- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562059379
作品紹介・あらすじ
酒にまつわる愉快で意外なエピソード満載の本。ユーモアたっぷりの洒脱な文体に助けられて、すらすら読みすすめることができる。 酒と歴史が好きな人にとって興味がつきないエピソードの連続であるが、下戸にとっても楽しい蘊蓄本となっている。
感想・レビュー・書評
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1000万年前から現代まで、酒が人を変えて歴史を紡いできたことをユーモア溢れる筆致で解説している一冊です。
この時、あの時、なぜこんなことに…という史実の裏に、アルコールの存在があったりなかったり。
素面と酔いの違いが歴史に大きく影響していることに、面白味と人間臭さを感じました。
庶民もお酒で失敗(又は成功)することがあるのですから、国の舵取りを担う指導者のそれにはアルコール度数と摂取量に比例した重みがあるのでしょう。
歴史の資料なのですが、お酒との正しい付き合い方を改めて考えさせられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランスのジャーナリストの手による、世界史における酔っぱらいがやらかした出来事の記録です。
例えば、ボストン茶会事件の襲撃者たちは、酔っ払っていたせいで大胆になって本来予定していなかった積み荷の投棄をした、とか。(ボストンのグリーン・ドラゴン・タヴァーンはまだ健在だそうで、行ってみたい限りです)
あと、WW1のフランスの兵隊のワイン消費量、兵士1人、1日あたり3〜4リットルって、多すぎでは?とか。
こういった酔っぱらいエピソードが21章にわたって繰り広げられます。
冒頭で、「アルコールの摂取はヒトの進化を加速させた可能性がある。」「人間の遺伝子はお酒を好むようプログラムされている」というのは、ちょっと酒呑みの言い訳っぽい感じもしました(笑
18世紀末のパリ市民は、郊外だとワインの税金が安く、1/4の値段で飲めるということでみんな足を運んでいた、ということなんですが、これ、どっかに酒税特区作ったら日本でも観光振興になるのでは。(東京以外、って手もあるけど、自分で言ってて自殺行為ですね(笑))
本著を読んでいて感じた課題として、フランスの本を直訳するだけだと、良くわからないトコはあるなぁ…と。
例えるなら、日本人が日本人向けに書いた日本史の本で生麦事件を取り上げたとして、日本人なら「あぁ神奈川で起きた薩英戦争の遠因になった事件か」となると思うんですが、本著で「ブルボネ地方」とか、パリの門や通りの名前がサラッと書かれているのは、まぁ固有名詞として流せば良い話ですが、ちょっと引っ掛かる感じがありました。
(「シゼの森」はカッコ書きで解説がありましたが。あと、「スクーナー」もサラッと書かれてましたが、帆船の種類だってググって判明)
酔っぱらい話としては、他に類著があるのでそちらをまずオススメしたいなという感想です。 -
古代から現代まで、世界史上の酒と酔っぱらいのエピソード集。アレクサンドロス大王もシャルル2世も「酔漢」セリム2世も酒癖が悪く、アレクサンドロス大王は不摂生で、セリム2世は酔って滑ったことで死去。マルクスもエンゲルスも酒好き。リンカンとケネディ暗殺時、警護官はそれぞれ酒場で深酒中と二日酔い中。スターリンは仏独日それぞれとの条約締結時の宴会で、自分は水を飲みつつ相手をウォッカ漬けにしようとする。ニクソンもエリツィンも大酒飲み。
アジアの事例では日露戦争。バルチック艦隊の移動中も旅順攻囲戦でもロシア人は酒漬けだったとのこと。 -
世界史の裏にはアルコールが絡んでいる、という視点が面白かった。
護衛が二日酔いだった、戦地で酔っ払ってた、とか。
今起こっている出来事も…? -
<目次>
第1章アフリカ 1000万年前 ホモ・ノンベラスに遺伝子変異
…
第21章モズドク(ロシア)1994/12/31 グロズヌイ攻撃は、
ウオッカで大晦日を祝う宴席で決定された
フランス語の翻訳本
翻訳が最悪である。読みにくい、進まない、直訳、
つまらなくなる。3人の翻訳者が分担しているが、
どれも同じダメさ加減。
内容自体は、よいと思うが、とにかく読み進めれない。
残念である。 -
酔っぱらいが変えた世界史、というより、狂わせた世界史。権力者そのものの酔狂による判断もさることながら、権力者を取り巻く人々の、見えない酔っぱらいぶりが、歴史を狂わせている様子を描いているのが、面白い。
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50263013 -
酒は人を変える。それによって失敗する人もいる。一般人の影響力は微々たるものだが、権力者となるとそうはいかない。
酔っ払いをテーマにした世界史とは面白い視点だな。決して教科書では取り上げない「黒歴史」満載だ。
古代ギリシアのアレクサンドロス大王は、深酒が原因で32歳で亡くなっている。宴会をよく開き、酒をあびるように飲み、徹夜も多かったそうだ。そんな生活を送っていたら体が悲鳴をあげるのは目に見えている。
イギリスとフランスの間で長い間、戦いを繰り広げたことで有名な百年戦争だが、ワインが転機をもたらす結果になったとは夢にも思わなかった。
1373年3月21日時点では、イングランド側に優位な戦況だった。森を横断しているときに、イングランド兵たちがワインの入った樽を運んでいる御者たちを追い払った。そして樽を割り、ワインを堪能した。
すっかり出来上がったイングランド兵の酔っ払いたちは、数時間後の戦闘でものに見事に使い物にならず敗北した。
酔っぱらいの影響は明治時代にも及んでいた。日露戦争(1904-1905)で日本は旅順を攻略して日本が勝利へと向かうこととなった。その原因はロシア軍が酒をガブガブ飲んでいたというから驚きだ。
当時のロシアは、ウオッカの値上げで販売商の数を増やしてその利益でもって戦争を行っていた。アルコールは国家の専売品だった。酒を求めていた人からすると戦いに行くことでしか酒をグビグビ飲めなかった。
酒で失敗する例は無数あるが、戦争の勝敗に関わるとは人間の心の弱さなのか。
これからも酔っ払いの世界史は人間が酒を飲み続ける限り永久に不滅だ。ただ、国家の大惨事を招くようなことはないと勘弁してほしいなあ。
そう言えば今日から緊急事態宣言解除で酔っ払いが増えるのかな。