キャリア・デザイン・ガイド: 自分のキャリアをうまく振り返り展望するために (Career Anchors and Career Survival)

著者 :
  • 白桃書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784561233862

感想・レビュー・書評

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  • 他の本でも聞いたことのある理論のつながりと、金井さんが考えるキャリアのデザインとドリフトの話。

    ・内発的モチベーションの研究を極めた、エドワード・デシはうまくできること、自分で決めたことをしていること(有能感と自己決定)が外部に振り回されない、報酬だけに踊らされない生き方を考察し実践するためのふたつの鍵。
    決定のほうが、有能感よりもさらに大切。
    ・入社した会社になじめない、あるいは中年になるころにはこのままでいいのかという焦燥感があるときに、一方では「わたしとはなにか」という問いが有益です。
    他方では、移動後の職場になじめない、このままでいいのかと悩むときに、仕事環境が自分にあっているのかどうかの診断も必要です。その際の問いは「わたしはいったいどのような状況に置かれているのか」
    「どのような人々に取り囲まれて、彼らがどのような要望の嵐のなかで生き残ろうとしているのか」という問いです。」
    ・一皮むけた経験を振り返ることは、一方で、自分の仕事生活を支えるよりどころを探るのにも役だち、他方で、結構大変な状況でも自分が乗り越えられてきたという自信や自尊心をあらためて確認しはぐくむのにも役立っている。
    ◇トランジションサイクルモデル
    レビンソン:安定期と移行期がある
    ブリッジズ:移行期の時には、終わりから始まり、トランジションがやってきて、次の安定期が始まる
    ユング:人生の正午は40というが、午前、正午、午後と何度もトランジションが起こると考える
    ニコルソン:新しい世界に入る→実際のその世界でいろんなことに遭遇数r→新しい世界への順応→この世界は新しいとは言えないほどなれる
    キャンヘル:旅立ち→成し遂げ(出会い、修行)→帰還→旅立ち・・・
    素戔嗚尊(すさのおのみこと)も、アーサー王も、ジュダイもまるで一人の同じ英雄が仮面を変えているかのようなサイクルを回している。
    金井:キャリアの方向感覚を持つ(現実的な夢を描く)→節目だけはキャリアデザイン(何がやりたいかキャリアを自覚的に考える)→アクションする(一歩踏み出し、最低必要努力導入量を費やす)→ドリフトも偶然を楽しみながら(あとは次のトランジションまで楽しく)→キャリアに方向感覚を

    ・達成を表すアチーブメントではなく、充実を示すフルフィルメントということが印象的。世界が望んでいたこと、そこに空白があったところを埋め合わせるということでもあるし、心理的にも何かそれまで満たされなかったものをとうとう満たすということでもある。
    ・周囲の人あっちの声を聴きすぎると、自分の望みや可能性を試さずに終わってしまうことに警鐘。仕事の中に非日常はないといわずに、大きく一皮むける修羅場経験のつらなりの中に、とりわけ自分が起案しておこなったことについては、強み、望み、価値、可能性を感じなおしてください。

  • キャリア・アンカーとキャリア・サバイバルの2冊の補完的な位置づけとなっており、「インサイドからの声」と「アウトサイドからの要請」という、キャリアを考える上での2種類の視点をいかに上手く統合していくのかについて考えていく。
    仕事や人生において「一皮むけるという経験」は、学習や発達を大きく促す要素である。そのような節目がキャリアの中でどのような位置づけになっているのかについて、トランジション・サイクルという概念と共に語られている。
    ちょっと笑ってしまったのは、4番目のトランジション・サイクル・モデルとして紹介される「英雄伝説から見たサイクル」で、一皮むけるという経験は伝説的・英雄的な側面を持っている (narrative) けど、心理学や組織科学、社会学のような分野から「英雄伝説」のようなフレーズが出てくるとはなあと感心した。

