売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する (PHP新書)
- PHP研究所 (2019年10月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569843995
作品紹介・あらすじ
売らなくてもいい、稼げばいいのだ――。間違った売り方を一刀両断。豊富な具体例とマーケティング理論で、失敗しない売り方が分かる。
感想・レビュー・書評
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【売ってはいけない】
ビジネス書籍を読むときの目的は2つ。
1) 課題事前にあり。その課題解決のため。
2) 課題設定必要あり。その情報収集のため。
例えば、内部監査、SDGs関連は1)。具体的は範囲が定まっているパターン。
今回は2)。自社のセールス&マーケティング活動を外部と照合したかったため。
【書籍を選択した理由】
巻末の通り参照文献が多い。一つの事例(状況、課題、解決、効果)が2ページ程度に要約。そして、その事例数が50社近く。照合する数が多いということは、客観視できる対象が多いということ。
【タイトルの意味】
どの書籍にも記載のマーケティングの共通事項・鉄則。
①見込み客は御社のサービスを購買しがたっていない。
②見込み客は、状況を解決し、業績を向上させたがっているだけ。
③見込み客は、その解決に役立つ製品ならば購買するし、そうでなければ購買しない。
④自社の製品の「良いですよ。・・・ができますよ」は、機能・スペックの説明である。見込み客の多くはそれを求めていない。
【読み終えて。再認識できたこと】
売ってはいけない=人件費が無駄になる見込み客の条件とその除外は、
受注率向上に役立つということ。
1) セグメント。
絶対に売れないセグメント。
BtoB製品で¥が高い場合は、売上規模、利益規模でのセグメントが大切。
2) 業容。
売上計画・目標が保守的な企業はいったん外す。
理由は、チャレンジが少ないため、投資も少ないと考えるが論理的。
3) 初回商談。担当者役職。
相手が役職無しの場合は、商談1回ロスになる可能性がある。
部下が上司を次回商談で紹介するは、部下が上司に説得できることが要件。
ゆえに、部下からしたら「面倒なこと」だから。
【書籍記載の事例と役立つかもの理由】
1)串カツ田中
全席禁煙。家族を主要ターゲットに。
幼少期/子供の記憶→大人になっても串カツ田中へ。
2)アイリスオーヤマ/精米事業
一般的;大量精米・大量出荷→鮮度落ちる。
アイリス;直前精米・少量出荷→鮮度維持→味・¥にこだわる客から支持。
3) ジャパネットタカタ
製品点数を半減。バイヤーの商品知識・負担を下げる。
業務効率。目にみえない人件費の効率化。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現状の新しいタイプの店舗を知った。GUの試着のみの店舗にして接客対応のスタッフを増やすという仕組みの発想は面白いと思った。これは電気屋さんでもやってほしいと思う。家電についてわかりやすく聞きたい。今は忙しそうで話しかけてくるなくらいの対応だから。商品が届くのは後日でも全然良い。サービスに集中してほしい。
新しいアイデアによる商品の開発の期間は短く、どんどん新しいモノができる現状では、ビジネスモデルは商品の値段を安くしてたくさん売るよりことよりも、高い価格でも少し購入されるビジネスモデルの方が商品は継続して売れる。 -
永井さんの『100円のコーラを1000円で売る方法』が面白かったので、別の本も読んでみた。
有名なはずの、ネスカフェアンバサダーの仕組みをちゃんと分かってなかったことに気がついた。
食品業界の巨人のネスレであっても、日本のオフィス向け市場では業界1位のユニマットに全く敵わないことを冷静に捉えた上で、販売チャネルを潜在顧客(いずれは信奉者)に任せる、という大胆極まりない策が見事。マシンの営業マンからは『なんで只で配るんだ!営業妨害すんな!』と猛反対があったようだけど、オフィスでよかったので、我が家にも欲しい、という相乗効果の方が大きかったよう。
