誤解しないための日韓関係講義 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569851402

作品紹介・あらすじ

韓国の平均賃金はかなり前から日本を上回っており、日韓の一人当たりGDP(PPPベース)の差は近い将来5000ドル近くにまで達するという予測がなされている。日韓関係を正しく理解するためには、まずこうした逆転現象が起こっている現実を知らなければならない。そして「日本の韓国統治は植民地支配ではなかった」「韓国の反日意識を生んだのは反日教育」といった思い込みは改めたほうがいい。
日本を代表する韓国の研究者が、精緻な論述と豊富なデータで日韓関係を明快に論じ、さらにいま韓国で焦眉の急となっている、不動産問題や就職できない若者の問題について解説する。

■ステレオタイプな日本の韓国認識 ■なぜ大統領のレイムダック現象が生まれるのか■日韓の賃金を比較する ■「日本は韓国を植民地支配していない」は本当か ■反日意識を生み出したのは反日教育か ■アジア通貨危機による大規模な改革 ■やがて日本を追い抜く韓国の高齢化

感想・レビュー・書評

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  • スッキリ

  • 読みやすくわかりやすい文章だった。
    特に、国と国の関係を安全保障と経済に分けて考えるパートが面白かった。

  • 東2法経図・6F開架:319.1A/Ki39g//K

  • p78 他民族支配型植民地 少数の宗主国人が圧倒的多数の現地の先住民を支配する イギリスによるインド支配、オランダによるインドネシア支配

     移住型植民地 宗主国の人々が多く移住した結果、もともと住んでいた先住民が圧倒的少数派に転落した植民地 カナダ、オーストラリア、アメリカ

    p84 16-17世紀のスペイン、ポルトガルの植民地支配と20世紀のそれとは異なる
    我々が植民地支配を考える時、19世紀末から20世紀のことしか考慮しないのに、欧米諸国のそれはを考えるときにはm16世紀や17世紀のことまで含めて十把一絡げに議論してしまう カナダ、オーストラリアを忘れてしまう

    日本は欧米の植民地支配を模倣した

    p100 植民地支配とは、宗主国が現地に済む人々に、本国に住む人々と同様の法律的権利など与えないまま行う支配だから、現地に済む人々が不満を持つのは当たり前である

    p106 日本人と朝鮮半島の人々が交渉する機会は失われた
    朝鮮半島における日本の植民地支配終焉が、朝鮮半島の人々の手による独立運動の結果としてではなく、第二次世界大戦における日本の敗戦と、連合国の要求による朝鮮半島放棄の結果として実現され、その結果、両国が直接植民地支配の処理について話し合う場が、すぐには設けられなかったからである

    1965 日韓基本条約
     日本が東京五輪を開催し、復興した頃

    p109 1992年まで韓国は日本と同じ立場をとっていた

    p116 外交は国益のためのものであり、各国がそこにおいて取ることができる手段は、時々の国際社会の状況によっても大きく制約されている。だから、政治的指導者や国民の好みによってその方向性が自由に変えられる訳ではない。我々は自国の動きを考える上では当たり前にりかいできるこのことを、他国の動きを考えるときには見落としがちだ

  •  著者の旧著『朝鮮半島をどう見るか』を彷彿とさせると思いながら読んでいたら、著者自身あとがきで、その本が叩き台だと述べていた。
     普段から著者の言説に接していれば目新しい内容ではない。著者はステレオタイプな韓国観を戒める。韓国経済は別に危機に瀕していない。経済成長率はこの40年間日本を上回り続け、今や実質平均賃金も韓国が上。「植民地」を本土から明確に区別され異なる法律によって支配された土地とした上で、日本の朝鮮統治は同時代の他の植民地統治の態様と変わらず。現在の歴史認識問題の要因は、脱植民地プロセスが日本の敗戦と連合国により行われたことや、経済面、冷戦の終結、韓国のグローバル化、中国の台頭など様々な点で日本の重要性が低下し、鎮火活動が行われなくなったこと。日韓関係は与党や大統領の支持率に影響を与えない。不動産問題や格差、高齢化が韓国の問題。
     「反日を煽る文在寅」「日本は韓国を植民地支配していない」などと単純化された韓国観を持つ人にこそ読んでほしい本だ。

  • 韓国社会の現状についてがわかりやすくまとまっている。日本メディアを通して見る韓国はどうしても曲解されがちで本当の姿を知ることは難しい。だからこそ学術的なソースからもこういった知識は得たい。

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著者プロフィール

神戸大学大学院国際協力研究科教授

「2022年 『誤解しないための日韓関係講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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