- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569670669
作品紹介・あらすじ
あなたは、何のために働くのですか? こんな問い掛けに、あなたならどのように答えるだろうか。▼生活をしていくお金を稼ぐため。しかるべき地位に就きたいから。こんな答えが返ってきそうだ。しかし著者はいう。「何のために働くのか」という、この問い掛けと、その答えにこそ、今後の長い人生を左右するような、大きな意味が込められていると。▼給料や収入、役職や地位は、たしかに働いた結果得られる「報酬」に違いない。ところがこれらは、使ってしまえば無くなる報酬であり、その仕事を離れれば失ってしまう報酬である。しかし著者は、目には見えないが、一生失うことのない「最高の報酬」がある、と説く。▼それは、仕事という作品の創造を通して得られる、技術の熟練、人との出会いと学び、完成の喜び、その結果としての「人間的成長」であるというのだ。▼『なぜ、働くのか』に続く、好評の書籍講話第二弾は、人生を深く静かに見据えた新人生論である。
感想・レビュー・書評
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仕事の報酬とは何か
人間成長をめざして
著:田坂 広志
PHP文庫 た51 4
仕事の報酬とは何かという問いについて、筆者は、何のために働くのかという
問いに置き換えています。
仕事の報酬を目に見えるものと、目に見えないものとに分けていることも新鮮です
そこには、プロフェッショナルとしての矜持がある
気になったのは、以下です。
・我々は、いつも「目に見えるもの」に目を奪われてしまう
「目に見えるもの」だけを見つめてしまう
・では「目に見えない報酬」とは、何か
①能力 職業人としての能力がつく
②仕事 懸命に仕事をすると、良い「仕事」を残すことができる
③成長 人間として成長ができる
・我々は、無意識に1つの錯誤に巻き込まれてしまう
収入や地位というものが、結果として与えられる報酬であることを忘れ
自ら求めて得るべき報酬であると考えてしまうのです
■能力
・一つひとつのスキルを、工夫しながら、身につけていく
・いかなるスキルも、センスも、テクニックも、ノウハウも、仕事の現場での厳しい修練を通じて
忍耐力を持って、粘り強く学んでいかないかぎり、決して、身につくことはない
・スキルやセンス、テクニックやノウハウを身につけるために、「秘訣」とでも呼ぶべきものがあるとすれば
それは、ただ一つ。
「狭き門」より入れ
・シンクタンクのプロフェッショナル。むしろ深く感銘を受けたのは、彼らの愚直なほどに努力する姿です
・専門的な知識、という、ナレッジの段階から職業的智恵とでも呼ぶべき高度なスキルの段階まで、いかにして
プロフェッショナルとしての能力を高めていくか、それが勝負になってくるわけです
・師匠を見つける
・プロフェッショナルのスキルというものは、そもそも、言葉で表せない智恵であるため、
参考書や専門書、テキストやマニュアルでは伝えらないのです
・直伝、それは師匠から弟子に対して1対1の関係で、直接に伝えていくもの
・師匠から学ぶもの
①呼吸 リズム感、バランス感覚
②着眼 師匠から、着眼を学ぶ必要がある、それは反省をするために
反省を通じてこそ、スキルを改善していける
プロフェッショナルとして腕を磨くためには、この反省ということが極めて重要です
着眼とは、言葉を換えれば、コツ、ツボと呼ばれるものであります
③心得 スキルを学ぶ前に、心得、心構え、心の姿勢を学ぶ
師匠とは、与えられるものではない、自身がみずから見つけだすもの
私淑、心の中で、あの方は私の師匠だと思い定め、その方を遠くから見つめながら学ぶ
一芸を学ぶ、誰にも、一芸がある
反面教師として、学ぶ。他人の中にある欠点は、必ず、自分の中にもある
■仕事
・仕事の報酬は仕事だ
・懸命に働くと、良き仕事を残すことができる
・プロフェッショナル集団の中で、最高のほめ言葉は、"Good Job!"