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マーケティングの基礎的事項をさまざまな事例とともに解説した一冊です。実際の世の中の事例が題材になっていますので読みやすいです。
肝心のマーケティングに関する知識については話しとしてはアタマに入ってきますが、実務レベルで使いこなせるかどうかはまた別かもしれません。アタマのなかでモデル化し、現実世界に適用できるかどうかが鍵かと…。
ただ紹介されている事例いずれも、多少の後付け感がなくもないかなと感じます。成功したからこそ●●がうまく機能した、という説明が可能ですが、失敗事例も多数あるはずですし、同じことをやっても必ずしも100%再現性があるとも言えないのではとも思います。このあたりが難しさなのでしょうかねぇ…。
タイトルの「売ってはいけない」はまさにマーケティングの要諦である「売らなくてもモノが売れるようにすること」の意ですね。決して品質に問題がある製品を「売ってはいけない」の意ではないのでお間違えなきよう。 -
売ってはいけない(販売至上となってはいけない)ケースを取り上げて理由を解説し、どのようにすれば売れるようになるかを紹介している。
事例→考察→要点の繰り返しで、テンポ良く読める。事例の深掘りはなく(例えば内部環境・外部環境やチェンジマネジメント)、ライトに読むもの。
危機に瀕した企業ほど、マーケティングの改革が進んでいる。
■マーケティング
ドラッカーは「マーケティングの究極目的は、販売を不要にすることだ」という。
■「購買階層」という製品進化モデル
顧客がなにを重要視するかは、製品の進化(普及段階)によって変わる。
・機能→信頼性→利便性→価格
■コアコンピタンス
コア技術×顧客のメリット
■サウスウエスト航空のサービスプロフィットチェーン
従業員第一主義。「社員が職場で楽しく働けて、会社を愛しているという文化さえあれば、最高の顧客サービスを自然に提供できるようになる」
■売ってはいけない相手を見極める
1.ベストな顧客名をリストする。
2.最悪な顧客名をリストする。
3.ベストな顧客の特性を把握する。
4.最悪な顧客の特性を把握する。
5.理想的な顧客のプロフィールを決める。
■コンサル会社での理想的な顧客のプロフィール
1.ビジネスの課題・求める成果・参加者・時期が明確かつ具体的であること
2.会社を対等なパートナーとして評価していること
3.経営トップとの関係を構築できること。
これを確認するために、依頼の理由や課題、成果を確認している。
■カスタマーサクセスという考え方
カスタマーサクセスの役割は、主に法人顧客を成功に導くこと。契約した顧客を常にフォローし、顧客自身が気づかない課題を先回りして発見し、解決策を提案する能動的な仕事である。解約率ゼロを目指して顧客生涯価値の最大化を図っていく。 -
【本書で言いたいこと】
★販売至上主義からマーケティング発送へ
【本書のポイント】
❶言葉や情報を盛ると、売れなくなる。
→ハヅキルーペのCMはシンプルなのに伝わる
→ iPod「iPod。1000曲をポケットに」
★本質を考え抜き、シンプルな言葉で伝えること
❷サブスクは売ってからがスタート
→売ろうとしてはいけない。
→サブスクを使い続けてもらうためには、打った後も継続した努力が必要なのだ。 -
100円のコーラを7100円 同じ著者
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平易でわかりやすい。日本が負け続ける理由もわかる。
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マーケティングの究極の目的は、販売を不要にすることだ。
ネスレ=アンバサダーの仕組みで社内に売る。
GUスタイルスタジオは試着のみで、販売はネットに注文。サンプルだけあればよいので店舗効率がいい。
「蔦屋家電+」=大人版王様のアイデア。
「文喫」入店料が1500円かかる。コーヒー無料。休日は待ちが出る。
