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- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560082911
感想・レビュー・書評
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オセアニア、アメリカ、アフリカ等の文字を持たない民族に伝わる神話を紹介した書。口承や儀礼、あるいは社会構造全体を通じて伝承されてきた各々の神話の意味や機能を、創造神話・起源神話を中心に解説する。
本書は、Pierre Grimal (ed), Mythologies, 2 vols, Librarie Larouse, Paris (1963)の抄訳である。原著からオセアニア・東南アジア・ウラル諸族・シベリア・アメリカ(北・中央・南)・アフリカといった無文字文化圏の神話の章をピックアップした(東南アジアの神話については訳者大林太良著『神話と神話学』(大和書房,1975年)収録の増補)本書では、世界や事物の起源を説く創造神話や起源神話をメインとして紹介する。そしてその神話の構造や地域差・儀礼などへの反映を通して、各地域それぞれの特徴や傾向を分析している。世の諸事象を一組の対称図式で解釈する北アメリカの諸民族、社会構造や生活のあり方そのものが神話を体現するアフリカ……。文字を持たないが故に語りや儀礼といった形で伝承され、それがつい最近まで行われてきた――言うなれば「生きている」神話が見せてくれるのは、ギリシャや北欧といった古典古代の神話とはまた異なる様相である。
本書が紹介する神話は、日本では中々まとまった形で紹介されることの少ない地域のものばかりである。特に東南アジアやウラル、南アメリカについては日本語での文献が殆どないので、全く知らない神話の世界を味わえる一冊であるといえるだろう。
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