言葉はなぜ通じないのか (PHP新書 473 人間学アカデミー 5)

著者 : 小浜逸郎

• PHP研究所 (2007年8月11日発売)

作品紹介・あらすじ

なぜ真意はうまく伝わらないのか?「言った・言わない」の不毛な口論はなぜ起きるのか?日常的な言葉のやりとりには、つねに誤解や不安、疑心暗鬼がつきまとう。わかりあうのは難しい。しかし、どんなに理屈や表現が正しくても意思疎通は成立しない。言語はたんなるロゴスではなく、共感には別の条件が必要だと著者は言う。言葉はコミュニケーションの道具とばかりに、スキルさえ磨けば論理的な話し上手になれると考える風潮に一石を投じる一冊。壁があってもなお、意をつくして語ろうとする姿勢の大切さを説く。

感想・レビュー・書評

[bachbyggさんの感想 · 2022年12月30日]

言葉についての考察。吉本隆明の言語本質論、時枝言語論、ソシュール言語論など、先人達が論じてきた様々な言語論を取り上げて考察し、著者の見解を紹介する。
著者が考察した言語の7つの特性は大変勉強になった。普段使っている言葉に様々な特性があることを判った。話すことや書くことについて、この特性を意識することが重要だと思う。

[POCOさんの感想 · 2020年10月23日]

言葉とは何か、言葉の持つ性質、機能について。「思っていたのと違った」と思いながら読んでいたが、後半にいくにつれ「なぜ噛み合わないことがあるのか」を体感的に理解できた。自分が「自分の使う言葉」と向き合うのに良いきっかけになった。

[ytkssnさんの感想 · 2019年5月22日]

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[まるいめがねさんの感想 · 2017年8月27日]

いわゆる日常会話におけるコミュニケーションの祖語について…ではなく、そもそも言葉とはなにか、どういった機能をもっているのか、といった学術的な方面の本。
本の評価というよりも、求めていたものと違った。

[tezoookaさんの感想 · 2013年8月3日]

タイトルとは裏腹に、言葉が通じる仕組みについての考察。ソシュール風に、言語を構造化して組み立てるというより、人間としてプリミティブにもつ情緒や身体感覚が、言葉の根底に張り付いているという立場で、言語コミュニケーションを解いていく。
答がでる類の議論ではないが、モノゴトを伝えることの奥深さを考えさせられつつ、言葉で「言葉を語る」難しさを実感してしまう。

著者プロフィール

1947年、横浜市生まれ。
批評家、国士舘大学客員教授。
『日本の七大思想家』（幻冬舎）『13人の誤解された思想家』（PHP研究所）、『時の黙示』（學藝書林）、『大人への条件』（ちくま新書）、『日本語は哲学する言語である』（徳間書店）など著書多数。自身のブログ「ことばの闘い」においても、思想、哲学など幅広く批評活動を展開している。（https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo）

「2019年 『倫理の起源』 で使われていた紹介文から引用しています。」