- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560071533
感想・レビュー・書評
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カールはいまどこにいるんだろう。
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カフカの「変身」を古い訳文で読んだのは高校生の頃。いまになってはじめてこの長編作品を読んでみると、面白いじゃないか!不条理なばかりではない若き主人公の物語。村上春樹がカフカ賞を受賞したのがよくわかる。池澤夏樹編集の世界文学全集に、カフカ作品としてはこの池内訳の「失踪者」が収録されているのにも納得。未完の作品なので★4にしたけど、未完なのが魅力でもあるのかもしれない。
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[ 内容 ]
『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第一巻。
従来『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。
主人公カール・ロスマン青年がアメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
“冷気が頬を撫でた”で終わる物語。
この表現がポジティブなようには感じないが、主人公カールが行き着く先は生涯の生きる道となるのだと思いたい。
親から見放され、アメリカについてから苦難ばかりの主人公。甘さから叔父に見放され、それからはアイルランド人のロビンソンとフランス人ドラマルシュに騙され続ける。正直読んでると、どうしてここまで不運なのかと思わずにはいられない。
失踪者というのは読者の前からの最後の失踪なのかと思う。孤独の三部作と名づけられたのは、正直、微妙。 -
未完成の小説であるが故の、最後の断片部が読書者の欲求をそそる。第一章『火夫』での完成された雰囲気から、分け入るように入っていくアメリカというチェコ人に取って未知の国。様々な異様な仕打ちを受けながらも、それでも僅かな荷物とからだ一つで生きていくカール・ロスマンの姿は、読んでその旅路を傍らで辿る者を打ちふるえさせる。