ヒット率99%の超理論

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569644820

感想・レビュー・書評

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  •  私は1987年に日本テレビに入社して以来、
    『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(最高視聴率26.9%)
    『マジカル頭脳パワー』(同31.6%)
    『投稿!特ホウ王国』(同30.0%)
    『速報!歌の大辞テン!!』(同26.8%)
    『エンタの神様』(同22.0%)などなど、手がけたほとんどの番組で、20%以上の視聴率を記録してきました。
     そんな私がいつからか『視聴率男』『生涯打率テレビ界№1』などと呼ばれるようになっていました。それはある意味、色眼鏡でみられていることなのかもしれません。
     その証拠に今でも「五味は天才だから」「もはや狂気に近い」「いや、極端に運がいいからだ」など、業界からいろいろと言われ続けています。
     でも、私は天才ではありません。むしろ凡人だと思います。しかし、運だけでこの結果をだせるはずもありません。十割近いヒット率なんて、偶然ではまず不可能だと思います。くどいようですが、「視聴率」は「つくり手側」が強引に獲りにいって獲れるものではなく視聴者がジャッジするものだからです。
     ではなぜ私がヒットを連発できるか……。
     それは、ある「理論」に気づいたから……ただそれだけです。
     そして、この「理論」はテレビだけでなくすべての商品やサービスに共通していることだと思います。
     このことを理解し、ある種のトレーニングさえ行えば、本書の読者であるみなさんも、大ヒット商品を生み出せる可能性が飛躍的に高くなるはずです。
     その理論とは、
    「自分がやりたいことを優先させるのではなく、人々が潜在的かつ普遍的に求めているものを、彼らの代弁者となり見つけ出し、提供する」というものです。
     こうして言葉にしてみると、実にシンプルで当たり前な考え方だと思います。
    (実は奥が深いのですが……。後ほど詳しく解説します)
     だから、私と同じようなことをすでに誰かが本に書いているかもしれない。
     そう思った私は、本書の執筆に取りかかる前に、書店に並んでいるか企画術関連の書籍を、一気に50冊ほど読んでみました。どの本も「成功した起業家」や「企画の達人」と呼ばれる人たちによって書かれたものです。
     しかし、いくらほかの本を読んでみても私と同じ、「考え方」を語っている人はいませんでした。「とにかくお客様のニーズに応えましょう」といった、なんとなくニュアンスの近いものは多数見受けられました。
     でも、よく読み込んでいくと、業界の方から「メガヒットの連発を可能にする」と評価をいただいている『私のような理論』は見当たらなかったのです。

