オウム死刑囚 魂の遍歴 井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569841373

感想・レビュー・書評

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  • 書店で見た時に仰々しいタイトルと厚みにたじろぐも直感で購入。オウム事件の調書ではなく一人の人間、一つの家族としてオウムにどう向き合って来たかのかが井上死刑囚の手記と家族の話、実際の証拠を基に紡がれていく。ひた向きな家族の想いと、ワンマン組織の極地であるオウムの狂気が描かれている

  • 井上は殺人・犯罪に関与していない(避けている)

  • 自分も陥っていったかもしれない物語として読む。
    再審請求中に死刑が執行されていることには戦慄。もし自分が無実の罪で捕まったら?こわ。

  • 門田隆将さんの著作はいつも唸らされる。
    文章がそんな上手いわけではないと言うか、好きなものではないが、朴訥で、取材対象にグリグリ食い込んでいる。物凄く情緒的な一方で、どこかで一歩引いた感じ。

    オウム、井上義啓。

    天才だな。
    素直だな。
    いいやつじゃないか。

    だからこそ、道を踏み外した。

    ぼくだって、昔ムーを愛読していた時期があり、路頭で宗教屋と議論したこともある。
    人ごとではない。

    驚いたのは、オウムはこんなに急速に変わったのかと。

    洗脳の怖さ。心理学のキーワードでもかなり理解できる。

    後半、むしろそっちに目を奪われてしまったのが、裁判の過程、検察の無恥と、控訴審以降の余りの酷さ。
    死刑執行については、そりゃ確定してるんだから、法律がある以上当然だろうと思ってはいたが、再審手続きが進んでいたことが、あまりに大きく目の前に迫ってきた。

    マスコミは、報道しない。追求しない。

    いろんなことを考えた。

  • ・仮屋さん拉致の時の警察がクズ。このこともっと追求したのだろうか?地下鉄サリン防げたんじゃないの?
    ・再審請求中の人を死刑って。法務大臣全く精査していない。法務大臣と取り巻きがクズ。
    マスコミが作り上げた井上さんとこの本に出てくる井上さんは全くの別人。真摯に向かい合って助けてあげたいと思った人たちに感心する。この本もっと皆に知って欲しい。

  • 井上元死刑囚が純粋で心優しい人間として描かれている。他の本の記述から受ける井上元死刑囚の印象と違いすぎて少し違和感を感じる。かなり好意的に色々解釈しているのだと思う。
    昨年までは生きていた人間でさえ、こんなにも受ける印象の異なる本が出てくるのだから、歴史上の人物の、行ったことはともかく、性格を後世の人間が正確に把握することは不可能なのだろうなと思った。

  • 今更、オウム本かと思ったが、ノンフィクション作家門田氏の作ということもあり、手に取ってみた。
    真摯に生きようとする若者が洗脳され、疑問を抱きながらも組織から逃げられず、結果として大罪を犯す。悔い改めながら生を全うしようとする姿が実に丁寧に描かれている。
    多くの被害者を横目に、彼自身を被害者というのは憚られるが、きっと違う生き方があった筈だと思うと同情を禁じ得ない。
    昨年7月の一斉執行に国家の強い意志を感じたが、再審請求の最中であったとは、見せしめのような国策捜査と死刑執行だったのだろうか。
    多作の著者ではあるが、井上死刑囚本人や家族と親交を結び、これだけの取材をこなした上で500ページもの大作を著したことにも敬服する。

  • オウム死刑囚井上嘉浩氏について。読めばわかるが彼は死刑ではなく無期懲役であるべきだった人。日本の裁判の理不尽さに驚愕する。と同時に、これだけ知的で真面目で純粋だった若者を心酔させ間違った道に導いた麻原彰晃の罪の大きさに今更ながら震撼する。

  • 前書きにもある通り、門田作品初の加害者サイドのノンフィクション。これを超えるノンフィクションに今後あえないかもと思わせる、井上嘉浩&門田隆将の合作ともいえる魂の書。読めば読むほど落涙を禁じ得ない。井上の悟りの極致ともいえる「自分自身の内側に宿っている仏性こそが究極の真理」の件には魂を揺さぶられるほどの感動を覚えた。一人でも多くの方に読んでほしい作品です。

  • オウム真理教の教団幹部のうち最も若い井上嘉浩の評伝である。私はこの著作が世に出された意味は大きく3つに分かれると思う。
    1. 井上の手記の公開と彼の知られざる人生
    2.井上が関わったとする犯罪行為の情状酌量部分
    3.井上から見たオウム真理教の教祖、麻原の新たな実像

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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