龍の文明・太陽の文明 (PHP新書 170)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569617350

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  • 6000年前の遼寧省や内モンゴルで発展した紅山文化の遺跡から猪龍がいくつも発見されており、龍は畑作牧畜民の文化として猪や馬をモデルにして誕生したと考えられる。アジアモンスーンが南へ後退して乾燥したため、紅山文化は5000年前から衰退しはじめ、4000年前に完全に崩壊した。

    一方、長江中流域では太陽と鳥が信仰されていた。遺跡は5000年前から城壁が大型化して人口が増加しており、玉や龍の信仰が顕著になってくる。4000年前になると、中原起源の三足土器が出現している。気候の寒冷・乾燥期に、北方の人々が南下したことが推測できる。

    日本列島への稲の伝搬は、稲のDNAの研究からは東シナ海を越えて直接九州南部に上陸した可能性が考えられる(佐藤洋一郎)。これは、古事記においてニニギノミコトが薩摩半島西岸の笠沙に天下ったとしていることと呼応する。

    気候変動によって文明が崩壊したり、人々の移動を促したことはあっただろう。歴史の大きなダイナミズムとしてはおもしろい。紅山文化の土器と縄文土器との類似性から、紅山文化の人々が日本列島に渡った可能性についても指摘されているが、本書だけでは説得力は感じられない。

  • やっと。読んだのだ。
    安田喜憲の本としては シンプルになっていていい。
    仮説が 仮説でなくなる部分もあって たのしい。
    龍が ヘビではなく ブタ、シカ、ウマの龍がある
    というのは、なんとなく、間抜けな感じがある。
    ブタ龍 って、滑稽すぎる。
    それが 母系性から 父権性に変化していく過程で
    権力の象徴としての 龍として羽ばたく。
    それが 7000年前のこと。

    苗族が 長江文明をささえた。
    太陽 鳳凰 そして ヘビ。多神教。
    鳳凰も想像上の動物である。
    太陽を運ぶ 鳥。まさに 手塚治虫の世界である。

    寒冷化がおこることで、5000年前に龍の勢力が南下して 
    太陽と鳳凰は 雲南へ。もしくは日本へ。
    しかし、天皇は 龍の紋章ではなく キクの紋章となっている。
    なぜ キクの紋章なのだろうか?

    大理の三塔から 大鵬金翅鳥が発見される。
    この鳥は 大龍を1匹 小龍を8匹食べると言う。
    龍を恐れない鳥である。

    イザナギとイザナミが 国をつくる。
    子孫 アマテラスとスサノオが 高天原神話。
    アマテラスの子孫が ニニギノミコトとなっている。
    アマテラスは 太陽神。
    スサノオは 森の神。

    ニニギノミコトは、長江下流から、九州の南端に流れ着いた。
    コノハナサクヤヒメと結婚する。ヤマサチとウミサチがうまれる。
    ヤマサチと結婚するトヨタマヒメは ワニだった。
    ヤマサチとトヨタマヒメの孫が 神武天皇。

    天皇神話に ふかく 長江文明がかかわってくるのだ。

  • 我々は何処から来て、何処へ向かうのだろうか。対局的な視点で書かれた良書。最後は誌面が少ないせいか、若干無理があるようにも見えた。ただ日本人のルーツの一つが雲南省である事は、間違いないと思われる。

  •  中国に起こった太陽の文明と龍の文明の対立と、それが日本に及ぼした影響。とりあえず、太陽の文明は森の文明であって、水を重視している。龍の文明は牧畜の文明であって、覇権主義だ。日本は太陽の文明に属している。日本の王権は、龍ではなく、いろいろありながらも太陽の文明を選んだって事はわかった。
     というわけで、読み物としての魅力はないが、研究書としてはわかりやすかったのではないかと。新書の性格上どうかとも思うが。

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著者プロフィール

安田喜憲(やすだ・よしのり) 1946年、三重県生まれ。環境考古学者、理学博士。東北大学大学院特任教授、国際日本文化研究センター名誉教授。ふじのくに地球環境史ミュージアム館長を務める。

「2019年 『水の恵みと生命文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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