話の終わり (白水Uブックス)

  • 白水社
4.21
  • (10)
  • (10)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 381
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072455

作品紹介・あらすじ

「アメリカ文学の静かな巨人」デイヴィスの、代表作との呼び声高い長篇。かつての恋愛の記憶を綴る〈私〉の思考を硬質な筆致で描き出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • リディア・デイヴィス「話の終わり」書評 感情の記憶の堆積、恋情の地層|好書好日(2011年03月20日)
    https://book.asahi.com/article/11648290

    小説の固定観念をぶち壊してくれる。リディア・デイヴィスの4冊|翻訳家、岸本佐知子が語る海外文学のおもしろさ vol.4 | 【GINZA】東京発信の最新ファッション&カルチャー情報 | CULTURE(23 Jan 2021)
    https://ginzamag.com/culture/kaigai_bungaku_4/

    U245 話の終わり - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b616353.html

  • 語り手は作者自身を思わせる、作家兼翻訳家で大学で教職もとっている女性「私」。かつてつきあっていたが別れた12歳年下の「彼」への未練を、1冊かけて延々と語り続けるだけのある意味すごい1冊。

    「私」は現在は別のパートナー男性とその父親と同居しているが、いまだに「彼」への執着が捨てられない。時系列はバラバラ、断片的に、とりとめもなく語られる、「彼」との出会い、幸福だった時、数度の喧嘩と、別れに至る経緯。付き合い始めた頃は34歳と22歳。ひとまわり年下の「彼」は、直接の教え子ではないが「私」が教える大学の生徒。出会ったその日から親密なつきあいとなるも…。

    読んでいて退屈はしないけれど、メンヘラっ気のある女友達の失恋話をえんえん聞かされているようで「それはやめとけ」とアドバイス(ツッコミ)したくなる場面が多々ありました。彼女はとても知的だし自己分析もしっかりできているのに、どうしても別れたあとも「彼」にストーカーまがいの行動をするのを止められない。なまじ近所に住んでるものだから、彼の出没しそうなエリアをうろついたり、バイト先のガソリンスタンドに押しかけたり、そのくせ別の男と食事しているところをわざと「彼」に目撃させたりする。

    なんだろうねえ、この心理。交際中は年齢差のせいもあり、「私」は結構「彼」を雑に扱ったり、マウントとったり、相手の浮気は許せなくても自分の浮気はOKだったりと身勝手にふるまっていたのに、去られた途端に未練たらたら。その前もその後も複数の男性とつきあったり別れたりを繰り返しながらも、「私」はけして恋愛体質ではなくむしろ自分のペースで生きたいタイプ。なかなか難しい女性だ。

    これでは「彼」がさすがに気の毒だなーと思いつつ、しかしこの「彼」も年下ゆえの甘えなのかなんなのか、別れたあとに平気でガレージ貸してくれとか言ってくるし、手紙(詩)を送ってきたりして、なんかちょっと図々しいというか思わせぶりで全然好きになれない。

    自分自身があまり恋愛体質ではないので、なけなしの恋愛経験、別離の記憶などを振り絞って共感ポイントをみつけながら読み終えた。やっぱり恋愛はしんどい。私はもういいです(笑)

  • これは私の話だ、と思った。
    好きな人の髪の色や服、コーンチップとトランプ、安くて苦い紅茶の味。事実を並べているだけなのに、そこからいろんな感情が連想されるところが素敵だった。
    誰かのことを好きになって、愛して、深い悦びを知ったとしても、別れがこんなにも辛いのなら、最初から何もしなければいい、そうやって人と距離を置いて暮らしたら楽なのかなと思った。

    あんなに好きだったのに、一緒にいる時間が耐え難くなる。でも別れたらその姿を求めてやまない。なんでこんなに矛盾していちいち喜んだり倦んだり悲しんだりするんだろう。

  • ヘンテコだけどおもしろい話で

    どう読んで良いのか分からず
    カットアップメソッドみたいに、テキトーに文字を拾いながら、
    思い思いのページを開いて、どんどん先へ先へと読んで行った

    リディア・デイヴィスのこの作品に
    マグリットの絵は、ないなー
    ちょうど、偶然だけど
    同じ日に
    図書館で
    リディア・デイヴィスのこの作品と、マグリットの画集を借りてきてるんだけど
    もっと、違う絵だと思うよ

