幽霊が返した借金 (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569761275

作品紹介・あらすじ

幽霊が借金を返した!? できた娘が失踪!? おでん屋こはるが数々の怪事件を見事解決。“思わずホロリ”とする連作時代ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 出てくる人たちみんな魅力的です。

  • 「翔田寛」の連作短篇時代小説『幽霊が返した借金 おでん屋こはる事件帖(『神隠し―子預かり屋こはる事件帖』を改題)』を読みました。

    「池波正太郎」、「木村忠啓」、「月村了衛」、「神楽坂淳」の作品に続き時代小説です、、、

    「翔田寛」作品は、5年くらい前に読んだ『消えた山高帽子 ― チャールズ・ワーグマンの事件簿』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    幽霊が借金を返した!? 
    できた娘が失踪!? 
    おでん屋「こはる」が数々の怪事件を見事解決。
    “思わずホロリ”とする連作時代ミステリー。

    時は天保年間の江戸・神田白壁町。
    おでん屋を営む主人公の「こはる」は、気になることがあると、首をつっこまずにはいられない性分である。
    ひょんなことから近所に住む夫婦喧嘩の仲裁をしていたところ、奇妙な事件に巻き込まれてしまうこはる。
    不思議なことに、借金を返したのは、すでに死んでいた女だというのである。
    そんなことがあり得るのか? 
    断片的な材料から、「こはる」が導き出した謎の答えとは――。
    表題作のほか、できすぎた女の失踪に隠された真実をあぶりだす『神隠し』、放火未遂に対する証言の違いの謎を解く『嘘吐き弥次郎』など四編を収録。
    定町廻り同心もお手上げの怪事件の数々に、こはるが挑む“人情&ミステリー”時代小説。
    -----------------------

    おでん屋兼子預かり屋の「こはる」が数々の怪事件を見事に解決する連作時代ミステリー… 2010年(平成22年)に『神隠し―子預かり屋こはる事件帖』として刊行され、改訂・改題し文庫化された作品です。

     ■第一話 幽霊が返した借金
     ■第二話 運の悪い女
     ■第三話 神隠し
     ■第四話 叱られっ子
     ■最終話 嘘吐き弥次郎

    天保八年、神田百壁町の甚兵衛長屋近くにあるおでん屋“おかめ”を営む「こはる」は、一年前に腕利きの大工だった夫「幸次郎」と死に別れ、母「おてい」、一人娘「さなえ」との三人暮らし… “おかめ”への客足が減るなか、幼子をあやすのが得意な「こはる」が思いついたのは、子預かり屋の商売だった、、、

    ―夜泣き、寝小便、よろず承り候… よそ様の赤子の世話はもちろん、夫婦喧嘩の仲裁やら何やらと相談にのるうちに、気になることがあると首をつつこまずにいられない性格の「こはる」は、身近で起こった奇妙な事件に巻き込まれ、その解決にひと役買うことに...。


    『第一話 幽霊が返した借金』では、「文七」と「おきん」の夫婦の借金が、その家に居候していた姪で元芸者の「おえん」によって返済されたが、「おえん」は借金が返済された日には既に死んでいた事件を解決し、

    『第二話 運の悪い女』では、近くの裏店で「おせん」という女房とその連れ子の14歳になる「お初」と暮らしていた「周蔵」が包丁で刺されて殺され、「お初」が行方知れずとなった事件を解決し、

    『第三話 神隠し』では、提灯屋なかやの女中で、働き者で心優しく、ほかの者からも慕われており、店の主人の後妻の話もあった「お照」が突然失踪した謎を解き、

    『第四話 叱られっ子』では、母親に嫌われて叱られてばかりいる「松吉」が、本当は心優しく、ほかの人をかばうような心の持ち主であることを証して、母親「おふじ」の愛情を取り戻し、

    『最終話 嘘吐き弥次郎』では、火事騒ぎの不審な点をきっかけに、「こはる」の夫で大工の「幸次郎」が足場から落ちて死んだ事件の真相を明らかにする、


    人情ミステリなのでどれも優しいし、心が温かくなるんですけど、どれもそこはかとなく哀しいんですよね… 人間の業とでもいうか、罪を犯さざるを得なかった人への愛惜が感じられる展開でしたね、、、

    「こはる」のキャラって、自分の頭の中では、「宮部みゆき」作品の、ぼんくら同心「井筒平四朗」シリーズに登場する、煮売屋の未亡人「お徳」と、少しイメージがダブりましたね… いずれの作品もおでんが食べたくなるしね、愉しめる作品でした。

  • おでん屋を営む主人公は、気になる事があると
    つい首を突っ込んでしまう。

    連続短編になっていて、事件はきっちり解決。
    しかも、今だと考えられないような事件のごまかし。
    すべて関わった人達が幸せにはなっていますが
    後ろを知らなかったら、それでも…と
    言いたくなるような事件も。

    江戸で、人情で、というので成立する内容かと。
    辻褄もあっていますし、面白かったです。
    最後の話だけは…本人が選んだとはいえ
    なかなか辛いものがありそうですが。

  • おでん屋を営むこはるが事件に首を突っ込んで行って人情たっぷりの解決をしていく物語。
    軽い謎で、優しい答えが導き出されるので気楽に読めます。
    ただ子供を預かっているにしては放置しすぎだし、自分の子供への愛情と手間を感じる描写がほぼ無くて、2歳の子供の親にはとても見えない。

  • ■ 14184.
    〈読破期間〉
    2014/9/19~2014/9/20

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。2000年「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞し、デビュー。01年「奈落闇恋乃道行」で第54回日本推理作家協会賞(短編部門)候補となる。08年『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞受賞。14年「墓石の呼ぶ声」で第67回日本推理作家協会賞(短編部門)候補に。17年『真犯人』で第19回大藪春彦賞候補になり、18年にWOWOWで連続ドラマ化。他の著書に『人さらい』『左遷捜査 法の壁』『左遷捜査2 迷宮入り事件』『冤罪犯』など多数。

「2022年 『時効犯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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