- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560090800
作品紹介・あらすじ
世界各地に暮らす四人の子供たちのもとに母からクリスマスカードが届く。ブッカー賞作家による2016年度アイルランド文学賞受賞作
感想・レビュー・書評
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アイルランドのある家族の物語。
巣立ってからはあまり連絡をしていなかった家族と久しぶりに会う、あのぎこちない距離感はわかる。
それぞれ良好な関係だけれども、自分の世界がもう実家ではないところにあるんだなと感じている。その代わり、何の遠慮もなかった子どもの頃とは違って、家族を思う気持ちがより意識的になっている、そういう感じ。
子どもたちは大人になればなるほど、そして母親はずっと母親だからこそ、言わないことがあるのだろう。古い考えが余計にそうさせているのかもしれない。
子どもたちの感覚や考え方は、次の世代のそれだ。
こういうのはどこも同じなのかな。
モヤモヤすることや些細な諍いから、相手の思いやりを素直に受け入れることが出来ないのも、きっと世界中どこにでもいる家族の姿だと思う。
読みながら、自分の家族とこの先のことを思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
家族という括りには、一括した感情の表現が思い当たらない。
親から見た子、子から見た親、兄(姉)から見た弟(妹)、弟(妹)から見た兄(姉)、夫から見た妻、妻から見た夫、そしてそれぞれから見たそれぞれの様子。
「家族の不安定さ、一人ひとりの葛藤……ダイナミズムを感じる」(訳者あとがき)
溢れ出るような情感の物語なのかと思った。
が、複雑で難しく、曖昧で強烈だった。
いったい何を読んでたんだろう。
時々、《文学》って一体なんだろう、なんて本当は考えなくてもいいのに考えてしまう。
「知的でユーモアに溢れ、時に残酷な美しい物語」って書いてあるけど……
正直言って、ダンのクダリはしつこくてウンザリした。
(あくまで個人の感想です。許してください) -
アイルランド発。最近こういうのによくあたるが、家族物で、後味悪いとうか、血の繋がりへの束縛、業、がリアルすぎて、軽く読み流せないというやつ。特に物語として注目するような出来事はもちろん?ない。ただ雑多な人々の行動の羅列。人それぞれ生活レベルや生まれ育ちの差もあるが、立場があって、上から言われても全くこちらには当てはまらない、とか格差によるわかりにくさってあると思うが、この本は本当に家の中で自分の家族との会話(血が濃すぎる故の当たり障りのなさ)が自分にはしんどくて、そういう意味で苦手。