- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560080030
作品紹介・あらすじ
大正末期、この音楽が詩人の魂を揺らした。一編の詩からたどる日本のジャズのあけぼの。
感想・レビュー・書評
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ジャズを謳う「セロ弾きのゴーシュ」と活弁の時代、ジャズ・エイジと宮澤賢治。
ルイ・アームストロングと賢治が同い年であると言う事実は歴史を地域を越えて横軸に見る楽しさを教えてくれる。
賢治に端を発し、中原中也、坂口安吾と文学者の筆をとおして戦前、戦後の日本に於けるジャズの捉えられ方が分かる。 -
宮沢賢治とジャズを肴にその当時の社会を覗くという感じなのだが、なかなか実感を持ってイメージできない。昭和に入ってからのことはなんとなく風景を思い浮かべることができるが。語られているのはずいぶん遠い昔のことだと思いきやたった1世紀前の話なのだと変な感慨を覚える。
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この本をみて、やった~、と喝采を叫んだのは私だけでしょうか。
そう、読む前に、うすうすはピーンと来て、さもありなん、と思うところ大ありなのです。
それは、花巻の賢治のいつも通っていたレコード屋さんは、彼がしょっちゅうレコードを大量に購入するものですから、全国でも売上トップの成績のお店ということで表彰されることが多かったというエピソードがあるからです。
チェロを弾くシーンのある映画『肉体の道』から発想して名作『セロ弾きのゴーシュ』が生まれたように、彼は活字媒体以外の諸芸術からも最大級のヒントを得ることを貪欲に追求していましたが、こと音楽には人一倍思い入れが深く、自らチェロも弾きましたし、作詞作曲はもちろん作品も残っていますが、そういう音楽好きが、単にクラシックだけに止まっているはずがなくタンゴやジャズにも・・・と思っていましたが、案の定それを裏付ける詩作品が、大正末に「ジャズ・・夏のはなしです」「岩手軽便鉄道7月(ジャズ)」という詩が発表されていたというのです。
日本でのジャズの受容は昭和初期から、しかも大都市・東京というのが一般的な定説なのですが、賢治はそれより数年も前に、片田舎の花巻で、ひとり密かにデキシーランド・ジャズに聞き入っていたというのが、またまたひとつ賢治伝説が増えて、より崇高さが増したという感じが大いにするではありませんか。