孤高の守護神 ゴールキーパー進化論

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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560083581

感想・レビュー・書評

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  • ゴールキーパーって不思議。前から興味ありました。
    この本を読むと、歴史や政治と大きく関わってきたんだなあと思います。

    ローマ時代は最も鈍い選手が後方でプレイするとされていたし、ヴィクトリア朝時代の学校のディフェンダーは身体的に劣って、やる気もない学生がやるものだとされていました。

    せっかくなので登場した主要なゴールキーパーたちをメモ。

    第一章 ジェームズ・マッコーレイ、ウィリアム・「太っちょ」・フォルク、リー・リッチモンド・ルース
    第二章 レフ・ヤシン、リナト・ダサエフ、イゴール・アキンフェエフ
    第三章 リカルド・サモラ、プラッコ・フェレンツ、アルド・オリビエリ、ジョバンニ・デ・プラ、ジャンピエロ・コンビ、フランティシェク・プラーニチカ、ルディ・ハイデン、フラニョ・グラサー
    第四章 グロシチ・ジュラ、エトヴィン・ファン・デル・サール、ウーゴ・ガッティ、ウバルド・フィジョール、ホルヘ・カンポス、ホセ・ルイス・チラベルト、レネ・イギータ
    第五章 モアシール・バルボーザ、ジウマール、バウジール・ペレス、エメルソン・レオン、クラウディオ・タファレル、ジーダ、ジム・レイトン、アンディ・ゴラム
    第六章 パット・ジェニングス、ゴードン・バンクス、ピーター・シルトン、レイ・クレメンス、デビッド・シーマン、ジョー・ハート
    第七章 トーマス・ヌコノ、ジョゼフ=アントワーヌ・ベル、ジャック・ソンゴォ
    第八章 ピーター・シュマイケル、ディノ・ゾフ、ジャンルイジ・ブッフォン、ゼップ・マイヤー、オリバー・カーン、ブラッド・フリーデル、ティム・ハワード、アンドニ・スビサレッタ、イケル・カシージャス、ヴィクトル・バルデス
    第九章 イェンス・レーマン、ヘルムート・ドゥカダム、シュテファン・ストヤノビッチ、ゼッティ、カルロス


    その背景や人生など、とても面白かったのですが、ひとりだけ実際に見られるとしたら、私は第七章に登場した、ユーゴスラビアのベアラ。
    当時欧州サッカー史上最高のゴールキーパーの一人で、おそらくユーゴスラビア史上最も偉大なゴールキーパーの一人であったことは間違いありません。
    レフ・ヤシンが1963年に欧州最高選手賞を受賞したとき、世界最高のゴールキーパーは自分ではなくてベアラだと主張しました。
    当時ユーゴスラビアの崩壊がひそかに進行していて、また、冷戦時代に米国と旧ソ連の陣営に公式に所属せず、中道路線をとろうとする国々をユーゴスラビアが中心になって組織した「非同盟運動」の拡充を図る計画の一環として、大統領チトーは西アフリカ諸国に人員を派遣するプログラムを実施しました。そのプログラムでやってきたベアラは、彼の資質をカメルーン選手に伝授しようとしました。
    そのカメルーン選手がベルとヌコノ。ヌコノはブッフォンの子ども時代のアイドルだった人です。
    いろいろ書くと長くなるのですが、べアラはとても魅力的なコーチとして描かれているし、私がなにより気になったのは、彼がバレエ教師について足さばきを学んだということです。

  • GKの歴史について書かれた本。
    かなり厚い本で、当初サッカーにGKはいなかったが、19世紀初頭からGKというポジションが出来上がってきたことなど知らなかったことがわかってよかった。
    日本語訳の問題かもしれないが、言い回しがくどく感じていまいち夢中で読むような感じにはなれなかった。

  • えー、おもしろそうと、思わず手に取った。まだ途中です。サッカー選手自体、おもしろい人が多いようだが、GKの変人割合は群を抜いているという印象はほんとうだった。第2章はソ連~ロシアのキーパー。トルセヴィチ、レフ・ヤシン、リナート・ダサエフ、そしてボスことセルゲイ・オフチンニコフ!そしてアキンフェーエフで終わっている。「画一性を要求する社会では、ほかの集団の構成員とは別個の存在感を持ち、一個人と個性を発揮できる機会はめったにない、だから社会主義体制下ではゴールキーパーが魅力的なポジションと考えられる」という、珍妙な説が示されていたりする。(この箇所からナボコフのエピソードへの流れは不自然で、「そもそもロシア人がゴールキーパーというポジションに特別な崇拝の念を持つようになったのは、1917年のロシア革命まで遡る。」は「1917年以前にまで」という意味でないと亡命したナボコフには繋がらない)オレーシャがオレシャノになっている(なんかラテンアメリカっぽいね)。ウラタールって何と思ったらвраталь(キーパー)か。これは註をつけなきゃね。みたいな細かい不満はあるが、楽しく読み進めている。

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著者プロフィール

『フィナンシャル・タイムズ』のサッカー記者で、著作に『サッカー戦術の歴史2-3-5から4-6-0へ』(筑摩書房、2010年)などがある。本書は世界各国を取材して書き上げ、高い評価を得ている。

「2014年 『孤高の守護神 ゴールキーパー進化論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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