必要な個数よりひとつ少なく、が理想。供給過剰にしない。
ピニンファリーナは、設計生産委託会社だった。フェラーリの量産車を作った。
フェラーリは、希少性を売っている。
ラクサス=バッグのサブスクリプション。クレーマーは顧客にしない。そのかわり安くした。
ブックスキャンもクレーマーを断り、そのかわり安くしている。
吉田カレー=お客を選ぶ、子供お断り、気に入らなければ売らない。
BATNA=交渉が成立しなかったときの次善策。断るという選択肢を捨てない。
理想の顧客を見定めて、それ以外の顧客は断る。
内発的動機付けで働く=外発的動機付けがあると、弱まることがある。
サウスウエスト航空は、従業員第一主義、顧客第二主義。
買う理由は4段階で変化する。
1、機能、2、信頼性、3、利便性、4、価格。
だんだん価格は下がる。
山奥の温泉旅館で刺身が出るのは、地元では高級料理だから。地元の山菜は出ない。
特産品では観光客は来ない。顧客目線が欠けている。
ウォールマートが出店したら、ウォールマートに置いてあるものは置かない、スタイル。
イオンで買える野菜は置かない、八百屋。
ジャパネットたかたは、商品数を10分の1にした。
顧客ロイヤリティーが高い客だけを集める。他は断る。
「でんかのヤマグチ」の戦略。優良顧客だけに絞って、御用聞きをする。
カスタマーサクセス=法人営業で顧客が成功させること。セールスフォースドットコム。
プロモーションで伝わらない言葉=私たち、違い、ソリューション、クオリティー、テクノロジー、最上級の形容詞、本物。これらの言葉を使わないで以下に伝えるか。
セグウェイ、プレミアムフライデーは、どんな問題解決ができるかわからないので失敗した。
ペイパルは、Ebayのパワーユーザーに使ってもらうことで、浸透した。
製品開発ではなく、市場開拓するために、製品を作る。
古い業界こそチャンス。伸びしろの塊。
串カツ田中が全面禁煙したのは、子供を呼び込むだめ。そのほうが将来顧客が増やせる。一番大事な顧客はだれか、を考える。
すべてのお客さんに売ろうとしない。徹底的に絞り込む。
座談会では本音は出ない。ヒントは少数意見の中にある。多数の顧客は捨てる。ヒット商品は潜在的なニーズの中にある。
デザイン思考の出発点は、「顧客は何がどう悪いのかを説明できない」ということ。潜在的ニーズをどう発掘するか。観察してアイデアを出す。
フォロワー戦略も立派な戦略。製品サイクルは50年で1 /5になった。そうすると、フォロワー戦略は取りにくい。
ヤフオクとEBAY。フォロワー戦略は成功しなかった。
googleはフォロワー戦略で成功した。ネット検索はアルタビスタというサービスが最初だった。
目新しさでは売れない例=透明飲料。飲み物の色もプランド。コカコーラクリアライムはどうか。
3Dテレビも売れなかった。目新しさだけで面倒。
変なホテル=変とは変わり続ける、という意味。
トリダス=もも肉の骨を外す機会。
星野リゾート=売れる価格ではなく、売りたい価格で売る。
低価格で売るなら、やめること、を決める。
レッドオーシャンとは、サメが獲物を食い合って真っ赤にそまった海のこと。
低価格か高価格か。迷ったら高価格戦略。
低価格と大量販売で成功できるのは、業界で1~2社に限られている。
鳥貴族は6%値上げで撃沈、qbハウスは11%値上げで客離れが起きなかった。=市場の競争の激しさが違う。
サブスクリプションは、選択の苦痛、を減らすことがひとつの利点。売ってからが勝負=長く使い続けてもらうために。
失敗の反省をしっかり行う。ファーストリテイリングは生野菜販売、スポクロ、ファミクロなど、多数の失敗を反省している。
大阪の太陽パーツは、大失敗賞がある。失敗を認める風土が必要。 -
ありがちな美辞麗句で飾って売り急ぐ営業を諫め、売ること以外のマネタイズも考慮する。B2Bなら成長志向型とトラブル型など顧客を選ぶ。顧客目線で強みを発掘し顧客を成功に導く。共感を生み出せ。製品を開発するのではなく顧客を開発する。等々、示唆に富んだお話が事例をまじえて分り易く語られています。「製品を開発するのではなく顧客を開発する。」という一節が特に刺さりました。