[新訳]南洲翁遺訓 西郷隆盛が遺した「敬天愛人」の教え

制作 : 松浦 光修 
  • PHP研究所
4.18
  • (15)
  • (16)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 160
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569704173

作品紹介・あらすじ

武士道を貫き、天を敬し、人を愛することとは。幕末から明治維新にかけて、新しい国づくりにすべてをかけた西郷隆盛の珠玉の言葉。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1.族議員の様にもたれ合いは卑怯で有り、腐敗である。

  • 西郷さんを好きになる本。大西郷って使いたくなる。

    明治維新ほど死人の出なかった革命はない。

    戊辰戦争の前に、庄内藩と戦い降伏させた。黒田清隆が降伏条件を申し渡す際に上座から伝え、その後下座に回って、御無礼をお許しくださいと言った。西郷さんの指示。

  • 西郷隆盛が残した遺訓。
    ○大きな組織を動かすために必要な2つのこと
    ・指揮命令系統が1つに固まっていること
    ・リーダーが大きな方向に向かっていく覚悟をいつも見せること

    ○諸悪の根源は「自分への執着」
    ・いけていないリーダーは自分への執着を持っている
    ・天や組織への執着に視点を変えさせなければいけない

  • 西郷隆盛さんの残した言葉を解説付きで教えてくれる本です。少々、昔の人の考え方だなぁ、と思う部分もあるのですが、全体的にはためになりました。自分という存在に対する執着をなくしていきたいと思えました。
    西郷隆盛さんの理解も少し深まった気がします。

  • ”西郷隆盛さんの生前の言葉を、旧・庄内藩士が人々の記憶や記録から掘りおこし編纂した『南洲翁遺訓』。「天から見た自分」をつねに意識し、口先ではなく「行動」で答えを出すという信条に、人間としての誠実さを感じた。

    本書は、松浦さんが政治、時代、事業、人生の4つに再編集し、新訳・解説付けされたもの。

    <実践しよう!>
    ・「人を気にせず、天を気にして生きていく」を夜寝る前に唱える

    <読書メモ>
    ・明治22年、明治天皇は「大日本帝国憲法」の発布というおめでたい出来事にちなんで、西郷さんの“逆賊”の汚名を除き、その英霊に「正三位」という名誉まで与えられたのです。(略)
     そして、菅は、西郷さんと直接会ったことのある人々に呼びかけて、人々の記憶や記録に残る西郷山の、珠玉のような人生の教訓や、甘露のような人生の知恵に満ちた言葉を、編集して発行するという、そのころとしては、容易ではない事業を企画するのです。(略)
     明治23年、ついに発行されたのが『南洲翁遺訓』です。
     #旧・庄内藩 降伏時の寛大な処置(西郷さん→黒田清隆さん→)に感謝して、 菅実秀さんらが動いたもの。

    ★第一節 ? 人材の登用について
    ・「人が政治家として世に立ち、国の政治にたずさわるというのは、天の道を、天にかわって行うのと同じことなのだから、そこに少しでも私心が入っていたら、天に対して、まことに申し訳ないことだね。自分の心のなかに、いつも公正な判断基準を保ち、自分が正しい道を行うとともに、優れた人材を抜擢し、さまざまな仕事をなしとげる能力をもった人たちを引き上げ、その人たちが思うぞんぶん力を振るえるようにしてやること……それがつまり、天のご意志だよ。」(p.21)

    ・「優秀な人物が、すべての官僚や公務員を、ちゃんと動かせるように指揮命令系統がしっかりしていること……、そして国の体制が一つにまとまり、安定した制度が確立されていること……、その二つが大切なんだよ。それもできていないのに、“人材をどんどん抜擢しましたよ”“広く民衆からも政治上の意見を求めましたよ”“その意見をどんどん取り入れましたよ”なんて言っても、なるほどそれは一見すると、よい政治をしているように見えるけれども、その二つができていなければ、すべてはムダさ。」(p.31)