    ダダイズムの絵とか合うんじゃないかなー
    イヤ
    もっとかわいいカンジの絵かな
    最近見た
    フンデルトバッサーの、カラフルで色彩のある建築とかが似合う

    この作家には、もー、ノーベル文学賞を与えたほうが良い

    アニー・エルノーがノーベル文学賞を受賞した時
    何冊か読んだんだけど
    こんなくだらない三文小説がノーベル文学賞なら
    リディア・デイヴィスこそ、賞にふさわしいじゃん、って思ったんだよね


    -------------------------------------------

    2024年4月7日

    日曜日
    リディア・デイヴィスの『話の終わり』を再読した

    1度目は、サササッと、読んで
    その、独特の展開に、ウワワ!って、ビックリして
    コレはスゲー作品だ、と、驚き
    思わず、後ずさってしまった、のだけれど・・・・・・

    ワケが分からないまま、とりあえず、その時は、本の返却期限がきたので、図書館に返した。

    でも、その後
    すっごく、気になって
    もっと、ジックリと読んでみたくなってきて

    図書館で、また借りて
    今度は、気合を入れて、読み始めた。

    知らない植物や、言葉を、いちいちネットで調べた

    ヒマラヤ杉、ユーカリの並木、オークの大木、ウミイチヂク、セージ、スイカズラ、ライムの木、クラッスラ、

    ランバージャケット、アルコーヴ、

    ネットで画像検索して、写真をメモに貼り付けていった。

    聞いたことのない、たとえばモッキンバードの鳴き声は、youtubeの動画で、実際に、聞いてみて、確認した。

    --------------------------------------------------

    以下、読書メモ

    3
    彼を最後に見たとき
    6月の暑い日
    友人と並んだ自分
    いつにもまして年上に見えるだろうが、彼はそれを魅力的と思うかもしれない、と考えていた
    彼は水を飲みに家の中へ入り、また出てきて、終わったのでもう行くと私に告げた

    ▶この出だし
     主人公が「彼」を見るんだけど
     これが、日本の小説なら、
     だいたいの日本人男性の姿を思い浮かべれば良いんだけど
     アメリカの話なので
     最初の、そっけない文章からだけでは
     「彼」が、黒人なのか、白人なのか、プエルトリカンなのか、
     アラブ系なのか、ユダヤ人なのか、アジア人なのか、分からない・・・・・・
     
     どんな「彼」を思い浮かべたら良いのかが、まず、分からないのだ。

    彼の顔がひどく赤かった
    白く太い腿

    ▶と書いてあるので
     白人の、いわば、レッドネックみたいなタイプ?
     って思った

    それから1年後

    4
    彼からフランス語の詩を手書きで写したものが送られてきた
    手紙は添えられていなかったが

    封筒には差出人の住所が書いてあったので

    そういう事全部を短編小説として書いた

    小説のかたちにしたのは
    詩と同程度に第三者的になると考えたから

    ▶「そういう事全部を短編小説として書いた」
     ってゆーのが、まず、スゲーよ
     ちょっと・・・・グっと、キた。

     「小説のかたちにしたのは
     詩と同程度に第三者的になると考えたから」

    5
    さらに1年が過ぎた

    私は有る友人と砂漠を旅していた。
    彼が住んでいた街からそう遠くないところにあったので
    手紙にあった最後の住所を訪ねてみようと思いついた

    旅は不調だった

    酒を飲みすぎて
    ふわふわに見えた白い岩のくぼみにダイヴしようとして彼に止められた

    ▶この「私」の酔っぱらいぶりから
     かなりの自己破壊的な衝動があることが分かる。
     ここ以外には
     酒でハイになったり、ドラッグでラリったりする話は出てこないけど
     むしろ、そのことが不自然なくらい
     「私」は狂ってるし、絶対ドラッグや何かに依存するタイプだ
     つーか、すでに「彼」にドップリ依存してる・・・・・・
     完全に病的な依存

