変化を生み出すモチベーション・マネジメント (PHPビジネス新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569795591

感想・レビュー・書評

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  • ☆3(付箋7枚/P167→割合4.19%)

    ぱらぱら見ると、当たり前のことしか書いていないように感じたけれどちょっとひっかかったので読み始めると、冒頭で

    “人材という資源は他の財と違ってその価値の可変性が大きい。人材を財産と見るか、コストと見るか、どちらの視点に立つかは全て経営能力との兼ね合いで決まることになる。”

    と書かれていて、あ、これはこの人は人材育成のことをずっと考えてきた人だ、と思う。モチベーションについて色々な面から考察してきたのだろうという歴史が滲んで感じられる本だった。

    ・人材という資源は他の財と違ってその価値の可変性が大きい。人材を財産と見るか、コストと見るか、どちらの視点に立つかは全て経営能力との兼ね合いで決まることになる。

    ・「よくやった」という褒め言葉を、最高のタイミングで部下に与えたとする。部下がそれを1万円と同等の喜びに感じる特性を持っていたとしたら、部下のモチベーションは非常に高まるだろう。さらに言えば、仮に100人のマネジャーがいるとして、1人が1日1回こうした1万円に価するコミュニケーションを行えば、100日で1億円の価値を生み出すことができる計算になる。

    ・従業員が2人の会社であればコミュニケーションの線は1本しかない。だが、10人の会社では線は10本ではなく45本にもなる。これが100人の規模となると、4950本という、非常に複雑なコミュニケーション線が発生することになる。
    …しかし、例えば100人の会社には、個人単位で見れば4950本もの線が発生するが、それを10人のチームに編成し、その上にリーダーを置くとする。そうすれば、一つのチーム内に発生するコミュニケーション線は45本となり、チームごとでとらえたコミュニケーション線も45本で済む。さらにリーダー単位で見た時、そこでも線は45本となる。結果、全体のコミュニケーション線は495本、4950本の1/10にまで減らすことができ、「複雑性の縮減」が可能となる。この、チームをまとめるリーダー、コミュニケーションの「結節点」を担うのが、すなわちマネジャーである。
    組織図などを見てみると分かりやすいが、マネジャーは結節点、つまり、自分の上役と部下、他部門間など、組織の上下・横の「コミュニケーションターミナル」であることが強く求められている。

    ・阪神大震災の際、ボランティアとして働いた人は、毎日毎日被災者からの感謝の言葉をもらうことが、夜中まで家々を回るモチベーションとなったという。しかし彼らは、人の役に立つ、人の期待に応えることをあまりにリアルに感じたがために、しばらく社会復帰ができなくなってしまったと聞く。普通の企業に就職しても、リアルな貢献実感を味わうことができないことが原因だという。
    …逆説的に言うと、今後、貢献実感を作り出せない企業は、市場からの撤退を余儀なくされるだろう。国際競争の激しい今、顧客への貢献が企業の使命であることを第一義として認識していない企業は、顧客からの信頼を失っていく。「顧客満足の最大化」を実現するために、あらゆる部門の従業員が顧客への貢献を実感し、それを高めるために努力する構図を作らなければ、企業の競争力すら失ってしまう時代なのである。

    ・今携わっている仕事を改めて見つめた時に、「このままでは、この会社でしか通用しない人材になってしまう」「専門能力や知識が何も身につかない」と感じてモチベーションが下がり、ともすると他の会社に転職を考える人も出てくるだろう。
    特に、このような不安を抱きやすいのは、営業など専門知識や能力が表現しにくい仕事や、定型業務の多い管理部門に属する人材である。
    …「営業経験」「営業力」とは、つまるところ「コミュニケーション能力」と「意思決定を促す力」に尽きる。商品知識、業界知識などは、転職により携わる商品や分野が変われば新たに勉強しなければならないが、この2つのスキルは、営業職を続ける限り必要とされる。このようにある仕事に関して必ず必要とされ、どんな会社、どんな業界でも通用するスキルを「ポータブルスキル」と言う。
    上司が、その仕事において、どれだけ普遍的なポータブルスキルを提示できるかによって、部下の仕事への取り組み姿勢は変わってくるはずだ。

    ・上司が部下に資料や報告書を作っておいてくれ、と依頼する。当然、納期が決められ、部下は上司の期待に応えようと、納期までに必死に努力したとしよう。納期になんとか間に合い、上司に「この間の資料です」と渡した時、上司が忙しさにかまけて「あ、そこ、置いといて」と言う。こんなことは今までなかっただろうか。実は、これが部下のモチベーションを一気に低下させる。
    …部下は、上司が創造する10倍以上、自分の仕事に対する評価や感想を気にかけているものである。できたら、手渡された瞬間に目を通し、評価や感想を伝えるべきである。もし、それができないほど忙しければ、「置いといて」ではなく、せめて手で受け取り「ありがとう、〇時までにフィードバックするよ」と、上司側も「納期」を決め、必ず守るという姿勢を貫きたい。褒めるにしても、注意するにしても「気が付いたその時その場で」が最も有効である。