    ・「何もむつかしいことはない。短刀一本あれば、事は決するではないか。」(p.35)
     #王政復古の大号令発布の直後、相談してきた岩下佐治右衛門へ覚悟を問うた言葉。“国のため、相手と刺し違えるくらいの覚悟をもって議論しているのか”

    ・「政治で大切なことは、大きく言って、“文”を興隆させ、“武”を実践し、“農”を振興する……という三つにしぼられるだろうね。政治では、まずこの三つが優先されなければならない。」(p.37)

    ・「たとえ苦しくても、政府は安易な増税に走ったらダメなんだよ。決まった税率を、死に物狂いで守り抜いて、たとえ公務員が苦しい思いをすることになっても、けっして納税者をイジメるようなことをしちゃいけないんだ。」(p.49)

    ★西郷さんが他の人とちがうのは、その心に必ず“行い”がともなっていたということです。西郷さんは、若いころから、自分ができる範囲で、せいいっぱいに人に尽くす人でした。それともう一つ……、西郷さんが他の人と、かなりちがうところがあります。それはその“行い”に、つねに細かい“気くばり”がともなっていた……ということです。(p.65)
     #行いと気配り。

    ・“感謝の心”は“報恩の行い”と一体のものだと思っています。口先だけの“感謝”ではなく、私たちは、私たち自身の人生を正しく生き抜くことによって、先人たちに“報恩”していかなければならない、と思います。(p.91)

    ・「“人物”がいて、そのあと制度や方法が活きてくるものさ。だから、“人物”というのが一番の宝なんだよ。そういうと『人物がいなくて……』と、こぼす人がよくいるけれども、そんなグチを言うまえに、何よりも、まず自分自身が、そのような“人物”になるよう、心がけがなければいけないね」(p.162)

    ・私は、人生において大切なのは、「結果」ではないと思います。もしかしたら、高い志を立てて生きている……ということそのものが、すでに一つの立派な「結果」といえるのでないでしょうか。(p.199)

    ★「どんな事業も、その根幹をなすのは、その事業を行う人の人格で、そこから枝葉が生じるように、いろいろな事業が生まれてくるんだよ」
     「天下というものは、誠がなければ動かないし、才能がなければ治まらない。本物の誠がある者は、世のために動くとなると、その行動は早い。多様な才がある者は、世を治めるとなると、その治める範囲は広い。そのような才と誠があわさって、そのあと、はじめて事業は成就する」(p.215)
     #才と誠!

    ★本物の高い志を立てて生きていれば、人というのは必ずと言っていいほど、理不尽な苦難に遭遇するものです。そのような苦難に遭遇するたび、ますます高く志を立てて、その苦難を乗り越えていくことが、本当の意味での「事上練磨(事上磨錬)」なのでしょう。それによって、その人の心は磨かれ、その人の性格の善いものが“目覚め”、ひいては、その人の性格を善い方向に“変容”させていくのです。(p.249)

    ・「だから、どんなに学問をしても、いつも“己に克つ”……つまり、”弱い自分に負けない”という気持ちを失わず、身を修めていくことだね。広く学んで、しかも“己に克つ”……この二つを両立させることが大切なんだよ」(p.252)

    ★今どきは、すぐに偉そうに「地球環境が……」などと大上段から説教したがる人々も少なくありませんが、そういう人々のなかに、どれだけ道路に落ちているゴミを拾っている人がいるでしょうか?「人類の未来を憂えている」と叫んでいる人々は、今、自分のまわりにいる人々のことを、どれだけ心配してあげているでしょうか?(p.259)
     #自分の周りに対する小さな行動こそが、その人の主張や発言に力を与えていく。

    ★「人を気にせず、天を気にして生きていくことだね。人生というのは、“天だけが本当に自分のことを知っている”と考えながら、今、自分にできる限りのことをしていけば、それでいいものなんだよ。
     もしも、うまくいかない時があっても、けっして誰かを責めたり、何かを責めたりしてはいけないね。そういう時こそ、“自分の誠が、まだ足りなかったのではないか?”と、自分の心を顧みなければいけないんだよ」(p.273)
     #敬天の人

