螢の城

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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569795379

作品紹介・あらすじ

時は慶長五年。家康と三成がどうしても味方にしたい男がいた。大津城主・京極高次。妹・京極龍子や妻・浅井初の尻の光で出世し、「螢大名」と嘲られていた。軍略も軍才もない弱小の男。しかし、男には戦国一の「人望」があった。関ヶ原へと向かう立花宗茂ら西軍四万をわずか三千で迎え撃つ。家康に勝利をもたらせた大津篭城合戦の激闘を、いま、ここに描く。

感想・レビュー・書評

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  • 妹、龍子が豊臣秀吉の側室となり、自身も、淀殿の妹・初を正室とし、彼女達のおかげで、出世したとの嘲りを含めて「螢大名」と渾名された、大津城主・京極高次。
    時は慶長五年。今まさに天下分け目の合戦が繰り広げられようとしている時。
    家康と三成がどうしても味方にしたい城、大津城。

    高次は、その大津城に籠り、戦国最強といわれた猛将・立花宗茂率いる四万の軍勢を、たかだか三千の兵で立ち向かい、大坂方の軍勢を、関ヶ原の戦いの主戦場に向かわせなかった。
    そして、家康に「高次こそ関ヶ原の勲功一番」と言わしめた。

    有名な武将もいるが、知らない武将が多すぎて、どちらが大津方でどちらが大坂方か、わからなかった。

  • 京極高次の大津籠城戦を描く。ほたる大名として、決して強くはないが、優しい血筋の良いお殿様としてとらえている。
    個人的には、あの佐々木道誉の血を引くのであれば、本当は、もう少し違う人物として見れる気もします。

  • 時は慶長五年。家康と三成がどうしても味方にしたい男がいた。大津城主・京極高次。妹・京極龍子や妻・浅井初の尻の光で出世し、「螢大名」と嘲られていた。軍略も軍才もない弱小の男。しかし、男には戦国一の「人望」があった。関ヶ原へと向かう立花宗茂ら西軍四万をわずか三千で迎え撃つ。家康に勝利をもたらせた大津篭城合戦の激闘を、いま、ここに描く。

  • 京極高次と、大津城の戦いを描く。
    兵力としては、見向きもされなかった男が、関ヶ原の戦いに大きな影響を与えていくところが、面白い。
    軍才のない彼のために、城の者が一致団結する姿も、胸を打つ。
    螢大名と侮られた彼だが、愛すべき殿。
    武将名の羅列部分は、読みにくかった。

  • 大河ドラマ「江」の姉である初を妻に持ち、名門京極家の当主である京極高次が主人公です。

    自身は大した手柄を立てたこともないのですが、大津城という非常に重要な戦略地を領地にしていることと、妹は秀吉にゆかりがあり、妻の妹である江は徳川秀忠の妻であり、これまたゆかりがある、ということで、関ヶ原の戦い前夜で、石田側と徳川側と双方より誘いを受けた人物です。

    西軍側から大津城の明け渡しを求められると、敢然と籠城を決め、籠城側3千人、攻城側は4万人という戦いに挑みます。そして、1週間をどう粘り、立花宗茂を関ヶ原の戦いでの遅参に追い込むという金星はどうやってあげたのかが面白く描かれていました。

    やっぱり、籠城ものは面白いです。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-03a0.html

  • 戦乱の世を生き抜く術として、「優しさ」は「アリ」か?
    きっと勇猛果敢と讃えられた武将たちも、心の奥底には同じようなやるせなさを抱えていたんじゃないかなぁと切なくなることも。

  • 戦国時代、妻や身内の女性の後盾で出生したから「螢大名」と呼ばれる大名がいた。その名は、京極高次。関ヶ原から京へ向かう途中にある、琵琶湖のほとりの大津城の城主である。秀でた軍才もなく優れた軍智もない弱小大名だが、徳川家康も石田三成もどうしても彼を味方にしたがっていた。歴史の中ではただの京極氏としか出てこなく、たいした役割もしていないようだが、この関ヶ原の合戦においては、影の立役者となっている。今はなき大津城。どのあたりかと興味があったが、ラストページの「大津城攻防戦闘要図」を見てナルホド。今の大津港から膳所城にかけて…。「浜大津」と呼ばれているあたりのようだ。京極氏の栄華同様、お城の影も形もないというのが現状だ。

  • 蛍大名と呼ばれた、大津城主「京極高次(きょうごくたかつぐ)」の大津城籠城戦を描いた作品。

    僕はこの作品を見るまでこの人の事を全然知らなかったけど、ライティングの手腕のおかげか、とても魅力ある人に僕には映りました。

    「家臣へ死ねと命ずるのが主君の仕事」と逆に家臣から言われるほど、部下を大切にする高次は、稀代の人心掌握術(単純に性格的なものが強いが)を持った大名なんだなと。

    人との信頼関係をつくるには、まず自分がその人を大切に思うことが大事だと言う事をすごく実感した一書。

  • 久しぶりに本格的な時代小説を読んだような。
    なんと舞鶴が出て来た。田辺城ッ!

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著者プロフィール

作家

「2020年 『海のまほろば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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