    2日めの夜はコカ・コーラを飲み
    彼とはほとんど口をきかなかった。

    砂漠を抜けると私たちの関係はふたたび親密さを取り戻し

    6
    翌日の午後、私は一人ででかけて市街地図を買い、

    彼の住所にたどり着いた
    夕方のラッシュ時だった
    淡いブルーのペンキを塗った3階建てで、やや荒れた感じがした

    彼が妻といるところを、彼に気づかれずに2度、見たことがあった

    彼は私を恐れていた

    ▶ここで、もー、ナニやら不気味な
     「私」のストーカー的な気質が浮かび上がってきてコワい
     「彼」にとっては、これはもう単純に、コワすぎるだろ
     年上の女が、自分の知らない角度から
     じっと見てるんだよ・・・・・・コレはビビるわー
     
    6号室のベルの横にアードとブルエット

    奇妙にジェンダーを感じさせない2つの名前の持ち主

    8
    私はベルを鳴らした

    ここで彼を見つけられなければ、もう探すのはやめにしようと思った

    旅の終着点にとうとうたどり着いたのだという実感が訪れるまで、そこに立ち続けた

    ▶まだ、始まったばかりなのに
     もー「旅の終着点にとうとうたどり着いた」
     ってなるところがスゴイ

    9
    自分がすっかりあきらめたのだと
    彼を探すのを止めたのだと
    はっきり分かったのはその少し後
    安くて苦い紅茶の味を舌の上に感じたときだった

    ▶「紅茶の苦い味」が「話の終わり」を告げるシンボル、アイコン、トリガー
     になる

    わざと無礼にふるまうつもりはなかった

    ▶「私」の、心の余裕の無さ、身勝手さ、自己中心さ
     が垣間見える

    それは彼に捨てられて以来ひさしく感じたことのなかった安らぎだった
    彼はそこにいなかったのに、まるで見つけることができたかのようだった

    書店には足を休めるために入った

    レジの男は私のことを浮浪者と勘違いしたのかもしれない
     ▶ここで、「私」がどういうタイプか分かる
     他人からどう見られているかをいつも気にするタイプではなく
     むしろ、自分がしたい格好をして、やりたいことをやる、
     自己中心的なタイプだ
     オレと一緒だから分かるんだ

    11
    これが話の終わりであるかのように

    私はそれを小説の最初に持ってきた
    最後を最初に語らなければ、その後の部分を語れないような気がしたのだ

    ▶ココがカッコ良いんだよね。
     「最後を最初に語らなければ、その後の部分を語れない」
     ナニを言ってるんだろう?「私」は?

    紅茶は濃く熱く、舌が干からびるほど苦かった。

    紅茶の苦さには、はっきりとナニかが終わったという感じがあった

    12
    君はできるはずのないことをやりたがると、ヴィンセントにもいつも言われる

    ▶え?
     ヴィンセントって、だれ?

    この小説のテーマ
    いなくなった男の話だと私は答える

    妻との間には娘が一人いて

    5年前に今の街に越してきてやっと、彼がとつぜん目の前に現れるかもしれないと期待することを私はやめた

    13
    彼がどこかで生きているのはまちがいなかった
    何年かは、彼が訪れてもおかしくない街に私は住んでいた

    ▶コえー・・・・・・ここまでやるか?
     「私」の恐ろしく粘着質のストーカー気質にビビる

    がっちりした筋肉質の体つき
    私とそう変わらない背丈
    金色のまっすぐな髪

    彼とそっくりの尊大ではりつめた空気

    薄いブルーの目
    そばかすの散ったピンク色の肌

    高い頬骨
    ランバージャケット
    ネルシャツ

    14
    高層ビルの最上階

    彼を私に引き合わせたのはミッチェルだった

    彼があまりにも若かったから

    先住民族の宗教的なチャントか何かのパフォーマンス
    私は彼の左隣に座って

    私の向かいにはエリーがいた

    16
    当時の私はよく酒を飲んだ

    ▶ここに、ややアルコール依存症的な一面を垣間見せてる
     つまり
     「彼」に対する異常な依存も
     酒に対する依存も
     「私」の体質なんだよね

    ユーカリの並木

    彼よりずっと年上の、さえない翻訳家かお固い大学教授の言いそうなことだと思った

    ヒマラヤ杉

    ウミイチジク

    22
    明け方
    彼は帰ろうとしていた
    別れのあいさつのかわりに詩の一節を頻用していたのだ

    お向かいのパゴダ風の建築

    23
    今住んでいるこの場所も海が近い

    ヴィンセントの分厚い綿の靴下

    24
    難解な文体で書かれたフランス民族誌学者の自伝を訳し終えた

    ▶レヴィ・ストロースのことか?

