- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560071052
作品紹介・あらすじ
双子、分身、鏡、影…ドイツロマン派以来、分身をテーマにした物語は数多いが、本書は現代の分身小説を集めた楽しくも恐ろしいアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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昔からタイトルを気にかけつつ、
何となく買いそびれていた本を
先月ふとしたきっかけで古書店で購入、読了。
カナダのマイケル・リチャードソンなる人物による
「影」「鏡」「分身」「双子」等々を扱った作品を集めた
アンソロジー。
分身を描いた短編と言われて咄嗟に思いつくのは
ポオ「ウィリアム・ウィルソン」くらいだったので、
20世紀欧米・南米の怪奇・不条理小説の
バリエーションの豊富さが楽しかった。
ただ、訳者あとがきによると、
ボルヘス「August 25」(1983年)は
権利の問題でこの日本版に収録できなかったそうで、残念。
読んでみたかった。
訳出されたのは――
ジョージ・D・ペインター「かれとかれ」
ハンス・クリスチャン・アンデルセン「影」
ルース・レンデル「分身」
トンマーゾ・ランドルフィ「ゴーゴリの妻」
ジョン・バース「陳情書」
ポール・ボウルズ「あんたはあたしじゃない」
グレアム・グリーン「被告側の言い分」
スーザン・ソンタグ「ダミー」
ブライアン・W・オールディス「華麗優美な船」
アルベルト・モラヴィア「二重生活」
エリック・マコーマック「双子」
フリオ・コルタサル「あっちの方では――アリーナ・レイエスの日記」
アルジャーノン・ブラックウッド「二人で一人」
アドルフォ・ビオイ=カサーレス「パウリーナの思い出に」
コルタサル「あっちの方では」は、光文社古典新訳文庫
『奪われた家/天国の扉』(寺尾隆吉=訳「遥かな女」)で既読。
https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4334753795
倦怠感に満ちた日記を綴り、言葉遊びに耽るアリーナは、
遥か遠くにいる女性の姿を幻視する。
彼女は虐げられ、辛い想いをしているに違いなく、
自分が傷を癒してやれないだろうかと考えるアリーナは、
夫と共にブダペストへ新婚旅行に。
すると……。
特に面白かったのはルース・レンデル「分身」。
ピーターが婚約者リーザと共に公園へ行くと
カップルの先客がおり、
その女性が自分にそっくりだと怯えるリーザ。
自分の分身に出会った者は遠からず死ぬのだ――と。
ピーターにはリーザとその女性ゾーイが
似ているとは思えなかったが、
写真を届けにいったのがきっかけで、
段々親しくなっていき……。
[教訓]二兎追う者は一兎をも得ず。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マイケル・リチャードソン氏が編んだ、ダブル(影や分身、ドッペルゲンガー)にまつわる短編アンソロジー。
イタリアのアルベルト・モラヴィアやランドルフィ、ラテンアメリカのコルタサルやカサーレスなどややクセのある作家陣に加えてグレアムグリーンなどの大家も混じった14編。
個々の作品ももちろん面白く、解説、著者紹介も充実していてとても良い。本文には掲載されなかったが紹介されているタイトルを探して読むのもまた楽しく、個人的にこの本で読書って楽しいなと目覚めたと言える特別な本。 -
もうひとりの自分