ネコが見た“きせき” (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

  • 評論社
3.18
  • (0)
  • (3)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 47
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566007338

作品紹介・あらすじ

むかしむかしのこと、1ぴきのネコが、だいきらいなウシやヤギといっしょに、納屋にすんでいた。納屋はもちろん、ネズミもいた。ネコは、ネズミとりの名人だったから、ごちそうにはぜんぜん不自由しなかった。ある、さむい雪の夜、とつぜん、ふたりのにんげんが納屋に入ってきた。それからそこで、あかちゃんが生まれて…。ネコが語るクリスマス・ストーリー。2000年まえの"きせき"が、美しいイラストでよみがえります。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書は、昨年末に読んだ、アストリッド・リンドグレーンの、「馬小屋のクリスマス」と同様の物語ですが(物語の展開は少々異なります)、ネコの視点で描いた点と、青を基調とした色の微妙なコントラストの美しさが、印象的でした。

    皮肉屋のネコの話し口で語られる物語は、堅苦しさを感じさせない、和やかな雰囲気があり、本来、キリスト誕生という厳かなお話なのですが、そこはネコならではの祝福も加わり(今夜はネズミとりはやめにするですって!)、見ているこちらも微笑ましい気持ちにさせられますが、命の大切さを教えてくれることは同様に胸に染みました。


    あかちゃんの声がひびきわたった。
    なんでだろう? それこそ、おいらたちの待ってたものだ、って気がした。

    納屋にいるどうぶつは、みんな、じっと息をひそめてた。ううん、世界じゅうがじっと息をひそめているみたいだった。
    みんなが、あかちゃんを見つめてた。
    あかちゃんも、みんなを見つめてた。


    また、物語の最後のネコの言葉には、今でも争いを続けている世界へのメッセージとも感じられたのが印象的で、やはり、命を失うことよりも、命が生まれることの大切さは、何よりも忘れてはいけないと、改めて実感いたしました。

  • 雪の舞う寒い夜のこと、ウシやヤギ、ロバたちと家畜小屋に棲むネコが見た、不思議な体験の絵物語。・・・それは、バタンとドアが開いて、雪まみれの人間二人が入ってきたことに始まった。女の人の呻き声がして、赤ちゃんの泣き声が! 納屋の外では、羊飼いとヒツジたちが神妙に覗き見る。ラクダに乗った三人の王さまみたいな人間がやってきて、生まれたばかりの赤ちゃんの前に跪く。 動物たちもこぞって、赤ちゃんを見つめつづけた・・・。 あの夜以来、一匹の鼠も捕まえなくなったネコが〝誰かと争うのが、すっかり厭になっちまった〟と。

  • 読み終わってみると、ネコがキリスト誕生の場面を解説しているのでした。

  • 絵は綺麗
    感動はなかった

  • 今から2000年ほど前に起こった「きせき」のお話。

    語り手の「ネコ」は大嫌いなウシやヤギと一緒に納屋に住んでいた。そこへ、2人の人間がやって来る。1人はお腹の大きな妊婦さん、もう1人は男性で身重の彼女を支えている。気づいたときには赤ん坊が産声をあげていた。ネコは赤ん坊を見た瞬間、「なんでだろう?それこそ、おいらたちの待ってたものだ、って気がした」。ウシもヤギもヒツジもラクダもネズミも王様みたいな服を着た人も、みんな赤ん坊を見るために納屋に集まってきた。いつまでも見ていたいと思ったが、翌日、彼らは赤ん坊を連れてどこかへ行ってしまった。ある寒い雪の夜の出来事であった。

    このお話は、おそらくイエス・キリストの誕生を描いているのだろうと思う。ネコ目線の物語なので、はっきりそうだと書いてあるわけではないが、誰にでもそう読み取ることができるように描かれている。キリスト教徒でなくても何者かに感謝したくなるような、何となく神聖な気持ちになれるような、珍しい趣向が凝らされた作品である。
    なぜだかわからないけれど待ち望んでいたものがこの世に生まれてきた「奇跡」を美しい挿し絵とともに静かに伝えてくれる新しいクリスマス・ストーリーだ。

  • 2016.2

  • 2009年12月6日

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1938年生まれ。イギリスの絵本作家、イラストレーター。『ネコが見た”きせき”』などの絵本のほか、『走れ、風のように』『世界で一番の贈りもの」『負けるな、ロビー!』『弱小FCのきせき』などのマイケル・モーパーゴ作品に挿絵を描いている。

「2021年 『ヒナゲシの野原で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マイケル・フォアマンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×