    英国に住んで英語で書いている日本人作家についての記事を読んでいた

    ▶誰だろう?
     イシグロのことか?

    26
    その土地で唯一の知り合いであるミッチェルが

    その彼女、マデリンが出てきて私たちを出迎えた
    背が高く、赤みがかった金髪を後ろで束ねていて

    別の部屋からは「ビッチ」という声がした

    32
    浜辺や丘を散歩することもあった
    マデリンといっしょのときもあった
    料理中でも食事中でもなく、瞑想をしておらず

    34
    ユーカリの葉の香気はむせるほど濃く

    35
    ヴィンセントの父親にしょっちゅう邪魔されつつも

    この小説を書きはじめてから、ずいぶん長い時間が経つ

    その間に私は街のアパートを引き払って
    ヴィンセントと一緒に暮らしはじめ
    やがて、彼の父親も私たちと一緒に暮らすようになり

    オークの大木

    36
    ヴィンセントの父親の看護婦が

    心気症(ヒポコンドリー)
    「自分は病気にかかっている」と思いこんだり、「自分は重い病気だ」という恐怖感にとらわれたりする病気です。動悸、めまい、発汗などの症状を訴えますが、検査をしても異常は見られません。

    37
    彼は私の家を夜明け前に出ていった
    彼はエリーに会いに図書館に行った
    二度目に私の家に来たとき

    39
    彼の名前を知らない状態はそのまま何日か続いた
    彼は私と急速に親しくなって

    彼と会った2日後
    彼がここにいてくれればいいのにと思い

    家の前の大きなヒマラヤ杉の舌に停まっている車の白いボンネット

    ボンネット
    自動車のエンジンの上に備えられたヒンジ式のカバーである。-Wikipedia

    ヒンジ

    41
    夢を見た時点ではまだ彼の書いたものを一つも読んでいなかった

    彼と出会ってから3日後、眼の前で友人が彼のことをファーストネームで呼んだ

    42
    彼の詩を読み終え、エリーを探して稀覯本のコーナーに行った私は
    彼の母親と私が5つしか違わないことを、エリーの口から聞いたのだ

    43
    翻訳で難しい問題に突き当たったときによくやる逃げ

    エリーがなかなか読んでくれなかったのは
    彼女自身この小説とそっくりの状況に置かれていたからだった
    自分よりもずっと年下の男に入れ込んでいたのだ

    いつ捨てられるかと戦々恐々としていた

    44
    どうして自分に読ませないんだとヴィンセントは言った

    48
    彼は私の生徒の何人かやミッチェルに対する怒りを口にし
    嫉妬が混じっていた

    49
    後に彼は私のもとを去ってすぐ結婚したので

    50
    それは起こった、と書いている
    いまだにそのロウソクの素性はわからないままだ

    彼以前にだれかを愛したことは多分1度しかなかった


    53
    渇望

    私の家から彼の住む町までは1マイル

    1マイル
    m換算で1609.344m、   1609mくらい
    km換算で1.609344km   1.6kmくらい

    60
    知り合ってまだ1週間も経っていないのに
    もう私から去っていってしまったと思った

    61
    私たちは一緒にそこを出て、友人の家に向かい、途中で喧嘩をした

    朗読会の様子を面白く描写するのは難しく
    朗読ではなく別のものに変える

    62
    喧嘩は彼の友人のキティをめぐって

    アルコーヴ
    64
    小説の中でどこまでそれを描写していいのかよくわからない

    66
    ライムの木
     
    70
    S・Bとなっている人物による朗読会

    メキシコ料理店に行った

    日本料理店に行って

    72

    15フィート
    1フィートも1尺もおよそ30センチメートルだから
    15倍すれば4メートル半くらい

    78
    イヴリンはエリート 私の共通の友人で

    96
    最初は短い小説にする予定だったのに

    翻訳からもまだ足を洗えずにいる

    私は自分のお金を管理するのがあまり得意ではない

    97
    翻訳者はページいくらで報酬を支払われるので
    丁寧に翻訳すればするほど
    時間あたりの稼ぎは減り
    結果として丁寧な仕事をする翻訳者ほど報われない

