- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569623634
感想・レビュー・書評
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空海の生涯と思想について解説している評伝です。
サブタイトルが「「情報」と「癒し」の扉をひらく」となっており、空海の思想を「情報」と「癒し」という二つのキーワードで読み解くという、奇をてらったコンセプトをもつ本ですが、内容は比較的手堅く書かれた空海の入門書です。たとえば著者は、高野山を生命との一体性を実感するための「癒し」の空間とし、東寺を密教思想の「情報」を発信するための場とするなど、いくつかの箇所で上の二つのキーワードを用いていますが、とくに目をひくような空海の思想の現代的解釈が提出されているわけではありません。
ただし、「著作と思想」をあつかった第十章は、本書のなかでもとくにページ数がすくなく、十分な解説がなされているとはいえません。著者は空海の思想を、「教理」と「教判」、「縦の軸」と「横の軸」という二つの異なる分類によって整理し、「即身成仏」「密厳国土」「十住心」「顕密対比」のそれぞれを割りあてるという見通しを示していますが、その具体的な中身については本書を読んだだけでは理解することができませんでした。
空海の生涯とその人物像について知るためには、有益な内容だったように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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「空海」と「密教」という興味あるテーマにひかれて本書を手にとって見たが、あまりに違った文化体系の専門的な内容に、思わず白旗をあげる思いで読み終わった。
「空海」の生涯の概略は、わかったようにも思えたが、当時の社会制度を理解した上で「空海」を知ることはできなかったようにも思えた。ようは、本書のみでは「空海」は理解できないのだろう。「空海」のキャラのイメージも、本書ではわいてこない。
「密教」については、本書を読んでもまったくわからなかった。もっと基礎的な知識がないと「密教」については理解できないのだろうか。
「宗教学」の本は、あまり読んだことはないのだが、「空海と密教」を知るには、もっと基礎的な本からチャレンジする必要があると思った。
本書は、読んでも空海の経歴以外はよく理解できなかった。