モバイル・コンピューティング

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569775692

作品紹介・あらすじ

IT産業はなぜ、クラウドへ向かうのか-その答えは、あなたのポケットの中にある。

感想・レビュー・書評

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  • 2010年発刊で少々古いが、端末のiOS vs Android などの次元ではなくて、UIの歴史、情報端末の歴史、どのようにした今後の戦略を立てているのか、いずれも多方面から分析されていると感じた。

    UIの発展の歴史、モバイルオープン化、アプリ、キンドル、ポストモバイルなど、示唆に富む内容だった。

  • iPhone VS Android

    どっちを買うか、とかそういう議論が馬鹿らしくなる本。

    マーケティング的にはGoogleはどっちが売れてもおいしい思いをする、そういうことを考えていたんだなぁ、と。

    そして、今日ではその図式も崩れ始め、Google以外のサービスに取って代わられ始めている。

    日本のキャリアも遅れてスタート。でも、遅すぎる? いやいや、挽回のチャンスはまだあるはず。

    面白いのは、この本の著者は出版段階ではスマートフォン周りが遅れていたKDDIの方が書かれたということでしょうか。

  • 若干、アイフォーンとアンドロイドを対比させすぎて、アンドロイドに肩入れしてしまっている部分とか、新しい入力デバイスへの賛意やユビキタスインタフェース研究への揶揄など腑に落ちない点は残るものの、トータルでは得るものが多い本。

    以下、気になった記述。
    ・モバイル・コンピュータは机上の情報処理を遙かに超え、全生活空間を包含する。Activity Based Computing:ABC。地理的、量的、質的に広がる顧客基盤で「スケール」する。Location Based Service:LBS
    ・音声操作技術。ヴィ・リンゴ
    ・Perceptive Pixel社の直接操作
    ・リックライダー:AI 対 エンゲルバート:IA(知能増強)
    ・「えー」音声スタータ技術
    ・googleのモバイル・オープン化運動→FCCへ
    ・アイフォンは製品、アンドロイドはプラットフォーム:ルービン氏
    ・2009年の東京ゲームショーでは約2割がスマホ向けゲーム。
    ・アイフォンはF1層に広がった。キャズムを超えた。
    ・アイフォンはボタンを押した感触がない、入力エラーが起こりやすい。が、開発コストを抑える。世界共通。
    ・アイフォンのタッチは高度な技術。
    ・親指世代からPCへ再シフトしている。H20年通信利用動向調査から。
    ・RIMのストーム2はタッチにバイブで応える。
    ・2009年、グーグルボイス=声をテキスト化してメール。
    ・今後のクラウドを舞台にした出版社は、本の編集に加えて、読者のデータベース管理をする。
    ・マーク・ワイザーのユビキタス・コンピューティング論:深遠な技術は表から消え去る。例)モーター、筆記具 今後)スマホ、電子ブック、デジタル・フォトフレーム
    ・パーリン氏:手には少なくとも25の筋肉があるが、キーボードとマウスはその一部しか使っていない。
    ・人間の認知:身体→視覚→記号。コンピュータ史はその逆。

  • IT系の本は賞味期限が短いが、本書は2011年春の今がちょうど切れるタイミングかもしれません。内容は若干古く感じますが、2010年に2011年を書いたような予測部分があるので、その点での評価です。

    さて。IT系でも技術的な本以外は結構サラッと読めてしまうのですが、同時に色んなアイディアや視点が生まれるから面白いです。本書を呼んでいても、色んな考えが頭をよぎり、結局読むのに丸一日かけてしまいました。