    ・自ら「変えられるもの」と「変えられないもの」の違いとは、「思考」と「行動」は変えられるが、「感情」と「生理」は変えられない、ということである。「今、10×8を計算してみてください」と言えば、これを読んでいる人はすぐに計算して「80」と答えを出すだろう。また、「今、首を回してみてください」とお願いすれば、すぐに行動に移すことができる。このように、思考や行動は、何かインストラクションがあれば、それに従ってすぐに変えることができる。
    しかし、「隣の人を好きになってください」と言っても、簡単には好きになれない。また、「今すぐに汗を100ccかいてください」と指示しても、コントロールできるものではない。
    …仕事の場面に置き換えた時、成果が上がらない部下を見ると、「変えられない」ことに意識を集中している場合が多いことに気が付くだろう。たとえば、「あの顧客は嫌いだ」「あの顧客のところに行くと具合が悪くなる」など、嫌な感情や生理反応をもっていることがある。また、「うちの商品が良くないから売れない」という部下もいるだろう。これらは、いずれも部下本人が今すぐには「変えられない」ものである。
    …このような部下に、「いますべきことは何か」と聞くと、商品に魅力がない、顧客の融通が利かないなど、自分自身では変えられないことに業績が上がらない原因を押し付けようとする。上司はそれに対して「その状況を突破するために、キミが今、できることは何だろうか」と、部下の行動の変化を促さなければならない

  • モチベーションを上げる・上げさせる為のノウハウが書かれている。自己啓発にも使えるとの事だが、自分では客観的な見方で考えの方向性を変えるのは難しい。それができる人は、そもそもこの手の本は読まないはず。

  • ・アンフリーズ→チェンジ→リフリーズ

    ##アンフリーズ
    ・ロングレンジ効果→目先のやるべきことの先に、取り組むべき新しいことを見出す
    ・ショートレンンジ効果→目の前の目標をクリアし、積み上げることが充実した未来に

    ##チェンジ
    ラダー効果→仕事の意義を捉え直す

    ##リフリーズ
    コミットメント効果→宣言させる

  • 心理学的な手法が様々取り上げられていて、自分の行動がどのように他人へ影響を与えていくのか、他人は変えられないという原則のある中でこれから実践していきたいことがたくさんありました。入社してから、実践していきたいものばかりなのでまた読み返すことを決意しました。

  • 個人の変革技術について述べられています。
    Unfreeze→Change→Refreezeの段階を経て、個人に変革の機会を提供することを具体的な技法を用いて記載されています。
    頭では理解できますが、実践で活用するには何度も練習を積み重ねたり、意図的に会話で使用しないと難しいと思います。
    しかしながら、人の特性を理解するという意味では読み価値のある一冊だと思います。

  • 面白かったけど、188ページ2行目の長瀬は伊藤の間違いではないか?だとしたら非常に残念

  • unfreeze →change →refreeze

    ●時間のマジック
    ・ロングレンジ効果(長期的な視点を持つ)
    ・ショートレンジ効果(目の前のことに集中する)
    ・タイムマシン効果(初心を思い出す)
    ・デッドライン効果(毎日が締日)

    ●空間のマジック
    ・ズームアウト効果(自分の悩みなんてたかが知れてる)
    ・ズームイン効果(まず1つに集中して強みと成功体験を)
    ・アングル効果(「裏を返せば」の視点で考える)
    ・ロールプレイング効果(候補者側の役になりきる)

    ●目標のマジック
    ・ラダー効果(仕事への意味づけでやる気UP)
    ・オプション効果(自己決定感でやる気UP)
    ・ライバル効果(負けたくないがエンジンになる)
    ・ロールモデル効果(○○さんの**な所を目指す)

    ●安心のマジック
    ・マイルストーン効果(一歩ずつ進む仕掛け)
    ・エスコート効果(伴奏者の存在)
    ・マッサージ効果(「私もそうだった」)
    ・セーフティネット効果(失敗してもOK)

    ●習慣のマジック
    ・コミットメント効果(宣言したらやるしかない)
    ・ルーティン効果(やらないと気持ち悪い、を創る)
    ・モニタリング効果(実績を見える化する)
    ・フィードバック効果(他者の評価を知る)

    ●集団のマジック
    ・スポットライト効果(表彰されるとやる気UP)
    ・サンクス効果(ありがとうと言われるとやる気UP)
    ・ファーストクラス効果(もう一度壇上に戻りたい)
    ・ウェーブ効果(みんながやるからやる)

  • 濃い時間を過ごす方法:時間に区切りを入れる 
    今のままでは何か足りない という心理状態が人を向上させる:ツァイガルニーク効果
    何か足りないという気持ち、自分が何かを達成したいという気持ちが心理的な緊張を海、この緊張を和らげたいという欲求が目標達成の意欲をかき立てる
    研修旅行のプログラム:1日目は吐き出させる、2日目は回復のプロセス(現状を変えるには何をすべきかを話し合って行動目標を言語化する)
    朝の決まりごとを、それをやらないと気持ち悪い、というぐらいまで習慣として定着させる

  • クルト・レヴィンの「unfreeze」「change」「refreeze」の、組織変革のフレームを、それぞれの勘所を明かしながら、具体的なストーリーを交えて、書かれている。
    勉強になる。

  • 人の変化に関するフレームワークが知れる。これでうまくいくのか実践してみないとわからないが、とてもわかりやすい本だった!

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著者プロフィール

1961年生 大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て、2000年株式会社リンクアンドモチベーション設立、同社代表取締役社長就任。2013年代表取締役会長就任。

「2019年 『モチベーション・ドリブン 働き方改革で組織が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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