地獄に落ちる世界経済

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569796253

作品紹介・あらすじ

1929年の大恐慌を超える、世界同時破綻!日本経済はこれからこうなる!米国債暴落、ユーロ解散、中国大崩壊!「末法の世」と化した世界の中で、どう生き残るのか?バクテリアが実現する革命的新技術から日本の未来を読む。

感想・レビュー・書評

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  • テレビや新聞でどのような伝え方をしているのか明確に知りませんが、日本以外の世界の経済は、かなりひどい状況になっているように思います。日本にも問題はあるのでしょうが、最近の円高は日本の優位性を示しているのではないでしょうか。

    この本の著者である松藤氏には彼が独立して金鉱山の会社を始めた時から注目していました。彼は最初は苦労したようですが現在では成功を収めているようです、

    彼曰く、今後の日本を救うのは「金(ゴールド)と菌(バクテリア)」だそうです。特にバクテリア(金はバクテリアの排泄物であった)が日本を救うという考え方は私にとっては新しいもので興味深く読ませてもらいました。

    以下は気になったポイントです。

    ・広島、長崎が短期間で復興できた理由として、いちばんのキモは、広島・長崎に棲んでいるバクテリアである(p17)

    ・ゴールドを作る菌(コリモナス属細菌)を日本で初めて発見し、いまナノ単位の金生成に取り組んでいる(p18)

    ・3月15,16日の放射性物質の異常値は、メルトダウンによるもの(p27)

    ・住友電工では、2011年中に超伝導ケーブルの生産能力を年間1000キロメートルに世界に先駆けて量産する(p33)

    ・火力発電(天然ガス燃料のコンバインドサイクル発電)の変換効率は50-60%、水力発電は80%以上だが、原子力発電は33%である(P34)

    ・実績ベースの発電量コスト(国民負担コストから計算)は、1970-2007年までで、火力発電:9.8円、原発:8.6円、水力:7.0円(1キロワット当り)であるが、税金負担分を加えると、原発は10.6円、夜間の発電電力を利用する揚水発電コストも入れると12円以上となる(P37)

    ・2002年ころから太陽黒点活動が衰弱しているので、寒冷化に向かっている(P38)

    ・計画停電に追い込まれたのは、津波で火力発電所(広野・常盤那珂・鹿島等)の機械や冷却ポンプが破壊されたから(P48)

    ・天然ガスは世界で余っているので価格は下落している、アメリカではシェールガスが多量に発見された(P49)

    ・斜めに掘るという新手法で、地熱発電所が新設できるように規制緩和され、三菱マテリアルと東北電力が十和田周辺でプロジェクトが開始された(P56)

    ・日本株価が下げた理由は超円高によるもので、中国や欧州とは異なる(P66)

    ・日本は債務よりも債権が多く所得収支は安定的に増加していて日本経済は健全(P72)

    ・オバマ大統領が就任した時の経済閣僚はみな消えた、アメリカ経済の実態を知れば知るほど逃げてしまった(P76)

    ・アメリカでは地方債の破たん、州政府の財政は国に輪をかけて悪化している、イリノイ・カリフォルニア・ニュージャージなどはかなり厳しい(P79)

    ・2011年6月までにQE2で6000億ドルものマネーが流れ込むはずであったが、半分は高級官僚たちの給料に消えたが、QE1とあわせて6000億ドルは流れ込んでいる(P83)

    ・FRBは直近ではGDPの16%もの米国債を購入、イングランド銀行は同13%(P86)

    ・福島原発の事故処理でアメリカは、フランス・ロシア連合に負けるわけにいかなかったので、チェルノブイリ級の事故にしたかった(P91)

    ・ユーロ以上にあらゆる通貨に対して下がり続けている通貨は、イギリスポンドである、1700年以降で現在が一番の低金利である、この意味はこの資金でゴールドを購入しても利益がでるということ(P99)

    ・現在の金価格はバブルではなく、上昇の始まり、1600ドル付近から2100ドルになる(P114)

    ・中国政府の投資マネーは全額、人民からの借り上げであり、いつか返却すべきもの、日本は全くの余剰資金であるのが中国との差(P125)

    ・インフレ、人件費高騰、人民元高の3重苦で、中国は終わった(P131)

    ・中国に進出している日本法人の利益率と欧米のものを比較すると2倍(日本:10%)も異なる、高い人件費が反映されている(P134)

    ・日本の鉄道で最も重視するのは、スピードでも車両デザインでもなく安全運行、中号新幹線は、フランス、ドイツ、日本から技術とシステムを組み合わせたパッチワーク(P144)

    ・現在中国の富裕層が行っていることは、1)人民元をドルか、円、金に代えて外国金融機関へ送金、2)外国籍を取得、3)家族を外国(複数国)に移住させる、である(P154)

    ・2009年4月に海外事業に関する税制が改正され、海外子会社からの配当は95%非課税になった、その結果、2010年度に海外子会社があげた3.27兆円のうち、3.12兆円が日本国内に還流、海外事業の再投資に回された金額は3.7%(1200億円)にとどまった(P170)

    ・国債は低金利なので借り換えるだけで利子負担が減る、チェックするポイントは債務の利払い費(P173)

    ・太平洋の海底でレアアースの巨大鉱床を発見、推定埋蔵量は900億トン(陸上の800倍)という明るいニュースが飛び込んできた(P178)

    ・長崎に原爆が落とされた時、味噌を毎日食べていた人は後遺症もなく助かったと報告された(P185)

    ・2009年、オーストラリアで純金を生成する2種類のバクテリアが発見された(P195)

    ・2011年6月に発見できた菌(コリモナス)が還元した金はナノ単位のゴールドであった(P196)

    2011年12月23日作成

  • 今の世界経済を読み解くヒントを与えてくれる。世間のマスメディアが報道している全てが真実ではないということを痛感させられた。
    著者の説得力のある文章に引き込まれた。今後の世界経済が本書のとおりになっていくのか、注意深く見ていきたい。

  • ついに米国債格下げという未曾有の事態。ヨーロッパでは、いよいよギリシャが胸突き八丁になり、それがEU全体に悪影響をおよぼすことが確実視されている。片や、世界の工場・中国では、新幹線事故などを始め、その経済・政治の不安定性が世界に晒されてしまった。本書では、このような事態にある世界経済が、これからどのように進んでゆくのか、日本に対する影響はどのようになるのか、明るい希望の灯はどこにもないのか? などの疑問について、実際に金鉱山事業を展開する、経営的視点から分析し予測する。

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