現代中国女工哀史

  • 白水社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560080498

作品紹介・あらすじ

よりよい暮らしを夢見て村を飛び出し、広東省の工業都市に出稼ぎに出た若き女性労働者たち-。「世界の工場」で働く彼女たちのたくましくしたたかな生きざまを等身大の視点で描いた傑作ドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 2018/04/03 18:38:53

  • 発展著しい中国で生き抜いている女性たちの姿を、中国系アメリカ人の女性著者が密着取材している。読んだ理由は1つ、著者が女性だったから。躍進を続ける中国で働く女性たちの姿は、搾取差別といった、負の部分を映し出してもいる。しかし、そこで生き抜く彼女たちを、単に強いとかたくましいという言葉でくくってしまうようなルポルタージュとは違い、女性の視点で現代の中国社会を都市と農村の両方から見ている本著は、評価ができる。
    彼女たちが、低賃金と長時間労働に押し込められながらも、転職を繰り返し、工場労働から事務へ、さらに管理者へとたゆまぬ努力を続けているのは、「農村へ帰りたくない」という気持ち、女性を前時代的な、男尊女卑の社会に閉じ込めている親たちのいる村には帰りたくないという強い思いだ。
    決して、遠い国の話ではない。女性たちの日常を追えば追うほどに、私たち日本に住む女性が置かれた現状との共通点が見えてくる。上昇するための英語習得、パソコン教室や、ケータイがつなぐ人間関係、細切れの転職で世渡りのスキルを身につけるのは、搾取と差別、詐欺や収賄が横行する社会で生き抜くためであり、必死で婚活にいそしむのも、そうしなければ生き残れない現実があるからだ。まやかしや嘘、トンデモ商法などの事例はより驚愕にあたいするとはいえ、先に「発展」していたはずの日本で、女性の置かれた現状はなんと似ているのだろうと思う。

  • 『広東省中部の新興都市・東莞の巨大工場群で働く十代から二十代の女子工員たちに密着し、彼女たちの日常を克明に描いたノンフィクション』です。苛酷な環境でもたくましく生きる彼女たちの姿に胸を打たれました。

    以前、とあるテレビのバラエティ番組で1000円のジーンズを作る中国の縫製工場の女の子をおったものがありましたが、番組の性質や時間の都合上、あまり突っ込んだところには触れていないので、不満に思っているときにこの本に出会いました。こっちに書かれている内容のほうが僕には断然面白かったです。

    いやぁ、それにしてもここに出てくる「民工」と呼ばれる女性工員は非常にたくましいです。仕事の合間には学校に通い、語学も習って恋愛もして…。それは日本も経済的に追い抜かされるわけだわなと痛感するしだいでございました。一方日本の社会では『失われた20年』と称して、底の知れないほどのデフレスパイラルにあえいでいることは周知のとおりでございますが、皆さんがはいている1000円2000円のジーンズがどのような過程を経て届けられるのか?その一端を知っていただけると幸いです。

    さらに深く知りたい方は『女工哀歌』という縫製工場でジーンズを作る少女たちを追ったドキュメンタリー映画もあわせて観て頂けるとより深い理解が得られると思います。

  • 表紙の女性の表情が全てを物語る。女工哀史では決してない、エネルギッシュな現代中国女性の生き方がここに描かれている。

  • 女工が家を出た経緯から仕事や恋愛での人間関係、村、家族との繋がりなどが物語のように描かれ、数字や大きな流れだけではない個人としての女工とリアルな中国の姿が見えてくる。彼らの興味深い転職方法や、生きて行くための術を知ることができる。

  • 東莞くそ行きたい。

  • 2010.03.28 日本経済新聞に紹介されました。
    2010.04.25 朝日新聞に紹介されました。

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