    ・「いろいろと善くないことはあるけれど、いちばん善くないのが、“自分に執着する”ということだね。修行ができないのも……、事業が成功しないのも……、失敗していながら、それを改めることができないのも……、ちょっとした成功に驕り高ぶって、傲慢になってしまうのも……、みんな“自分に執着する”ということが、その根っ子にあるんだよ。」(p.278)
     #「自分に執着する」=「己を愛する」(原文)。ここでの愛は貪りとか執着などの煩悩の意味。

    ・「人生には失敗がつきものだけれども、何か失敗した時には、自分で“ああ、自分は失敗したな……”と自覚できたら、それでいいよ。そう自覚したなら、もう……その出来事はキッパリ忘れて、過去をふり返らず、すぐに新たな一歩を踏み出すことだね。」(p.281)

    ・「ひたすら“正しく生きる”ことに努め、そのことを楽しめばいいのさ。もちろん、そういう生き方をしていると、辛く苦しい出来事に出会うと思うよ。そして、“とにかく、この出来事を乗り越えなければ……”とあせって、ふと“ズルイことをしてでも……”などと考えてしまうかもしれない。
     けれど、そんな時こそ、ますます“正しく生きる”ことに励むべきなんだよ。」(p.295)

    ・いちばん心配しなければならないことは、他人から自分に注がれる視線ではなく、「天」から自分に注がれる視線なのです。(p.310)



    <きっかけ>
     人間塾 第7回の課題図書 → 残念ながら塾には不参加。”

  • 鹿児島の方は、今も西郷隆盛を尊敬や親しみを込めて西郷さん、西郷どんなどと呼ぶそうですが、この本を読むと自分もそうお呼びしたいと自然と思えるようになります。恥ずかしながら上野の銅像の人ぐらいの知識しかありませんでしたが、大きな人物だったのだと感じさせられました。

  • 西郷さんの言葉自体も悪くないし、著者の知識も、たとえば敬天愛人の言葉の由来などを読むと、信頼性があるように感じられるので、悪い本ではないと思う。けれど、余話が長くて蛇足に過ぎる部分があるし、現代の政治・人々の批判が多くて読んでいると辟易する。現代の政治・人々を批判するのはかまわないが、それは別の本でやってほしい。「新訳」と銘打ってはいるものの、単に西郷さんの言葉をダシにして、著者の主張を伝えているようにしか感じられない。まぁ、保守的な主張が多くてPHPらしいといえばPHPらしいけど。

  • 西郷さんの歴史的逸話とセットで南洲翁遺訓の超訳が読めるので、非常に深く理解できる。一方で、訳に「ね」が多いのが気持ち悪い。

  • 西郷さんが本書で有名にした「敬天愛人」。日本人のDNAに刻まれた美徳や厳しさが、深い愛を以って書かれています。
    日本を守って来てくれたご先祖様への感謝が一層深まりました。
    ”ほんとうに文明の国々なら、遅れた国には優しい心で親切に説得し、その国の人々に納得してもらった上で、その国を発展させる方向に導いてやるんじゃないかな”という一節は、何度読んでも背筋が伸びる思いがします。

  • 現代語訳された西郷さんの言葉に違和感を感じた。爽やかに描きすぎている。

    西郷さんの教え、考えを知りたいのだが、幾分著者の主張が多過ぎるところも気になる。
    但し、西郷さんの教え自体は素晴らしいものであり、大いに影響を受けたい。
    諸悪の根源は自分への執着。肝に銘じた。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

昭和34年、熊本市生まれ。皇學館大学文学部を卒業後、同大学大学院博士課程に学ぶ。現在、皇學館大学文学部教授。博士(神道学)。専門の日本思想史の研究のかたわら、歴史、文学、宗教、教育、社会に関する評論、また随想を幅広く執筆。全国各地で講演活動を続けている。著書に『大国隆正の研究』(神道文化会)、『日本とは和歌――国史のなかの百首』(慧文社)など多数。

「2023年 『天皇を仰ぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松浦光修の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×