    いくつか面白いと思った点をまとめてみると、まずはGUIの次のコンピューティングはABCであるという部分です。ABCとはActivity Based Computingの略ですが、要するにタスクの流れる順番でアプリケーションがスムーズに入れ替わるようなものです。
    本書ではこれは音声検索とAI技術の台頭ではないかという論調ですが、私自身、それに加えて、アプリケーションがそれぞれ独立している存在ではなく、スムーズに遷移できる、いわばAndroidのIntentのような機能を想像しました。これは結構大事な考え方で、アプリケーションを意識することなくタブで複数のアプリが起動するとすれば、これほどスムーズなことはありません。Firefox4ではタブをグループ分けすることができますが、この機能も追加して、何かをするために必要なアプリケーションをグループ化し、起動・終了を管理できれば仕事だけでなくプライベートでも、作業がとてもスムーズになることでしょう。
    また、音声検索に関しても長期に渡る研究成果が現在、いろんな場所で出ていますが、入力音声を文字化し、形態素解析を行うことが出来、かつネットに接続している環境であれば、一部擬似的にAI的な、入力音声に対して追加で機械側が質問をして、答えることでand検索を行うことができるのではないかとも思います。OR検索はさすがに難しいかなと感じますが。。。音声検索でネット接続環境を必要条件として述べたのには、検索するためという事以外に、Google Instanceの存在を意識しています。入力音声を形態素解析しながらバックグラウンドで検索し、回答に近いものがヒットしない場合、追加で機械側から質問を返すという流れも踏めるのではないかと考えたからです。2011年にGoogleは検索アルゴリズムを500、変更するといわれていますが、精度が高くなればなるほど現実味が増してきます。

    日本の携帯電話販売における販売奨励金についても本書で書かれていますが、少し考えたのは、販売奨励金がなくなったことによって端末にお金をかければ良いという端末メーカー側の思考はなくなったので、Androidのような安価に利用出来るものを積極的に利用する流れとなる。つまり、海外の流れを大きく受けるようになるということです。おサイフケータイとNFCについてもある程度道筋が出来ることになると思いますが、今まで以上に海外の情報と自分たちが持っている情報を組み合わせて、何か新しいことが出来ないか、常に考えることが必要になるのでしょう。

    本書とは関係有りませんが、ここで本書を読みながら考えたアイディアをいくつか書いておきます。(すでに存在するかもしれませんが。)
    1.ARを利用して、「この店で待ち合わせよう!」みたいなものを実現すること。
    ⇒カメラで店舗を捉えれば、その店の情報が表示され、その画面内でチェックイン&招待が出来るような物を想像しています。自動的に該当店舗専用のタグを付けてあげて、店側でもわかるようにして、Googleの店舗詳細画面でもストリーミングで見れるようになると面白いです。

    2.バーコードとARを組み合わせて、バーコードをカメラで捉えると、それに対する評価やクチコミ、コメントやブログへのリンク等が、表示されるサービスというのはいかがでしょう?東のエデン的な。

    3.敢えてその場でモノが買えない、商品を1点限り並べるAmazonの実店舗バージョンというのはどうでしょう?
    ⇒買うのはAmazon等のネットショップだけれども、触れる、見れる、感じられるという五感を重視した店舗です。
    商品をその場でいじることが出来れば、さらに面白いし、バーコードを利用してクチコミがわかると面白い。お店に入る時に、情報を見るための端末の貸し出しがされていたり。システムの発注先はAmazonじゃなくてもいいけど、お急ぎ便対応が出来ると良い。

    と、特に本書と関係ないものですが、ネット系の本の面白さは、こういう部分にあると思っています。

  • iPhone/Androidを中心にスマートフォンの普及やその背景。
    なぜiPhoneがここまで広まったのか?

    自分も疑問に思ったことは、
    なんでこのUIで?何もできないじゃない?