・仕事を通じて、顧客に提供しているものは、単なる商品ではない
それは、作品である
・腕を磨く、だけでは、決して、良き仕事は残せない
・我々が仕事を通じて残すものは、実は、作品ではない 共同作品です
・共同作品を創り出すためには、何が求められるのは、それは、共感です
・相手を操作して意のままに動かすのではない、操作主義ではない
・仲間と共に抱く、志 がなければならない
■成長
・成長こそが、最高の報酬、それは、人間を高めることの喜びだから
・人間としての成長とは何か それは、心の世界に処する力
それは 心の世界を感じる力、それは、心の世界に働きかける力 です
・仕事において、仲間の心の世界は、しばしば、自分の心の世界を映す出す「鏡」だからです
・いかにして、その「人間としての成長」を得るか
それは、格闘することです、人間の心と格闘することです、正対することです
・相手の心と正対し、相手の心を理解することです
そして、相手に心を伝えようとすることでう
そのとき、そこには、「心の格闘」とでも呼ぶべきものが生まれます
・そのため、仕事が壁に突き当たったとき、
ときに、お互いの心が、摩擦で軋み
ときに、お互いの心が、誤解ではなれる
しかし、それにもかかわらず、我々は、
その軋む心や、離れた心に、どう処してよいか、わからない
・そのとき、我々は、迷い、悩み、そして、苦しみます
・我々は、人間の心というものと、格闘しなければならない
・マネジャーは、人間の心よりさらに難しい
人間集団の心と格闘しなければならなくなるのです
・マネジャーや経営者という地位は、
職場や会社の仕事の重い責任を背負い
五里霧中のなか、決断し、組織を率いていく立場
そして、何よりも、部下や社員のかけがえのない人生を預かり、
その人間集団の心と格闘しながら、歩んでいく立場
・だからこそ、マネジャーや経営者は大きく成長できる
目次
第1話 目に見えない三つの報酬/能力・仕事・成長
第2話 腕を磨くことの喜び/職業人としての能力
第3話 いかにして腕を磨くか/呼吸・着眼・心得
第4話 いかにして師を得るか/問われる心の姿勢
第5話 仕事を残すことの喜び/作品としての仕事
第6話 いかにして仕事を残すか/共感と志を求めて
第7話 人間を高めることの喜び/人間としての成長
第8話 いかにして人間を高めるか/心の世界に処する力
第9話 決して失われぬ報酬/歩みを終えるとき
謝辞
ISBN:9784569670669
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:192ページ
定価:476円(本体)
発売日:2008年07月17日第1版第1刷
発売日:2016年03月29日第1版第8刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【仕事そのもののなかに、大きな喜びがある】
仕事の報酬とは、「目に見える報酬」と「目に見えない報酬」の二種類がる。その中でも著者は、後者である「目に見えない報酬」が大事であると述べている。
皆さんは、仕事の報酬とは何か?と問われたときになんて答えるだろうか。私は、バイトの選ぶ基準を時給で考えているため、「収入」であると答える。「目に見える報酬」とは、「給料」「収入」「役職」や「地位」のことを指し、言い換えれば「結果として与えられる報酬」だ。また「目に見えない報酬」とは、「能力」「仕事」「成長」のことを指し、言い換えれば「自ら求めて得るべき報酬」である。私のように「目に見える報酬」にばかり目を向け、大切な報酬に気づけない人はいるだろう。本書は、そういった人が「目に見えない報酬」にも目が向くよう気づかせてくれるものである。
本書に出てくる三点に注目したい。第一に「能力」の報酬だ。一生懸命バイトを頑張っていれば、できることが増えていく。そういう瞬間に「喜び」を感じることはないだろうか。この「喜び」こそが「目に見えない報酬」である。バイトを始めたばかりのころは、仕事を覚えようと必死に働いていた。怒られたことも多々あったが、その経験をしたおかげで一つの仕事内容だけではなく、ホール、キッチン、ドリンク全てのポジションができるようになった。能力を得る「喜び」は、自分の成長にも繋がった。また「昇給」という「結果として与えられる報酬」も得ることができた。
第二に「仕事」の報酬だ。「良き仕事」を残すといってもわかりにくいが、より良いお店作りと言い換えたらわかりやすい。飲食店で働いているため、より良いお店つくりをするためには「日々の顧客サービス」が大事である。丁寧な接客を心掛けるのはもちろんだが、お店を綺麗に保つための店内清掃には力を入れている。この日々の積み重ねが、常連さんや初めて来てくださるお客様の笑顔に繋がっていると思う。著者はこの思想を「作品」といい、仕事仲間と「共同作品」を作ることが「仕事」の報酬だ。
最後に「成長」の報酬だ。「能力」も「仕事」も深く追及すると「人間としての成長」に繋がり、これが「最高の報酬」であると著者はいう。確かに、前は仕事というよりは作業をこなすように働いていたが、今は「良い作品」作りのためにはどうしたらいいかまでも考えるようになり意識が変わった。そこに成長を感じる。
