スプラッシュ マンション (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569762951

作品紹介・あらすじ

マンション管理組合の高慢な理事長にひと泡吹かすべく立ち上がった男たち。奇想天外なその作戦の顛末やいかに。わくわく度満点の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ロングセラー「おけら長屋」シリーズの畠山さんの書下ろし作品。

    マンションの管理組合あるある話で、身近に感じて頁を捲り始めましたが、しかけが少し多過ぎかな。もったいないな。

    何かの所為にして、自分を人生の被害者の立場に置き続け、妬み恨みで権力を握ろうとする高原と、相対する根っからの遊び人3人組の構図は面白かった。

    「確かに人生はテーマパークなのかもしれないな。予期せぬ出来事が次々に起こる。
    これを真正面から受けて苦しむか、斜に構えて楽しむかはその人の度量だからな。」

    そうそう、人生は予期せぬことの連続だもの。何かの所為にしてばかりではなく、自分で選択して生きたいものだ。

    男性から見たジェンダー像は典型的ながら、まあ苦笑を以て、こういう人たちもまだいるのかなと。

    ただし、結婚して子どもが生まれて以来、妻が過剰に子供に耽溺し、偏執的になるあまりに夫婦関係が変わるという設定は、身につまされた。

    もちろん子どもが幼い頃は、四六時中母親業ではあるが、一定成長した後も母親が子に入れ込み過ぎる例はある。
    蚊帳の外に出された夫の哀しさを上手く表現していたと思う。子のためにもよくないよな。

    吉原の風俗嬢も出てくるは、サイコパスも出てくるはで、エンタメではあるけれど、取っ散らかってしまったかな。
    装丁とフォントは好みでよい感じ。

  • 畠山健二さんも言っていたけど、読む前から不安だった。でも普通に面白くて一安心します。あっどうして売れないのか面白いのにねと言っていたかもしれない。トークショウにサイン会の時にたまたま見つけたのとデビュー作だったのと、長屋じゃないけど楽しい住人に恵まれて、高倉の様な甘い汁をたっぷり吸う様に実際あるのだろう不正受注がリアル過ぎる。それを描いてるのもさすが、本当にあの度胸あるならば早くに嫁をなんとか出来るから、理事長になって精神のバランス感覚とか無理だよ。

  • マンション管理組合の理事長と管理会社が癒着しているらしい。いけ好かない理事長をこらしめるため住民の男たちは立ち上がる。
    落語的なノリで楽しく読めた!
    人生はテーマパークだ。楽しむのも斜に構えるのも自分次第。

  • 面白かった!

    マンションの理事会、管理組合での大変さが分かると同時に、遊び心を持った大人たちの悪ふざけの爽快さを味わうことができる。

    マンションの理事会で権力を振りかざす理事長(いや、実はそんなにめちゃくちゃ悪いことしてるわけじゃないんだけど)を、懲らしめてやろうとする住人3人とソープ嬢1人の物語。

    主人公の葉山のキレものっぷりと、胆力の凄さに「お前何者なんや?」とも思うが、読んでてすごく心地よい男っぷりに清々しさを感じる。

    実は偉そうな理事長も不遇な人生を歩んできていたり、管理組合の担当者も理想の家庭とのギャップに悩んでいたり、と。
    みんな表向きは順調そうでも悩みを抱えてるんだなぁと気づかされる。

    マンションの理事会や総会にドラマ性を持たせたらこうなりました!って作品。しっかりクライマックスもあって、キャラも立ってて、面白い作品だった。良書。

  • すっきりと終わっていない部分もあるけど…

  • おじさんたちの度が過ぎたイタズラ…読んでスカッとする部分もあったが、女性軽視な感じがあって、素直に「面白い!」とは言いづらい。
    傲慢な妻たちの尻に敷かれた男たちの憂さ晴らしは、見ていて気持ちのいいものではない。
    でも、同じ境遇にいる人たちにとっては、痛快なストーリー展開で楽しめるのかも?

  • 主人公は「大人の遊び」と言っているが、脅迫したり人の人生を狂わせて遊びとは恐ろしい。たまにぶち込んでくるギャグは全く笑えないし、後半の展開は酷くて気分が悪くなり飛ばし読みした。
    これを、女性が読んだら私以上に気分が悪くなると思う。

  • 最後はすっきり終わったように思いますし、面白いとは思うのですが、わたしには内容が重たい感と、読み物としては敬遠したいものでした。

  • “大人のイタズラ”が最高でした。堅苦しい世の中ですが、見方を変えれば楽しむこともできる、と教えてくれもしました。笑いあり、驚きあり、学びありの3点セットです。

  • マンション理事に一泡吹かせようと大掛かりな騙し合いが始まる!

    この小説はデビュー作であり、2012年くらいの話だと思うのだけれど、全体的に古い言い回しや設定が多くて、読んでいて少しムズムズ恥ずかしい感じ。
    だからなのか、なかなか読み進められなくて、完読まで長い間を費やしました。

    ストーリーはちょっと上手く行きすぎな感じや、登場人物の設定にクセがありすぎて好き嫌いが分かれると思うけど、読みやすくてエンタメ感たっぷりで好きです。
    本当に悪い人は出てこない。
    だから、理事長すら少し可哀想に思えてしまうので、やっぱり最後のエピソードは必要だったんだなぁと思う。
    読後感もよく、全部一応解決するので、安心して読めました。

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著者プロフィール

1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出から、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。2012年、『スプラッシュ マンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が好評を博し、人気シリーズとなる。その他の著書に『下町のオキテ』(講談社文庫)、『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮 おけら的人生』(廣済堂出版)など多数。共著に『猿と猿回し』(内外出版社)がある。

「2023年 『本所おけら長屋(二十)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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