    ●「好きなもの」「やりたいもの」では、ヒットの確率は低くなる
     なぜこれまでの「企画本」ではヒットの確率が高まらないのか。
     それはほとんどの本の流れが、どんなに「お客様ありき」を前提にしていたとしても、結局は企画の出発点を「消費者(相手)のニーズ」よりも「自分の個人的な思い(自我)にしてしまっているからです。
     たとえば、「私は花が好き。だから私風のフラワーショップを開きたい」とか「イタリアの小物は素敵。だからオシャレでかわいい輸入雑貨のお店を作りたい」という人に対して、オリジナリティーのあるショップの企画の立て方、開店の仕方を教えるタイプの本がありました。明確な「やりたいこと」がある人が、それを具現化するために読む本です。
     一方では、あなたのやりたいことを探すところから始めましょう、というタイプの本も目立ちます。自分のなかにどんな興味が眠っているのかまだ分からない人が読む、いわば「自分探し」の本です。このタイプの本は、「とにかくやってみないと結果は分からない」といった「数打ちゃあたる」的な要素が含まれているのが特徴と言っていいでしょう。
     また「成功のお手本」として「私はこんなやり方でヒットを生んだ」といったその人個人のケースにしかあてはまらない「偶然が重なった体験談」も数多く見受けられました。
     既存の企画本は、ほぼこの3つのタイプで占められていました。いずれにしても「自分の個性や思いをどうやったらうまく形にできるか」が主な内容で、「作り手の主観」が優先されると言っていいかもしれません。
     ですから、最終的にそれが「確実にお客さんに支持されるのか?」「メガヒットにつながるのか?」「緻密な計算でヒットを連発するにはどうしたらいいか?」という点はあまり問題にされていない。私にはそう読めました。
     実はテレビの世界にも「自分のやりたいことを番組にするのが理想だ」と考える人は少なくありません。当然、視聴率はとりたいという欲はありますがあくまでも自分が作りたいと思うことが最優先。言葉には出さなくても、「視聴率は運による結果。だから、たとえ低くても仕方がない(時代が自分についてこれないこともある)」と心のどこかで思っている人たちです。
     もちろん、そうした人がメガヒットを飛ばすこともあります。しかし、連発は不可能です。たいていは次の登板で低視聴率の番組を作ってしまい、打ち切られることのほうが多いのです。それは当然のことかもしれません。視聴者ではなく、自分の嗜好を満足させようと思って作られた番組が、毎回多くの人びとに支持されるわけがありません。彼らはクリエイターではあるかもしれませんが、ヒットメーカーとは呼べないのです。
     テレビに限らず、ビジネスの世界では、クリエイターとヒットメーカーはなかなか両立しないものです。クリエイターは、自分の感覚が命。運よく、その感覚が時代を射抜いているうちはいいのですが、少しでもその感覚が時代の求めてるものとズレたら、もうヒットは望めません。一般的に、センス頼みの人が、長期的に安定して結果を出すのは難しいんです。
     あえて、断言してしまいましょう。つくり手の思いが込められていることと、商品のヒットの間には、ほとんど関係がありません。仮に、自分が本当に作りたかった商品をかたちにし、それがヒットになったとしても、偶然の産物に過ぎないのです。普段はほとんど出塁しない打者が思い切りバットを振ったら、たまたまボールにジャストミート、ホームランになった、それと同じです。
     そんな偶然当たった人の書いた本を読んでも、自分にもホームランが打てる、なんて思いませんよね。ですから、もしあなたが「本気でヒトヤマ当てたい」と思っているのなら、既にある企画本を読んでも「ヒットの確率」は上がらないと言っても過言ではないでしょう。
    ●私にだって「やりたいこと」はある……しかし
     「じゃあお前は、自分が好きでもないものを作っているというのか?」という質問をよくされます。 正直に申し上げて、そのとおりです。「クイズ」「びっくり人間」「音楽」「お笑い」「感動もの」。これまでさまざまなテーマの番組を手がけてきましたが、「自分がやりたいこと」をテレビに持ち込んだことはありません。私は個人的には、前衛的な映画作りが趣味です。
     もちろん、嫌いな番組を作っているつもりはありません。私が作ってきたそれぞれの「番組テーマ」に興味がないわけでもありません。しかし、その興味度は「人並み」にすぎません。
     ですから、テレビ番組つくるのはあくまでも「仕事」としてです。
     仕事をすることは、好きです。でも、番組の内容を私個人の好き嫌いで作っているかというと「違う」ということです。私は、お客様である視聴者のニーズに応えるために企画を練り、制作を行うのであって、自分の趣味や嗜好を満たすために番組づくりをしているわけではないのです。
     ただ、だからこそ、メガヒットの連発が可能になるし、億単位のお金が動くような、大きな仕事ができる。これは間違いなく、やりがいのあることです。私は会社員でもあります。「一般の商品」と同様、「テレビ番組」にだって価格があります。「売れない商品」をつくってしまえば、赤字になるのが当たり前です。逆に、ヒットを連発すれば、会社の利益に貢献できます。当然その結果は社員である個人のもとにもさまざまな形で還元されるでしょう。
     そもそもテレビを含め、サービス業のプロであるなら、たくさんの人びとに喜んでもらいたい、満足してもらえたいと考えるのが当たり前だと思います。そう考えたら、人びとのニーズよりも自分の趣味を優先させる、という結論はありえません。これは、どの業種、職種にも言えることでしょう……。
     というよりも、むしろこの「ユーザー主体」の考え方は一般のビジネスの世界の人々のほうが当然のことだと受け止められているかもしれません。よって、今までにも多くのビジネス書がこの「顧客のニーズに応える」という方法論を繰り返し唱えてきました。
     ですから私の理論も一見、「使い古された言葉の焼き直し」のように捉えられるかもしれません。しかし、従来の方法論で本当に「顧客のニーズに応えること」が、出来ていたのでしょうか。皆、心のどこかに「でも最終的には、やってみなければわからない」という気持ちが残っているように思えます。
    「五味理論」は、徹底的にヒットの確率を上げることにこだわっています。そして、それを実践するためには、自分のエゴを捨て、ただひたすら客観的に物事を捉え、顧客のニーズに腹をくくって応える覚悟をきめなければいけません。
     もしあなたが「メガヒットを連発したい」「ばんばん売れる商品やサービスを仕掛けたい」「お金を儲けたい」と本当に願うなら、自己中心型のクリエイターを、試しにいったん、やめてみることをお勧めします。
     もちろん「俺はそこそこでいい……。俺流の生き方ができればそれなりに納得できる……。もしかしたらうまくいくかも……。まっ、場合によってはダメでもいいや……」とある意味悟っている方。もしくは「顧客がたとえ100人でも十分儲けられる」と御自分の主義を実践されている方には、私の「ヒットの確率を極端に上げる」という方法論を強要しませんが……。