    101
    喧嘩は全部で5度あったと思う

    117
    いつも同じ人間である必要なんかないのだと

    ▶アイデンティティの反対の、「分人」みたいな考え方

    118
    どの人格も嫌いだったが、
    そのどれが自分であっても不思議はなかった。

    120
    マデリンは もっぱら箸を使い

    128
    彼が結婚しようと言ったことがあった

    132
    彼が何も言わずにいなくなり、完全に私の前から消え

    136
    ヴィンセントと私がこの家を買うことになったのは
    ラズベリーの群落

    ライラック
    ヒッコリーその他の樹木


    193
    いま書いている小説に、センチメンタルあるいはロマンティックな要素も出てくるかも
    ヴィンセントは渋い顔をする

    性的な場面は避けるべきだと彼は主張する

    女が男に激しい情欲をいだき、ついにそれは耐え難いまでに高まってしまい、

    194
    ヴィンセントは、私が感情面についても書くべきではない、皆無とは言わないまでも最低限にするべきだ

    196
    マデリンはイタリアでいっしょに暮らした男の話をした



    197
    エリーは夫といっしょだったときのことを話した

    他人といっしょに暮らすのは簡単なことではない

    206
    両側から突き出たクラッスラの硬い枝が体を叩いた
    クラッスラ


    208
    ローリーを家に招待し
    ▶誰だよ?

    209
    マデリンが彼をスーパーで見かけた

    ガールフレンドも一緒だった
    とても若い子
    17とか
    とてもきれいな子だった

    なぜ私はマデリンに彼女がきれいだったかと訊ねたのだろう

    210
    町をすみずみまで歩き回ってあらゆる場所を探す

    私は時々それをやった

    ペストリーは、小麦粉にバターあるいはショートニングなどの油脂、塩、砂糖、卵などを加えて、パイ状に焼き上げたお菓子や料理の総称のことです。

    パイやタルトなどが当てはまり、油脂を多く含んだ生地でサクサクとした食感が特徴です。「ペイストリー」や「ペーストリー」とも呼ばれています。



    224
    カシ材(樫)一枚板 角材
    カシ材とは、ブナ科の常緑高木の一群の総称。
    狭義にはコナラ属中の常緑性の種をカシと呼ぶが、同じブナ科でマテバシイ属にシリブカガシもカシ(樫)と呼ばれている。
    字のごとく硬いので道具類、建築用材などに使われる。ただし加工がしにくい。
    乾燥が難しいので最近は流通量が少なくなっている。

    225
    カードテーブルに向かい

    ▶いつもカードテーブルに向かってんなー

    225
    彼について書き記した

    ▶もう完全にノイローゼだ(笑)

    226
    どれだけが怒りから書かれていて、どれだけが愛から書かれているか

    227
    ついに彼から実体を抜き取ることに成功した
    ある意味彼を殺したのに等しい

    228
    三人称ですら生々しすぎる
    もっと遠い人称がほしい
    四人称などというものはなかった


    238
    喜びのあまり、またしても彼を探しに出かけていった   

    ▶おもしろすぎるー
     笑ってしまった

    240
    クラッスラ

    モッキンバード
    他の鳥の鳴き声を真似してなく鳥


    スイカヅラ

    セージ

    干潟

  • 別れた12歳年下の彼から手紙が届き、返事をどうすればよいか考えあぐねてると、小説にしようと思い立った。記憶があいまいで思い出すのも順不同なのように、お話はとりとめもなく順不同に流れていく。