  • Session7「プロセス・コンサルタントとしての人材開発部門のあり方」課題文献

  • 【メモ】サバイバル(生き残ること)とアンカー(拠り所)/ 内発的報酬:自己決定感、有能感 / ひとりで悶々と自問するだけでなく、人々と接しているから気付く自分というものがある / 「志の高い」わがまま(会社や社会の要請が聞こえた状態)/ 発達とマッチング(適合)/ 自分を眺める(主観的基準)のと自分がいる仕事世界を眺める(客観的基準)/ インサイド→アウトとアウトサイド→イン(個人を取り囲む環境がひとの仕事ぶりにどう影響しているか)/ 生涯発達の心理学(節目)とライフコースの社会学(時代からの期待と適応の視点)/ 時間的・空間的視点:アンカーは長期・「ここ」を超える、サバイバルは「今ーここ」の仕事環境 / http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0108-5d.html / 発達的ネットワーク(モニカ・ビギンズ):メンター研究を超える論点。たったひとりのパワフルなメンターでなく、そこかしこに、自分の発達にプラスになるリソースとなる人々とのつながりがある / エンプロイヤビりティとポータブルスキル / バウンダリーレス・キャリア / キャリア・アーキテクチャ(設計思想)/ キャリアデザインのやり方そのものをどのようにデザインすべきかというメタ発想 / 節目だけはキャリアデザインする。節目と節目の間は流される(ドリフトする)のもいい / キャリアは「長い目で見たときの仕事生活のパターンや意味づけ」/ 職歴・履歴は過去のウェイトが重く響くが、将来を展望するための過去の内省がポイント / 「いい仕事人生だった」とつぶやける姿が、究極の自己肯定(統合) / Follow your heart / 客観的サクセスが心身の健康にプラス(ニコルソン) / devil's advocate / いいキャリアとは、<アンカー>?節目がしっかりデザインされている、?長期になればなるほど、自分らしく生きていると実感できる(仕事の場に自分らしさの追及)、?「わたしが選んだ道だ」という尊い自己決定感と「皆と共に生き、生かされている」というネットワーク感覚、?物語が多い、?知識創造や知恵につながる(気づきの多い経験)、?一皮むけるたびにひとりの人間として深み、統合感、存在感、人間的魅力を磨き続ける、<マッチング・サバイバル>?自分の望みと組織の望みの一致、?ドリフトを楽しむ余裕をもつ、?アクション、?緊張とリラクゼーション、?良いガマンとわるいガマン、<アンカー×サバイバル>?個人と組織のニーズが「変化する環境下」で「長期」にダイナミックに適合する、?いくつになっても発達を続ける / 人生物語(life history)、パーソナルヒストリー / 一皮むけた経験、マイベストジョブ / 石を運んでいる人に「何をしているのですか?」と聞く:肉体労働です⇒家を作っているのです⇒教会の基礎を作っているのです⇒上に少しでも近づくためにこれをしているのです / トランジション・サイクル・モデル(D.レビンソン)/ 転機(移行期)内のマイクロ・サイクル(W.ブリッジズ):大切なことの終わりの実感⇒中立ゾーン⇒後ろを振り返らず新しい世界の入り口に立った始まり / 一皮向ける仕事経験(N.ニコルソン):準備⇒遭遇⇒順応⇒安定化 / 脱線(derailment)のダイナミクス(M.マッコール):?「強み」は「弱み」になる、?見えなかった部分(弱みや欠点)が問題になる、?成功によって傲慢になる(他人の助けを必要としないという信念、傲慢に自分がなるなんてありえないと思う)、?不運 / 英雄伝説から見たサイクル(J.キャンベル):旅立ち(separation)⇒(出会いと修行・試練(encounter - initiation)を経て)成し遂げ(fulfillment)⇒帰還(return)/ デザインとドリフト(金井):?キャリアに方向感覚を持つ(現実吟味できる夢)⇒?節目だけはキャリアデザインする⇒?アクションをとる⇒?ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む / 最低必要努力投入量(MER)/ トランジションサイクル9つの次元:?速度(頻度)、?振幅、?つり合い(順応時間)、?継続性、?裁量の余地、?複雑性、?推進力、?促進者・要因、?重要性 / 変化の諸側面:脈絡、関係、地位、機能 / 人事のサーバント・リーダーシップ:ドゥアブル(doable)とデリバラブル(戦略のパートナー、管理のエクスパート、?従業員のチャンピオン、?変革のエージェント)/ キャリア自律性(career self-reliance,CSR)プログラム

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著者プロフィール

神戸大学大学院経営学研究科教授

「2012年 『実践知 エキスパートの知性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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