- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569779003
感想・レビュー・書評
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歴史にever/neverはないはずだが、この作者はほとんど断定的だな。
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文字通り、『その時、歴史は動いた』についての反証本。
番組に限らず、結論ありきで考える歴史学者や通説に一石を投じる内容で、面白かった。 -
NHKの歴史番組を批評した本。本書にある通りその時を確定するのは難しいと思われる。また前書きにあるように時代に偏りがあるのも分かった。
1つ1つが短いのでザックリ読める。何でもかんでも批判するのではなく新撰組の捉え方を褒めていたりと、公平性はある。 -
学生時代に定説と思い込んでた歴史上の出来事、
結構覆った観がありました。
ただ、なんだかちょっと読みにくいのが気になりました。
ん~なんでだろ。 -
本書はNHKの人気番組「その時歴史が動いた」を素材として日本史の転換点を取り上げ論じたものである。平将門から旅順二百三高地までを取り上げており、一つあたりが駆け足となってはいるが、歴史を知る手掛かりとなっており面白い。
本書も言う通り、NHKの歴史番組はいい加減な点が少なからずあるので娯楽番組として楽しむくらいがよかろう。(民放はもっとひどいが、視聴率をとるためには、過激な珍説の方がよいのだろうけどね) -
教科書で習った日本史について、「実はそうではなかった」「今の通説はこう」という話題を紹介している本。
「長篠の鉄砲三段撃ちはなかった」とか「桶狭間の戦いは谷間への奇襲ではない」とか、そういった話題を扱った本は数多いし、歴史を取り上げたWEBサイトなどでもよく目にするが、この本の特徴は、NHKの有名番組「その時歴史が動いた」へのツッコミを中心に成り立っているということ。
そのため、たんなる歴史ネタの本としてだけではなく、「あのポイントを『その時』と位置づけるのは適切か」といった視点も含んでいるのが面白い。
歴史好きの人が、通勤電車やお風呂での読書で気楽に読める雑学本を、というときに最適な本かな。 -
最近はあまり見ていないのですが、NHKの歴史番組として有名な「その時歴史が動いた」があります。テレビを見る代わりにNHKが出版しているシリーズ本を読んでいますが、日本には歴史の転換点がそれほどあったのかと感心していたのが今までの実感です。
この本は、ある意味でそれに対して”斜に構えた見方”をしているようですが、このような考え方もあっても良いのではと思いながら読みました。
歴史というのは勝者によって記録され保存されてきたものなので、ある事件も当時から見れば、それほどの大事件と感じられていなかった可能性もあります。
結果を全て知っている我々が色々と解説するのはできますが、当時の人の気持ちになって歴史を見るというのも、私にとっては新しい見方で、楽しむことができました。
以下は気になったポイントです。
・頼朝と義経が生きた時代には、子供は母親のところで育てられたので、同母の兄弟以外は一緒に育てられない、お互いは30歳を超えるまで一度も会ったことがない(p37)
・承久の変において北条政子の演説は一定の効果があったと思われるが、それ以上に大きな働きをしているのは大江広元である(p52)
・元寇最初の文永の役は、台風によって決着がついたのではなく、日本軍の抵抗が予想外に激しく、九州の奥地に後続の大軍がいると誤認したため撤退した、そこで暴風雨にあった(p56)
・足利尊氏が逆臣とされたのは、彼の擁立した天皇の系統(北朝)は正統王朝ではなく、後醍醐天皇の系統(南朝)が正統であると明治政府が断定したから(p60)
・日本人はずっと飛び道具主体(弓矢、石、礫)で戦っていたのであり、鉄砲導入により戦闘思想は変化していない(p77)
・川中島の戦いで4万人のうち2.7万人の死傷者が本当に出ていれば、武田も上杉も軍隊としての体をなさなくなる(p86)
・姉川の戦いで織田・徳川はすっきりとした勝ち方はしていない、数ヶ月後には浅井・朝倉は比叡山を根城に信長と対峙している(p90)
・三方ヶ原の戦いにおいて、両軍の騎馬武者ともに戦闘はおおむね下馬して実施、徳川が敗色濃厚になってから家康は馬に乗って逃げた、馬の使い方は逃走か追撃のどちらか(p94)
・長篠の戦いにおいて、武田が決戦したのは、包囲された長篠城を救うために織田・徳川軍が別働隊を出して武田側の付城を攻撃、これで退路を断たれたと武田が考えたから(p102)
・信長が造ったとされる全面装甲の鉄船というのはかなり怪しい、その十数年後に豊臣秀吉がつくられたところ、全て沈没してしまった(p106)
・織田水軍の大勝利が本当であれば、その後本願寺が2年間持ちこたえられたのが不思議(p107)
・本願寺が開城されたことは、歴史の転機であった、未だに行われていない聖と俗の分離が1580年に起こったことは後世への贈り物であった(p110)
・関ヶ原の戦いにおいて、西軍がおびき出されたのは事実ではなく、むしろ東軍が西軍の策(野戦築城に引っかかった)にはまったのが事実(p158)
・秀吉の天下統一が完了した天正18年では、秀吉は別格として、織田信雄、家康、豊臣秀長、豊臣秀次がほぼ同格で並んていた(p176)
・鳥羽、伏見の戦いで旧幕府軍を一気に壊滅させたのは、津藩藤堂家の裏切りである、関ヶ原の小早川と同じ(p180)
・大坂冬の陣で「真田丸」を守って徳川勢に大きな損害を与えたのは事実であるが、その功績の半ばは、そこを守った長宗我部盛親のもの(p184)
・大阪夏の陣で勝機ありとみた大野治長が、秀頼の出馬を仰いで決戦しようとして城内に向ったのが敗走と誤解されたのが敗因の原因という説もあり(p185)
・薩英戦争では、実際には互角以上の戦いをしていた、イギリスにとっては旗艦の艦長まで打ち倒されたことは衝撃であった(p193)
・桜田門外の変において、暗殺者たちは、いずれも贈位されたり靖国に祀られているが、大老を守って死んだ人は何の配慮もない(p199)
・鳥羽伏見の戦いの戦いにて「錦の御旗」が持ち出されたが、それは偽の錦の御旗であった(p208) -
著者には、一般に歴史常識とされている事柄がいかに根拠が乏しいままに流布されているか、「後ろ向きの予言」(結果から原因や過程を遡って解釈する)が歴史解釈をゆがめているかをテーマとする著作が数多い。
本書は、NHK歴史番組「その時歴史は動いた」の視点を検証するものであるが、番組批判は意図していないと断った上で様々な視点で「その時」に疑問を投げかけている。
テーマが多いために、やや掘り下げ不足の感があるが、在野の歴史家らしく、わかりやすく歴史を視るには複眼が必要であることを教えてくれる。
例えば、平清盛の「六波羅幕府」、源頼朝が実は肉親の情に厚いこと、承久の乱の功労者は大江広元など。
特に関ヶ原の戦いにおける家康、三成比較論にいまだに「結果論者の天下」が横行しているという指摘は我が意を得たりである。
このことが家康の評価を下げることにはならないのである。
ただ、最初の断りにも拘らず「その時歴史は動いた」の揚足取りに過ぎるきらいがあるのが惜しいところである。 -
一般に知られている内容が妥当かどうかを投げかけている。
個人的に好きな戦国時代や幕末での出来事について多く取り上げられていた。
今の歴史観は勝者の立場から語られているから、別の視点で見ることは重要。 -
NHK「その時歴史は動いた」の歴史的検証。番組にある俗説を冷静な資料で分析