  • ビジネス

  • 「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」

    「マジカル頭脳パワー!!」

    「投稿!特ホウ王国」

    「速報!歌の大辞テン」

    「エンタの神様」

    ・・・・・

    など、視聴率20%以上の番組などを手掛けた

    日本テレビ・プロデューサー 五味一男さんの著書です。


    いろいろ書いているのは大まかに言うと、

    ・自分がやりたいことではなく、万人がやりたいことをやる
    ⇒そのため、老若男女の感覚を持つ

    ということが主です。


    何かのきっかけにはなると思うので、

    時間があるときにでも読んでみるといい本だと思います。

  • ふつー。

  • 日本テレビの有名プロデューサー、五味一男氏による著書である。広く万人受けするメガヒットを生み出すためには何が必要となるのかについて述べている。その解を一言で言うとすれば、「自分がやりたいことを優先させるのではなく、人びとが潜在的かつ普遍的に求めているものを、彼らの代弁者となり見つけ出し、提供する」ということになる。この本は、前半で理論、後半で実例演習という構成になっており、非常に読みやすかったし、自分自身はっと気づかされるものがあった。

  • ヒットを出すためには…
    普遍的な人間を一人つくり、自分のアイデアの評価基準にする。
    そして、思い込みから脱却する。

    という感じの本。

    まぁ面白かったけど、特に衝撃(??)があるわけでもなく、といった本でした。

  • 読み終わって、ご本人の講義も受けてきました。
    講義でも本に書いていること以上のことはあまりないけど、実際に自分がやるとなると、五味理論をいかせない。この本は何度も読んで、実践(ビジネス案を出してサマリーを紙に落とす)するべき。
    奥の深い本!

  • 感想は後ほど・・・

  • 要点抜粋
    1「自分の頭の中に、1000万人以上の人びとが持っている普遍的な感情をイメージする」
    2「人間の本能に根ざした最大公約数的な欲求」
    3「ありそうでなかったもの」を創ることが極めて大切

    確かにもっともな理論だと思います。
    しかし実際は多くの人が新しい事を考えだす時
    「なさそうでなかった」突飛なものに拘る、
    そんなことないでしょうか?

    因に全ページの約1/4が五味式トレーニングに当てられている。

  • 1000万人のありそうでなかったニーズが国民的ヒットになる。その演習が後半半分で、そこは途中で飽きた。。。
    スーパーヒットは後でみると誰でも思いつく内容なのがほとんどだが、そこに気付く感覚つくりが大事。

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著者プロフィール

日本テレビ放送網株式会社上席執行役員

「2014年 『賢い! 「現実逃避」術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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