「不機嫌」と「甘え」の心理 なぜ人は素直になれないのか PHP文庫 (PHP文庫 か 5-41)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569660066

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    「不機嫌」と「甘え」の心理 なぜ人は素直になれないのか (PHP文庫)
    by 加藤諦三
     愛情については、植物との関係で言うとわかりやすいかもしれない。花を咲かそうと、やたらに水をやる人は花を愛しているわけではない。花を愛している人は、まず花を観察する。花が何を求めているかを観察する。観察しながら水をやる、陽のあたる場所に花を移す。愛情とはそうした花と人との関係で

    神経症者は人を恨む。そして復讐的になる。  日頃から目的を持って生きている人は、男であれ、女であれ、人を恨むことは少ない。自分の意思で動いているからで

    いつまでもしつこく相手を責め苛むのは、それだけ相手に心理的に依存しているということである。相手に認めてもらいたいからで

    相手が侮辱したのではないのに、心の奥底の無意識の世界で侮辱されたと感じてしまうことの悲劇なのである。小さい頃から愛されなかった人は、そのように感じる脳の神経回路が強化されすぎているので

    神経症的な人は、なぜ相手の言葉を自分への批判と受け取ってしまうのか。それは、他人の評価が怖いから。小さい頃から評価で育てられている

    人は好きな人に対してもなお不服や不満や不平を持ち、文句を言いたくなる。このことが自己喪失者や神経症者にはなかなか理解できない。実は相手を信頼しているから相手に文句を言えるのである。相手と親しいから相手に文句を言えるので

    悩んでいる人がいい年をして何でもかんでも他人の責任にしているのに、「へー、あの人はそんなにひどいんですか、そうですか、あなたは被害を受けましたねー」と、悩んでいる人の責任転嫁の姿勢にこちらが 唱和 しないからである。いつまでも幼稚なことを言っている相談者に、「わかる、わかるなー」と大げさにうなずかないからで

    神経症的な母親は子供が外で食事をして「 美味しい!」と言うと、自分の料理が批判されているように感じ、面白くない。自分の夫が外で「美味しい!」と言うと、自分の料理が料亭の料理と比較されていると思う。そこで「この料理塩分強いわよ」とけなす。そして夫に料亭の料理をけなすことを

    私は鬱病者の求める雰囲気は、幼児の求める雰囲気であると

    ピーターパン症候群の若者も、新しい友人を大切にする。ピーターパン症候群の若者もドンファンも、その心理状態の結果、その親しくなった恋人といると気持ちが重苦しくなるのである。たとえば他の女と遊ぼうとする時に、この恋人は邪魔になる。自分のわがままの妨害になる。そこで相手に不満を持つ。新しい恋人は自分のわがままな世界を妨害しない。まだ相手に対して一人よがりな要求を出していないからである。だから不満は鬱積していない。  要するに彼らは一人では生きられないくせに、他人が自分にかかわることを嫌うのである。その結果近くなり、親しくなった人を嫌いになる。近くなると同時に嫌いにもなる。でも普通の人よりも寂しがり屋だから普通の人よりも人を求める。依存心が強い限り、この矛盾した心理状態は

    自分の心の葛藤を解決するために相手を必要としている。だから相手から離れられ

    しかし自分の心の葛藤を解決するために、今自分は相手に絡みつき、相手を責めているなどとは決して認め

    いつまでもいつまでもしつこく相手を責め苛むのは、相手が問題ではなく自分の心の葛藤が問題だからである。自分の心の葛藤が原因なのに、相手を責め苛んでいるから、いつまで相手を責めてもそれで気が済むということがないのである。相手を責めているのは気晴らしみたいなもので、本当の原因から目を 逸らしているにすぎ

    不機嫌な人は相手に敵意を持ちながらも相手から離れられない。不機嫌は敵意と愛着の同時発生の心理状態である。 「依存と攻撃」とか「依存と支配」とかよく言われる。攻撃しながらも相手から離れられ

  • 不機嫌になる人は依存が原因。解決策はあまり明示させていないが、根本的な原因がわかる本。

  • 心理

  • なぜ、人はうつ病になるのか?なぜ、夫は理由もなく不機嫌になるのか?なぜ、人は登校拒否になるのか?
    その心理を事例を用いて解説する本。具体的な事例で、そうなる(なってしまう)理由がよく分かる。ただ、そうなるのは分かったが、そこからどう脱却すべきかの示唆は少ないと感じた。この点については消化不良。

    <blockquote>[private]以下注目点
    第一章 「嫌い」が言えない心理
    P.16 矛盾した感情
    ・家庭内暴力と、暴力に至らない青年家での不機嫌は同じ。

    P.18 自分の価値
    ・神経症型の人は、一人で自分に価値を感じることはできない。

    第二章 なぜあなたはイライラしてしまうのか?
    p.41 愛情
    ・子供が心理的に成長するのには、後者の例のような愛情が必要なのである。子供を心理的に成長させる愛情とは、子供が求めていることを理解できる能力ということである。[/private]</blockquote>

  • 作中で定義付けられる『神経症的』場面というのは無意識に誰しもが持っている要素と思えてならない。他人を詰りたくなる場面というのは少なからず。同時に不満を抱えていることが極めて多いからだ。

  • 難しいテーマでしたが、なるほど、と思える箇所が多々ありました。
    人の性質や思考、本当に千差万別ですね。
    興味深いです。

  • この書籍は「神経症型」と筆者が呼ぶ人たちについて、その機制を様々な問題行動を例にしながら示したものである。

    『たとえば子供が自殺した時、よく周囲から「変化に気がつかなかった」と言われる。「思い当たることがない」と周囲の人から言われる。』という文章を読んでグッときた。
    会社に入って数年後だが僕は同期を自殺で失っている。その時に同じセリフを自分で言ったからである。
    『つまり自殺する子供は、周囲の人々から関心を持たれていなかったのである。』
    きっとその通りなのだろう。相手の変化に気づかないというのは僕の問題であったのだと思う。

    『近い人物にしつこく絡むのは心理的に幼稚な証拠である』という節がある、これは以下の矛盾の現れである。
    『幼児的な受け身願望を相手が満たしてくれることを求める。そのくせ相手が自分を立派なオトナであると見なすことを要求する。』

    人間関係を改善するといったWeb記事を読んでいると、「好かれたいと思うことをやめる」といった文章が書かれている。世の中に「神経症型」の人が結構多いということの現れであると思う。

    残念ながら良いリファレンスが近くにいない場合も多く、一気にその生き方を変えることは難しいかもしれない。しかし、それを改善する方法は必ずある。

    しかし改善の前には、この本で取り上げられている問題と向き合い、受け入れることが必要である。「自分には関係ない。」と本当に言い切れるか真摯な気持ちを持つべきだ。

  • 端的で的確に神経症者(ここでは簡単に自己喪失ぎみで他者依存傾向がある人のこと)が不機嫌に陥る心理、近い人と心理的に楽しく過ごせない複雑化した心理、ひとつひとつが腑に落ちて読んでいて気持ちよかった。カウンセリング的な本ではないと思うので、対処法や気持ちの持ち方のような事は書いていない。からくりを解き明かすのにとてもよい本だと思う。

  • ぐさっとくることが多く書かれてる。
    自分から本当に人を好きになることの価値がわかるという点ではいい本だった。

  • ううむ…甘えちゃだめなの?って苦しくなる。自分が思ってた以上に自分は身勝手で自己中で甘えているんだって気付かされてしまいました

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著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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