フェラーリと鉄瓶 一本の線から生まれる「価値あるものづくり」 (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569674131

作品紹介・あらすじ

いま世界からもっとも注目されている気鋭のデザイナー、奥山清行。長年海外を舞台に活躍してきた彼は、いま何を考え、どんな未来をみているのだろうか?▼本書は、日本人で唯一「フェラーリ」を手がけた男が語るデザイン論。▼「なぜ、フェラーリは高くても売れるのか?」「地元山形の高い職人技術とデザインの融合とは?」など、デザインの要諦からものづくりの秘訣までそのすべてを語りつくす。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人でありながらフェラーリのデザインを請け負うデザイン事務所「ピニンファリーナ」のデザイン・ディレクタに就任した奥山清行氏が、自身のキャリアとデザインに対する姿勢について語った本。
    デザイナが考える商品のあり方、特に彼のように少量生産品を手がける人の考え方や、それを企業戦略にしているフェラーリの経営方針には興味をそそられる。
    車のドアの仕上げ方にしても一つ一つ、歪みやズレを無くすための手をかけた調整や、少量生産ゆえの顧客一人一人とのつきあい方、いわんや限定生産品については顧客にもなってもらえなかった客に対する接し方などは考えたことも無かった。

    デザイナはスケッチがブレインストーミング的な役割を果たすということも、とても面白い。
    スケッチをしている中で、ピタッとはまる線を描けた時にある種のブレイクスルーを成したデザインが出来上がるのだというのは私にとってはまったくもって斬新な考え方。
    改めてこの分野の方々は違う人種の方なのだろうなと感じてしまった次第。
    本書の文庫版副題に「一本の線から生まれる「価値あるものづくり」」とあるのだが、まさに言い得て妙である。

    また日本人とイタリア人の文化的な違いについてのエッセイ的な記述も興味深いし、クリエイティブ・クラス、即ちブルーカラーでさえも創造的に仕事を進めることができることが企業の強さの源になるという考え方についての考察にも共感できる。

    軽く読めるも、あちこちに違う視点でのヒントが散りばめられている良本であった。

  • イタリア人と日本人の精神性の違い、言語化の重要性など大いに参考になりました。

  • GM, ポルシェ、フェラーリと米独伊の自動車メーカーでデザイナーとして輝かしい実績を挙げて来た著者だけに、その言葉に説得力がある。

    デザインとは無駄をそぎ落とす事であるということが書かれているが、現在の気鋭のアートディレクター、佐藤可子和も同じような事を言ってた。

  • 著者の奥山氏は日本人でありながらフェラーリのデザインを担当した、世界で注目されている気鋭のデザイナーである。
    高くても売れるデザインのものづくりや、デザインイタリアでのものづくりについて、日本との違いを解いている。
    特に日本人が知らないイタリアについては文化や人間性また、仕事の進め方などデザインに与える影響が大きい要素があり、世界で活躍していくにはそれぞれの国の特徴を理解する事が重要である。

  • 日本人で珍しく?世界の舞台で活躍しているデザイナーから見た、海外の企業の考え方・働き方や"クリエイティブ"に対する考え方が述べられている。イタリアの企業について述べられている本も多くないため、その点だけでも読んでいて面白い。

  • 子供の頃から憧れた山形の誇り奥山氏の一冊。デザインの在り方、デザイナーの考え方や、日本とイタリアを中心とした世界のものづくりの違いについてよくわかった。

  • イタリアでの話、また日本のこれからの事とても魅力的でした。

  • いま世界からもっとも注目されている気鋭のデザイナー、奥山清行。長年海外を舞台に活躍してきた彼は、いま何を考え、どんな未来をみているのだろうか?本書は、日本人で唯一「フェラーリ」を手がけた男が語るデザイン論。「なぜ、フェラーリは高くても売れるのか?」「地元山形の高い職人技術とデザインの融合とは?」など、デザインの要諦からものづくりの秘訣までそのすべてを語りつくす。

    第1章 カーデザインで諸国を遍歴
    第2章 日本人の知らないイタリア
    第3章 イタリアのものづくりに学ぶ
    第4章 コミュニケーションとしてのデザイン
    第5章 なぜフェラーリは高くても売れるのか
    第6章 クリエイティブであり続けるために
    第7章 カロッツェリア的ものづくりへの挑戦

  • E6系をデザインした奥山清行さんの本。

  •  エンツォ・フェラーリを設計した日本人奥山氏の、ものづくり考。欧米で働き、日本での雇われエンジニアの経験がない氏独自の視点で、比較論を述べる。
     まず、イタリア気質というものが、想像しているものと大きく異なっていた点が新鮮だった。効率からはほどとおい、「ゆるい」人たち?とか思ってしまっていたが、全然違うということに驚いた。そして主張を戦わせ、かつモード切替が巧みなことなど、欲しい気質がそのまま。
     ついで、「人よりもの、集より個」と表現する氏のエンジニア観にも共感するところ大。普段の仕事等でイライラする理由の一部について喝破してくれたかのような気分。無論、そのまま氏の価値観が日本で通用、というわけではなく、独自のアレンジと試行錯誤が必要だが、少し発想を変えた取り組みができる予感がしている。予感だけで終わらせないようにしたい。

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著者プロフィール

Ken Okuyama Design代表

「2013年 『100年の価値をデザインする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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