- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569837024
作品紹介・あらすじ
家族との別離、女優への第一歩を踏み出したとき……本はいつでも隣にいてくれた。本をとおして人生を見つめ直す珠玉の読書エッセイ。
感想・レビュー・書評
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本に向き合うことは、個人的な体験となる。自分で読んで、自分で想像する。こんな風に、本当の出会いを語ることができる著者がスゴイ。言葉の選び方が優れている。人生の変わり目の中で、本があったことをさりげなく語る。本が、まさに、著者の伴走者のように書かれている。
子供の時から、「おとなの私」になるまでに、出会った本たち。成長する時には本があった。
両親の離婚。父親につくのか、母親につくのか?その時に、屋根のない家を選ぶのか、壁のない家を選ぶのかの選択だったという。そして、たくさんのきらめく言葉が浮かび上がる。
わたしは捨て子だった。家なき子。
倚りかからず。しかし、椅子にある背にもたれていいんだよ。
大阪人は、アホを演じることができる。
愛を引っ掛ける釘があり、サヨナラにサヨナラする。
生きていく上では、笑いという自家発電を持つことだ。
変わらない過去ではなく、刻々と変わる不安定な現在に向き合う。
今という時代は、あらゆる時間が積み重なったもの。
生きることは切実なことだ。
砂糖の効いたあんのしっかりした甘さ。あんぱんは今日のわたしを励ます。
絶望して初めて欲望を自覚した。
何が正しいかわからなかった。赦しがたいほどの嫌悪感。
わたしはわたし以外になれません。
ひとりでいたいのに、ひとりでいることはとてつもなくさびしい。
帰るところがない。自立心が芽生える。
そろそろ夕飯だから、降りておいで。
一つの道を選ぶことは、他の道を捨てることだ。
何の夢も希望もない現状から逃げたかった。
本は自分をはかるものさしだ。
愛することは技術である。
どんな大きな画も、白いカンバスに最初の筆をおくことから始まる。
ぼくにとって、あきらめきれない人だから。
本は逃げるための手段で道具だ。使い方は、自分次第でいつだってページを開いた人の味方になってくれる。
ふーむ。言葉の切れ味が実にいい。言葉を感情という研磨機で磨いている。素敵だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分のエピソードと絡めて本を紹介していくスタイル
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2022.11.04 図書館
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中江有里さんにとっての特別な本が、それを読んだ時の自分の状況などと共に紹介されている。かなり赤裸裸に語られているという印象。「本の本」であるけど、自伝としても面白い。
かつて週刊ブックレビューはたまに公録をしており、近くのホールなどに来てくれないかなと楽しみにしていたけど、ついにその機会はなかった。週刊ブックレビュー復活希望。 -
ブックガイドというよりは、著者の来し方を綴ったエッセイ寄り。人生の節目節目を綴りつつ、そのときの心境に応じた書物を紹介する、という体。同じ形態のものとしては、又吉の読書案内が頭に浮かぶけど、個人的には後者に軍配。芸能人としての思い入れは、両者ともにそれほど無いので、大した差はないものと考える。とすると、当方の読書欲求の喚起力の違いが一番大きい訳だけど、語りの妙というか、心に響く部分が、本作には乏しかったということでせう。
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知的コメンテーターなイメージだったけど、孤独な努力家だったんですね、中江有里さん。
来月講演会を聞きに行く機会があるので読みました。 -
この方の人生と読書歴がよく表されていた。興味深くずんずん読んだ。素晴らしい記憶力(子どものころ読んだ本など)と文章力・表現力お持ちなのだなあと思った。
◆読みたいと思った本
種村季弘「雨の日はソファで散歩」
北條民雄「いのちの初夜」
高倉健「あなたに褒められたくて」
エマニュエル・ボーヴ「ぼくのともだち」
など -
読了。
あまり気にしたことのない女優さんだったけど、人の本棚を見るのが好きなので、図書館でジャケ借り。
とても表現力のある人だと感じた。文章も素敵で読みやすかった。
こういう本を読む度に思うけど、紹介している本と自分が経験したことを絡めて文章書けるってすごい。
一見どこが?と思うような出来事と絡んでいたりする。構成する文章力に長けているんだろうな。
他の著書も読むと思うし、これからは出演している番組も目にとまると思う。
(180216)