本書を通してもう一度仕事をするにあたって何が大事かを見つめなおす機会になるだろう。 -
「仕事の報酬とは何か。本日は、このテーマで話をしたいと思います。(本文p.6)」
上記の書き出しで始まる本書を手に取り、最初に感じた印象は読みやすさであった。
書籍講話というスタイルで書かれている本書は、字の間と間が開いており、文字が視界に入ってくることもさながら、その空白部分が読者自身により「考えさせる時間」を与える書かれ方になっている。「働いて、見合ったもの対価をもらうこと」それでしかないであろう、と考えていた私に対し、著者が本書を通して語り、問いかけてくるようであった。そのページの空間と全体で話をしていく流れの書かれ方で著者は、仕事の真の報酬は、目に見えない三つの報酬=「職業人としての能力」「作品としての仕事」「人間としての成長」であると説く。
現在、休日にアルバイトをしている自身に仕事を重ね合わせてみるとどうだろう。
もちろん、生活するためのお金が必要。
社会に出るわけだし、スキルが欲しい。
大人と関わる練習の場としても意識したい…
そして大学の授業と平行して行なう、諸活動とも比べてみた。
大学祭を成功させるため、面白いことを企画したい。
桜美林の名前をいろいろな方に知ってもらいたい。
お客さんの笑顔に喜びを感じて、全力のパフォーマンスをする…
もし「『仕事の報酬は給料や報酬だ』と答えるならば、残念ながらそのビジネスマンは、大切なものが見えていない。(本文p.8)」と説く本書であったが確かに、自身の時間の使い方として、お金の収入だけを考えて行動している面は案外少なく、自ら価値を見出して、行動をしていたことに気付き、辿り着いた。仕事そのもののなかに大きな喜びがあり、また自身の「人間としての成長」は、決して失われぬ報酬であり、自身の成長が後に続く人々により失われず、続いていくことは、まだ遠いはずの話、まだまだこれからの話であるようにも感じられた。しかし、その逆で自分がその先人から成長を受け継いでいると考えると、自分なりの働く意義を見出していく重要性に気付くこととなった。
社会に出て一人立ちしている人、そうでない学生にも一緒に考えてもらいたいと、この本の帯は問いかける。
あなたは、「何のために働くのですか?」と。ぜひ、ご一読ください。(921文字) -
仕事の報酬には「目に見える報酬」と「目に見えない報酬」がある
目に見えない報酬は、能力、仕事、成長
私たちはいつも「目に見える報酬」に目を奪われがち
目に見えない報酬に目を向けるべき、という著者のメッセージ
給与や役職、地位と言うのは、目に見える報酬。結果として得られる報酬。
しかし、目に見えない報酬の能力、仕事、成長は自ら求めて得るべき報酬。
最高の報酬とは「人間としての成長」
それは失われない報酬だから
日々の仕事の中から無限の報酬を得るように意識することが大切
そのためには、、、
・目に見えない報酬を見つめる力
・身に見えない報酬を求める心の姿勢
が必要。 -
あっという間に読めます。
国語の教科書に載るレベルの長さといっても過言ではない。だからこそ気軽に読み返せるのは良いかも。
何のために働いているのだろうか、そう思ってしまった時に読むと良いのかなと思います。
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仕事の報酬は仕事であり、給与ではない。
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仕事の真の報酬とは、能力、仕事(作品)、成長であるとのこと。なぜかと言うと、能力が上がると嬉しい、良い仕事を残せると嬉しい、人間として成長ができると嬉しいからとのこと。うーん確かにそうかもしれんけどねぇ。そんなに嬉しんかなぁ。あと、文章の論理構成がいまいちなので、読みにくかったです。
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なんで?と思うことが多くなるタイミングが
定期的にやってきて、悩む。
そして、なんでこんなにやってるのに!→誰のためだろう?→自分のためじゃないか……と落ち着く。
そんな思考回路をスッキリとさせてくれた本。 -
仕事の報酬。報酬といったら、お給料、あとは役職とかだと思っていた。
でも本当に大切な報酬とは、目に見えない報酬である。
それは3つの報酬
「能力」「仕事」「成長」。
確かにそうだと思う。
能力を磨き、素晴らしい仕事を残し、仲間と切磋琢磨することで一人の人間として成長していく。最高の報酬でうある。
また能力を身につけるには「師匠」を見つけること。
仕事を辞めたら、給料や地位はなくなる。
でもこの3つは決して失われない。
素晴らしい気付きを得れた一冊 -
2015.3.1読了。
1時間くらいで読める1冊だけど、濃度が濃い。
仕事の報酬とは何か。
迷い悩むことも結果としては成長という報酬につながることを信じて頑張ろう。
迷ったときや、何年後かにもう1度読みたい。その時は昇任した自分でありたいな。