- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569674209
作品紹介・あらすじ
「百人一首」に詠まれているのは、今に通じる人の思い。美しい桜に感動したり、出世できずに嘆いたり、浮気な恋人を恨んだり…。そこに詠み人の"思い"を感じれば、難しい勉強などしなくても、和歌に親しむことができるのだ。本書では、歌の成立背景から詠み人の人となりまで、「百人一首」を味わうためのポイントを紹介。楽しみながら、古典をぐっと身近に感じられる一冊。
感想・レビュー・書評
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やや冗談めかした感じの親しみやすい文章で作者・作品の背景が語られていて、すらすら読めて知識が増える。歌の大意も添えてあるのが嬉しい。
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タイトル通り、『百人一首』をわかりやすく紹介しています。
歌の解説以上に作者について生き生きと語られているため、作品よりも人物に興味がある私にはおもしろく読めました。
歌人自身について大仰に採り上げず、伝説を膨らませることなく等身大の人間像を伝えようとしているため、一人一人が身近に感じられて親しみが持てます。
「世界三大美女」とは、クレオパトラ、楊貴妃、トロイのヘレンのことを指し、ヘレンではなく小野小町としているのは日本だけだということは、覚えておかないと、海外で恥をかきそう。
光孝天皇に17歳で皇位を譲った陽成院は、光孝天皇の皇女、綏子内親王(すいしないしんのう)に恋をした、など、平安時代のやんごとなき人間関係のややこしさには閉口しますが、わかりやすさを心がけて書かれているため、理解できない箇所はありません。
26番の貞信公は美男子で頭もよく才能もあり、モナコのアンドレア王子並みだと表現されていたのには、笑ってしまいました。
31番の坂上是則は、坂上田村麻呂の曾孫で、蹴鞠が得意で帝の御前で206回もリフティングをしたのだとか。
サイド情報を知ると、ますます歌人に興味が湧いてきます。
「もみもみとしている」という表現を初めて知りました。日本語のおもしろさ、奥深さについてまだまだ知らないことが多そうです。
当時の位の高い女性は、膝まで届く長い髪だったものの、洗髪はひと月に一回だったため、この時代にお香をたきしめ香りをつける文化が発達したとのこと。
フランスの香水文化の発祥と似ており、やはり必要は発明の母なのだと感じました。
『百人一首』の持つ近寄りがたさや敷居の高さを一気に感じなくさせる、楽しい内容です。
本の中で紹介された、伊沢元彦の江戸川乱歩賞受賞作「猿丸幻視行」を、いつか読んでみたいと思います。 -
学生時代、必死に覚えた百人一首!
内容も定かでなく、唯々、覚えた!
「ちはやぶる」…で話題になったりしたので、又読み出し、カルタを出してみたのだけど、もう古い脳味噌の引き出しには?、なかなか入らない。
そんな折りに、図書館で、年末見つけた本が、これである!!!
なる程、興味沸くような解説文と、経歴など、…
肩苦しく無くて、すっと読める。
昔は、顔も見ずに、評判だけで、美人とか、才女とかを品定めしていたのだと!
