四色(よしき)の藍(あい)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569796758

感想・レビュー・書評

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  • 藍染職人だった亭主の仇討ちを胸に、主人公の環(たまき)と、艶のお唄、武の伊織、老獪なおくめの四人が織りなす人情劇。目許ほぐれる結末。ふわりと湯気が立ち昇る新小豆の汁粉、ふっくらと焼けた厚焼卵や小鯛の味噌漬け、かぶらのおろし汁、滋味溢れる食の描写が良かった

  • 読みはじめは、登場人物がなんだか浅い感じに思えました。男たちはグズグズしているし、女たちはすぐに導火線に火がつくし、西條奈加らしくないなぁ…と。でもさすが、それだけでは終わりませんでした。人間って、そう単純じゃない。互いの糸の絡み方がややこしくて、でも少しずつ解ける感じが良かったです。

  • 四人の女性たちが、それぞれの思いを抱いて共に行動する物語
    一人は夫を思い、一人は子を思い、一人は別れた亭主、一人は恋人を思う
    どれぞれには大切な人がいる
    他人を大切に思う心が、大切と思われ人を救ってくれる
    心温まるお話だった。
    嫁入りはできなかったが、お姑さんの面倒をみるのは当たり前でしょ
    と主人公が最後に語った言葉は、珠玉だった

  • なるほど〜。環と伊予とお唄とおくめのその後をイメージできる締めくくり。絡まった糸が少しずつほどけてく加減が絶妙でした。
    三左衛門、脇役なれど深掘りすると面白そう(^ ^)

  • 藍と愛をかけているのかな?
    表紙には、のれんの裏に3人の足が見える。
    亭主への、幼馴染への、子供への、恋人への。
    初めはねじれた感情ばかり。話が進むにつれ解きほぐされていく。最後は切ないなぁ。父親に認められたい一心で手を血で汚した。踊らされた哀しさと無力感。それでも想い人と母親の前では恰好をつけた。幸せを手にすることはできなかったかもしれないが、少しは報われたとも思った。

  • そういうことね・・・。
    どうしてそういうイジワルするのかな、西條さん。

  • カテゴリ迷うけど、とてもよくできたミスリード展開だったのでミステリサスペンス枠に。複雑な要素をきれいに織り込んであった。いいなあこれ、すきだった。お江戸舞台で、女だてらに、女性だけで犯罪を暴こうという設定がまずすき。夫を殺された商家の後家、男装の武家娘、お色気満載の水茶屋の女、洗濯婆、、みんなワケありで、それぞれに愛の葛藤を抱えていてさ。犯人はてっきり。。。っていう読者の驚きをしっかり誘導する筋もいいし、江戸という時代ならではの、身分差、性差別、こういう不条理を抱えて生きた女性がいたんだろうなあというドラマ感もあり。1冊ですっきり、ほろりとさせつつ皆の伏線をきれいにほどいて終わるかんじもすごくよかった。1つの事件、ひき込まれる展開、脳内に描きやすいキャラの立った登場人物、ドラマティックな場面も多くて、読み応えありでございました。満足&オススメ!

  • 格好の良い環の今後が楽しみ。お唄さんも子供と幸せになってほしいな。

  • 表紙が素敵。

    亭主を殺されて下手人を暴こうと躍起になる女将 環の元に それぞれ事情を抱えた三人の女性が集まる。
    みんな それぞれ罪をおって それでも頑張って生きてて…
    たくさん苦労してきた過去がある分 サバサバ生きててかっこいい!

    どんどん真実が暴かれていくにつれて どうなるの?!とハラハラした。
    うーん、すごいな 西條さん。
    今まで良い人!と思ってた人が悪者だったり、悪者だと思ってた人が良い人だったり。

    しかし新堀さん なかなか粋だなぁ。
    源治は最低な奴だなと思ってたら 父親に殺されそうになったという悲しい過去の持ち主で 自分も子供に暴力を振るってしまうんじゃないかもいう恐怖心から妊娠した妻のお腹を蹴って流産させてしまって…
    暴力って連鎖するというけど 本当に悲しいなぁ。
    今度は過ちを犯すことなく 産まれた子供を愛でてくれるといいな。

    環はきりりとした良い女性なのに幸せになれそうにない…切ない…

  • 予想外の結末にビックリ。
    それぞれ形は違うけど、この物語に出てくる4人の女性たちはとても強くたくましく、そしてちょっと切ない。
    そんな4人が力を合わせて追い詰めた下手人があの人だったとは意外でした…
    ただのハッピーエンドじゃないところが良いのかも。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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