    と思ったんだけど、
    ソフトキーには全世界にソフトだけで対応できる点や、
    入力の補助があることを知った。
    そもそも閲覧メインで何かを編集することを前提にしてない。
    シングルタスクだったことを知らなかったし・・・

    googleの音声検索やセカイカメラ
    →カメラで覗き込むことで情報インプット、取得できる
    というUIにも感心した。

    以前からキーボードというUIがもっと便利なものに
    ならないかと思っていたので。
    おじさんたちにはキーボードはつらいし、
    普通に考えてもこんだけのボタンが配置されていて、
    それを順番に打つことを覚えるのは敷居が高い。

    Androidをタダの携帯電話のOSと考えず、
    全てのコンピューターのOS、通信基盤になりえること、
    またそれをフリーで提供すること。
    そうすることで「デバイス」の敷居をなくす。

    なるほど、iPhoneを超えるのが時間問題というのも
    説得力がある。個人的にApple好きじゃないのもあるけど・・・

    そろそろ自分も今の携帯買って2年経つけど、
    もう少しマルチタスクが安定して、Androidが普及してから
    買い換えた方がいいかなぁ。
    ってか、その前に日本は通信費高すぎるから買ってないんだけど。

  • Androidやiphone、その他モバイル系の取り巻く状態が書かれている。
    AIという言葉は知っていたが、IA(Inteligence Amplification 知能増強)という言葉を初めて知り、興味を持った。
    一番驚いたのは、AndroidについてのGoogleの戦略だ。
    米国のアナログ放送終了後の帯域をFCCの依頼によりオークションに参加はしたが、オークション参加を引き換えにGoogleはFCCに対し、オークションされる帯域をオープン化を取り付けた。
    オークション開始早々最低落札価格を提示したのみで、早々に撤退する。
    その後満を侍して、OSSのAndroid発表。なんとしたたかなことか。
    次に驚いたのは、AndroidMarketの有料アプリの売り上げの配分だ。
    私自身Androidアプリの開発を考えていたので、A■■leと同じ70%が開発者の取り分で、それ以外はGoogleの懐に入っているものだと思い、さぞかしもうけているだろうなぁと考えていたところ、実は残りの25%はキャリアにいき、Google自体は、AndroidMarketの運用実費程の5%しかもらっていないという。
    よく言われていることだが、Googleは本当にAndroid単体で、もうけることは考えていないようだ。(AndroidOSもOSSだし)
    どっかの独善企業A■■leとは大違いだ。
    こんなこと書いたらA■■le信者にたたかれるなwジョ■スはA■■le、Pi■erを起こすなど、すごく尊敬しているが、販売戦略はあまり好きじゃないから、やっぱりこれまでもこれからもやっぱりAndroidを応援続けると思う。なんてったってDorid君がかわいするぎる!
    それにしても面白かった。2,3年後、再び呼んで現実と筆者の予想を比べてみたい。

  • 2010年初頭で見えているスマートフォン、モバイルビジネスの潮流を掴むには最適な一冊。ひとつひとつのトピックに深さはないが、ある程度網羅されているため、短時間で状況を掴むにはもってこい。

    個人的には、モバイル×インターフェイスに絞った続編を期待したい。ABC(Active Based Computing)だとか、その辺りの面白い動きを掘り下げて欲しいッス。

    <抜粋P227、P228>
    コンピュータのUIはかつて、UNIXやMS-DOSのコマンドのように「記号的」であった。これがやがてGUIのように「視覚的」なスタイルへと移行し、今はタッチパネルや音声入力のように「身体的」なUIへと切り替わりつつある。つまり人間の認識が「身体的」→「視覚的」→「記号的」と成長するのに対し、UIは逆に「記号的」→「視覚的」→「身体的」の順に進化するのだ。

  • Googleがやりたかったこと、携帯の将来についてを教えてくれる本でした。

  • 分かりやすいし、すごい情報量!
    大変参考になった。

  • ・日本のキャリアによる垂直統合型ビジネスに風穴をあけるアップル。
    オープン化戦略でアンドロイドの普及をねらうグーグル。

    ・モバイルアプリはビジネス的に不安定で継続性がないため小売ではスケールしにくいた、えプラットフォームの成長がカギとなる。

    ・モバイルコンピューティングに適しているのは、視覚的なメタファーではなく、コマンド、つまりコンテクストに基づく情報処理である。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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