そして、恋文の返歌も、即興で返すのは、余程の文学者でないといけない。
シラノ・ド・ベルジュラックのように代筆する者もいたのではなんて、頭の片隅をよぎりながら、名文の歌と解説を読み終えた。
さて、家の中の片隅に追いやられて日の目も当たっていない百人一首のカルタを捜して見ようかな。 -
歌人たちのテクニックの凄さに感心
無理だわ。
テクニック込みの和歌なぞ読めぬ -
声に出して読みたくなる本。
心の機微に触れて、ハッとする気づきがたくさんあった。スマホばかりいじってたらダメだなって思った。
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★概要
「百人一首」に詠まれているのは、今に通じる人の思い。美しい桜に感動したり、出世できずに嘆いたり、浮気な恋人を恨んだり…。そこに詠み人の“思い”を感じれば、難しい勉強などしなくても、和歌に親しむことができるのだ。本書では、歌の成立背景から詠み人の人となりまで、「百人一首」を味わうためのポイントを紹介。楽しみながら、古典をぐっと身近に感じられる一冊。
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百人一首は、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの代表的な歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた秀歌撰(しゅうかせん)のこと。
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秀歌撰とは「優れた歌を集めたもの」という意味だそうです。
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日本の四季や花鳥風月の美しさ、男女の出逢いと別れ、旅先で観た景色など、幾つかのお題目を五・七・五・七・七の三十一文字の短い言葉に込めて詠います。
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奥山に (おくやまに)
もみぢふみわけ (もみじふみわけ)
なく鹿の (なくしかの)
声聞く時ぞ (こえきくときぞ)
秋はかなしき (あきはかなしき)
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奥深い山の中で、一面に散りしいた紅葉をふみわけて鳴いている鹿の声を聞くときは、この秋の寂しさが、いっそう悲しく感じられる。
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はじめ意味が分からない歌でも、意味を知ってからもう一度読み返すと、その読み人の気持ちや聞いていた音や風景が想像できて、ゆっくりと染みてくる面白さがあった。
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ほととぎす (ほととぎす)
鳴きつる方を (なきつるかたを)
ながむれば (ながむれば) ただありあけの (ただありあけの)
月ぞ残れる (つきぞのこれる)
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ホトトギスが鳴いたと思って、そちらを眺めると、そこには何もなく、ただ有明の月だけが空に残っているよ。
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耳で聴いて、次には視線が移って、読み人たちの心の豊かさに驚かされた。自分は周りで起こっていることにどれだけ気がつけてるかなって思いました。
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あしびきの (あしびきの)
山鳥の尾の (やまどりのおの)
しだり尾の (しだりおの)
長々し夜を (ながながしよを)
ひとりかもねむ (ひとりかもねむ)
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オスの山鳥の、長く垂れ下がった尾のように長い長いこの秋の夜を、私はひとり寂しく寝ることになるのだろうか?
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リズム良く次へ次へと読んでいると、ある時からちょっと口に出して読んでみたくなって、電車でボソボソと小声で呟いてた。
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君がため (きみがため)
惜しからざりし (おしからざりし)
命さへ (いのちさへ)
長くもがなと (ながくもがなと)
思ひけるかな (おもひけるかな)
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あなたのためなら惜しくはないと思った私の命が、あなたに会った今では、少しでも長くあってほしいと思うようになったのです。
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夜もすがら (よもすがら)
もの思ふころは (ものおもうころは)
明けやらぬ (あけやらぬ)
ねやのひまさへ (ねやのひまさえ)
つれなかりけり (つれなかりけり)
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一晩中訪ねてこない恋人のことを思っているこの頃は、夜もなかなか明けず、朝日の差さない寝室の戸の隙間さえつれなく思えます。
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どんな立場で、どんな状況で、何を大切にして生きていたのか、読み人たちの「生き様」が見えてきて、風流とか趣があるという平安時代の人たちにも今と変わらない気持ちがあって、思ったより堅苦しくなかったことは新たな発見。
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けど、一番驚いたのは実際には景色を見ていないで想像で詠っている作品があったこと。東北から九州まで日本の景色がたくさん出てくるけど、インターネットもカメラも無い時代、その場所に行くことも困難なのに、想像力とユーモアを持って実際に観てきたかのように詠んで、聴いた人たちにも感動を与えるってすごい!!
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実際に言葉で表現できるということは、本人たちは眼前に見えて、本当に聴こえているんだと思った。
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舞い上がる (まいあがる)
古雅の言の葉 (こがのことのは)
あざやかに (あざやかに)
見聞きし学ぶ (みききしまなぶ)
在りし日のこころ (ありしひのこころ)
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最後に、百人一首の面白さを伝える短歌にチャレンジしようと、アレコレと景色を眺めて、周りの音を聴いて、気持ちを伝える言葉やリズム良い言い回しを調べたり考えて考えてたら、、、2時間経ってた。。。考えるのは難しかったけど、とても楽しい時間でした。
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スマホは便利で楽しいけど、自分の周りにも面白いことがたくさん転がっていることに気づかせてくれた。
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明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。
星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。
平成31年4月30日(平成大晦日)作成 -
2018.01.09 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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有名な和歌何首か知っているけど全部をきちんと読んだことはなかった百人一首。詠み人の略歴と和歌の背景がわかってよかった。
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911.147