星のなまえ

著者 :
  • 白水社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560096529

作品紹介・あらすじ

星を見るまなざしの美しさと険しさ

 『夫・車谷長吉』で今年度講談社エッセイ賞を受賞した詩人が、好評既刊『水のなまえ』に引き続き書き下ろした、星を巡る芳醇な香りに満ちあふれたエッセイ集。
 「星々が美しいとしたら、どんなふうに美しいのか、どんなふうに語りかけてくるのか。それらとどのように付き合ってきたのか。どのように共鳴して心の弦を鳴らしたか。どんな劇に出会ったか」――
 著者は古典から現代まで、詩歌から民俗学や旅に至るまで、星にまつわる多種多様なテーマを自在に逍遥し、さすがにどれも豊かな読後感が残って心地よい。
 例えば「すばる」。清少納言のお気に入りで、「枕草子」の一節「星はすばる。彦星。夕づつ。よばひ星すこしをかし……」はよく知られているが、星の記述はこの一節だけ。そこから清少納言の思いを探ろうとする。
 また小林一茶が自分を「我星」とよび、星に投影する姿を「我星はどこに旅寝や天の川」などの句例をあげて見てとろうとする。もちろん著者のお得意、北原白秋、室生犀星、堀口大學らの詩人が向き合った星への言葉も心に残る。
 星について、思わず人に語ってしまいたくなる一冊だ。

感想・レビュー・書評

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  • それを 知ったから 
    と しても
    なに ということはない

    草花の なまえ、
    樹木の なまえ、
    鳥の なまえ、

    でも
    その 名前を知った
    その時から
    なにか 気持ちの中に
    ほっこり したものが
    産まれる

    星のなまえ も
    むろん 同じこと

    何も知らないで
    見上げる 夜空よりも
    たとえば
    「あっ スバルだ」
    と 見上げる 夜の方が
    気持ち よい

  • 星のなまえというタイトルだったので、星座や星の名前についてエピソードなどがまとめてある本なのかと思っていたら違った。色んな詩や本などで星関連の言葉がどう扱われているかみたいなのが多かった印象。エッセイはあまり読まないので、いまいちよくわからなかった。

  • 星のなまえをもとに、歴史や風俗などつらつらと。遠くにあるものを想うと、日常に疲れた心がいささか安らぐ。

  • 辞典系の体裁かと思っていたらそうでもなく。

    稲垣足穂や谷川俊太郎の作品に出てくる星などのところがよかったなぁ。

    ラストの言葉としての「星☆★○●」のところも面白かったですね。
    たしかに、なんでだろって。

  • 講談社エッセイ賞を受賞した詩人が、『水のなまえ』に次いで発刊した、星にまつわるエッセイ集。
    古典から現代までの詩歌や民俗学などの文献から、星のテーマを取り上げているため、ずっしりとした情報量。

    常軌を逸した圧倒感さえ感じますが、それはあとがきに書かれているように、本書を執筆中に著者の夫(作家の車谷長吉氏)が急逝されたことと関係するように思います。

    伴侶が亡くなったあとも、星になって自分を見下ろしてくれていると信じて、八ケ岳山麓で星の夜空を見上げる著者の心境を想うと、なおさら深い意味を感じるこの本。
    はかなさが透けて見える、寂しく美しい本です。

  • 「スイキン、チカモク、ドテン、カイメイ」(今はメイなしとか・・・)、ものの名前を知ればものに親近感が生まれ、その世界は身近になってきます。1944年生まれの高橋順子さん、「雨の名前」「風の名前」・・・「水のなまえ」、この「星のなまえ」(2018.9)は「水のなまえ」の姉妹編で2014年秋に取りかかったそうです。2015年5月に伴侶車谷長吉氏が急逝し、2年かけて遺稿集と回想録を上梓、その後、八ヶ岳山麓で星空を観賞しながら本作をまとめたそうです。古典、民話、和歌、俳句、詩、歌詞・・・、いろんな範疇での星を!

  • そういえば星を見ていなかったし、詩を読んでいなかった。星の詩というのは結構あるのだな。水も読んでみようか。

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著者プロフィール

作詩:詩人(1944~ )。東京大学仏文科卒。第一詩集『海まで』('77年)刊行後、詩人として第一線で活躍。[主な詩集]『花まいらせず』('86年、現代詩女流賞)、『幸福な葉っぱ』('90年、現代詩花椿賞)、『時の雨』('96年、読売文学賞)、『貧乏な椅子』(2000年、丸山豊記念現代詩賞)、『海へ』('14年、藤村記念歴程賞・三好達治賞)


「2017年 『女声合唱とピアノのための 放心の先には』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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