるきっかけになった本

  • んー、いまいちというか、残念。イラン生まれの作者の自分の生きざまを表すような作品。食堂を営む異国の三姉妹のアイルランドでの生活。そりゃ普通ではないんだけど、興味深い構成なんだけども、いかんせん、文章力が駄目だった。つむぐ力やセンスは十分だが、元々文学ずきタイプでないらしく、表現がわかりずらい。フラッシュバックする辛い過去の出し入れの仕方もうまくなく、出版する側ともうちょっと話し合い足並み揃えて丁寧にリリースして欲しかったよ。沢山書いて上手くなって欲しい作家だなあー。

  • 柘榴のスープ

  • イラン革命の混乱の中、テヘランからアイルランドの片田舎にある小さな村に移住した美しい三姉妹が、親切なイタリア人の未亡人から店を借り、イラン料理店を開く物語。芳醇な香辛料とハーブの香りが通りまで漂うその店の名は「バビロン・カフェ」

    町を牛耳る横暴な実業家の嫌がらせや、噂話が生きがいの偏狭な老婆達の嫌悪の目にさらされながらも、その素晴らしい料理は村の人々の胃袋と心を掴み、店は繁盛して行く。どこにいても不思議なほど植物を育てるのが上手く、庭でハーブを育て、料理の天才で思慮深い長女マルジャーン。過去の辛い記憶から、神経質で人間不信と頭痛に悩まされる看護師の次女バハール。三姉妹のなかでも一番美人で身体から薔薇とシナモンの香りがする15歳の末娘レイラー。

    三姉妹の店で作られる芳醇で官能的、心や身体を癒す数々のイラン料理は、サモワールの湯気とともに香りが本から立ちのぼって来そうに魅惑的だ。しかし、町の実業家の次男とお互い一目惚れしたレイラーの微笑ましい恋模様が姉妹間に諍いや影を落とす。その裏には、彼女達が祖国から逃れて最初に住み着いたロンドンでは無く、アイルランドまで来ることになった人には言えない事情があった。

    実はかな以前にこの本を読んだ時、私はイラン革命に詳しくなかった上、ホメイニ師もパーレビ国王も一度も本の中に言葉として出てこないので、モヤモヤした読後感を抱いていた。今回はiPad片手にわからない言葉を片っ端から調べて読んだ。度々出て来る「亡命していたアーヤトッラー」がホメイニ師で「シャー」と呼ばれるのがパーレビ国王の事だと理解し、反体制インテリ組織と狂信的原理主義委員会は緩く繋がっているが別のものだと認識し、幼いレイラーが窓から見た「黒い金曜日」の出来事を知る事で、物語の各所に深刻な政治情勢が反映されている事がようやく繋がって理解することが出来た。また、各章毎についているイラン料理のレシピも、材料こそ知っていても出来上がった料理にあまりにも馴染みが無く想像がつかずにいたが、再読にあたって画像検索し、見た目もしっかり味わって作品を堪能した。

    随所に革命下のイランの話が出てくるとは言え、彼女達の子供の頃の幸せなイランの暮らしの思い出はお伽話の様に美しく、アイルランドの小さな村の出来事は全体的にコミカルで明るい。元コメディアンだったユーモア溢れる神父、男で失敗して村に戻り、美容院を経営している捌けた元女優、三姉妹を娘の様に思うイタリア人の大家さんの存在が暖かい雰囲気を醸し出し、呑んだくれの老いぼれ爺さんが実はブルガリア出身の哲学者だったり、浮浪者扱いされるジプシー達が純粋で魅力的な役割を担っていたり、とかく排他的になりがちな偏見に満ちた小さな田舎町で、多様な国の出身者、外の世界を見て来た人々の心の豊かさや暖かさが光るとびきり美味しい物語。

  • おなかが空いてくる本。
    異国の群像劇。
    登場人物達がうまく絡み合って、面白かった。
    イランとか普段は遠い存在という意識なので新鮮でした

  • テヘランでロリータを読む、から中東を離れた女性をえがいた作品を自然と手に取るようになった。アイルランドのうらぶれた街にカフェをオープンした三姉妹の話。魅惑的な料理が結びつける周囲の人との関わりは、思い出したくもない過去の出来事を呼び戻す。料理を描いているものは、ディテールがすばらしい。その匂いや色や味を捉えずにはいられない。そうすると自然と他のディテールにも目がいくので、全体的な味も豊かになってくる。

  • 読後、お腹が空いてくる一冊。

    アイルランドの田舎町に、イラン出身のエキゾチックでミステリアスな三姉妹が移り住む…という物語が、美味しそうなペルシャ料理のレシピと共に語られる。
    三姉妹を取り巻く人びとの描写が丁寧かつ精緻で、映像として浮かびあがるよう。

    でも、こういう異邦人来訪の物語は、『バグダッド・カフェ』的。どこかで読んだことがあるなって。それでも魅力的な作品です。

    訳のカタカナ表記は、ちょっと微妙だけど、読みやすい訳だと思います。レシピが気になるから原文を買おうかな。

  • ●アイルランドの片田舎に越してきて、ペルシア料理の食堂を開く三姉妹。
    そこでは町を牛耳る(ディスコ愛な)太っちょ我が儘おっさんや、父親とは似ても似つかぬ優しげな青年や、夫に先立たれた御夫人などなど、さまざまな人々との関わりが生まれます。
    しっかりものの長女マルジャーン。ちょっと臆病な次女バハール。華やかな三女レイラー。
    そんな三姉妹には、しかし、この国へ来ざるを得なかった悲しい理由がありました。…

    ●ちうわけで、各章扉裏に載っているレシピがたいそう魅力的。エスニック料理好きならば思わず食指を動かすことうけあい♪
    ま、ご家庭にローズウォーターはないけどね。
    落ち着くいい話だと思います。

  • 食べ物に目がないわたし。章の合間にレシピがついて味覚も刺激されます。自国イランでの激動の時代を心に刻みつつ異国に移住し生きる三姉妹はなんだかんだいいつつ幸せを探求する女の底力を発揮!そんな彼女たちを窮地から救うのはいつも石榴のスープなのです。

  • 「ショコラ」に似ているかなと思った。

    イラン料理を食べてみたくなった。

全27件中 1 - 10件を表示

渡辺佐智江の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×