    何も起こらないしどうなってるかよく分からない。でも、わからなくていいんだと思う小説だった。読んでいるうちに私自身も小説の中の彼を求める「私」になった気分だった。彼に会いたいのに、パーティに来て欲しいのに彼の言葉を聞くとめちゃくちゃ怒るという、なんと矛盾した行動とる私。彼の働くガソリンスタンドまで行っちゃう私。当初はお金を返さないダメ男の彼かと思ったけど、そうでもなさそうだと思った。

    はっきり言ってこの小説では何も起こらない。
    何も起こらないのに、けだるさが漂うお話に引き込まれてしまう。メランコリックでただぷかぷか浮いてるだけ(ときに激しく浮き沈みしてきるが)のような、そんなお話も好きだと感じた。

  • 淡々と過去を振り返りながらその書き手の現在の生活とを行き来する流れで、記憶の脆弱性や曖昧さという中で話の終わりを探る構造になっていた
    伝記は整然と並べられた記録の集積って感じがするけど、これはそれとは全く違って、思考の模索をそのまま書き出して物語にしたって感じがするな。
    何が正解か、一方が正しいと思うとたちまち他のものが正しいのではないかと思えてくるのは、私がレポート書いてる時の言葉探しで陥る現象だ……と思った。
    淡々とした話の中で情景描写が際立って美しく見えるのは、エドウィン・マルハウスにも似た現象があったなと思った。
    作品それぞれでまた違った個性があるが。
    彼女の迷子の感情を読んでいて読者としてはなぜか静の状態で読むことができる作品だった。
    好きです。

  • その女だけがもつ体のパーツの一つひとつが、それが愛する女のものであれば、彼にとってはかけがえのないものになった。持ち主にとってよりも大切なものだった。

  • かつての自身の恋愛を小説に書くという女性(作者)と実際に書かれていく小説、そして創作過程が幾重にも重なる複雑な構造。一読するとやや混乱するが再読したい作品。

  • 序盤は慣れない言葉のリズム感を楽しみ、〜中盤までは慣れなさによる酔いと停滞感で気怠く読み進めていたが
    中腹辺りの展開から急に、血肉を持ったような生々しい不規則さで飲み込まれ、そこからは一気に読み上げた。

    視点としては全く変わらない軸があって、章を跨がない限りはシチュエーションが大きく移らないのに
    徹底したディティールの描写によってこんなにも得られる没入感が変わるものかと驚いた。

    その一貫性に嫌悪感を抱く場合もありそうだが、何故そう過ぎるのか理由を探すと
    自分の感覚を、自分のフィルターだけを通して発しているようなその浮世離れ感で。
    それはわがままでも物知らずな訳でもなくて、ただ「ひとりが暮らしていく」という事を表しているだけという気がした。
    外界との境界線が曖昧な訳ではなく、むしろありありと感じていく程に他者と自分と世が混在していくのなんて、まさに生活だ。

    様々なことを横切らざるを得ない日々の中で策を練るのも動くのもこの身なので、そりゃそうだよなと思い始めたところからがこの小説のスタートなのかもしれない。

    なんとなく避けていた理由がそのまま文章の中にあったので少し怯んだが、読めて良かったなと清々しく頼もしい気持ちでいる。

  • トゥーサンが好きなら好き、と誰かが書いていたが本当にそう。奇妙で大好き。
    全ての失恋した人に渡したいし、彼女のような目線で世界をみたい。というか、この本を読むと主人公の目線で世界をみている。本のインパクトの強さよ。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年マサチューセッツ州生まれ。著書に『話の終わり』(1995)、『ほとんど記憶のない女』(1997)、『サミュエル・ジョンソンが怒っている』(2001)、【Can't and Won't:イタ】(2014)他。マッカーサー賞、ラナン文学賞などを受賞したほか、短編集【Varieties of Disturbance:イタ】(2007)で全米図書賞にノミネートされる。2014年には国際ブッカー賞を受賞した。フランス文学の翻訳家としても知られ、ミシェル・ビュトール、モーリス・ブランショ、ミシェル・レリスなどの翻訳に加え、マルセル・プルースト『スワン家の方へ』の新訳を手がけた功績により、2003年にフランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを授与された。ニューヨーク州在住。

「2016年 『分解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リディア・デイヴィスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×