- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569901107
作品紹介・あらすじ
全国を巡る「出張占い日本茶カフェ」。その店主のお茶を飲むと、不思議と悩み事を相談してみたくなる。心が温まる連作短編ストーリー。
感想・レビュー・書評
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トランクひとつと愛猫を連れて全国を巡る出張カフェ。
水も茶も現地調達で、器も出張先のギャラリーのを使用すれば売り上げにも繋がる。
そして、お茶菓子もその土地ならではのものならお客様からも馴染みがあって、気軽にお茶していただける。
しかも悩みがある人ならば、たんぽぽさんの占いまで…。
心がほんのり温かくなる癒し系、全6話の連作短編集である。
お茶といっても難しい作法はなく、気軽に美味しく楽しんで貰えれば…というのが、肩が凝らなくていいのかもしれない。
ところどころに小噺もあったりするのも和む。
そして、なんといっても各地のお茶を知ることができるのは興味深い。
最終話では探し求めていたものが…。
『現代の売茶翁』、お茶に真摯にに向き合い心から寄り添いながら接するからこそ、茶が、器が、手元に届いたのかも。
ーーーーー本文よりーーーーー
お茶は誰の暮らしの中にも当たり前のように存在しているものだ。それだけに見過ごされることも多い。
でもお茶は入れ方ひとつで味が大きく変わったり、産地や製法の違いで楽しみ方も違う。
味わいだけでなく、心をほぐす力もある。
あって当たり前のものだからこそ、主役になることはなく、控えめに、でも確実に誰にもでもよりそうものになる。
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日本茶の出張カフェ、タロット占いつきというコンセプトは面白いですね。フリーでこうやって得意を仕事にするって、今時っぽくていいですね。
一話目が福岡舞台で興味をぐっと惹かれたのは、わたくしの個人的な事情。八女市星野村の茶の文化館にも行ったことがあるので、ちょっと心をつかまれてしまいました。
お茶といっても玉露や煎茶、そして茶器、落語までうんちくがいっぱいつまった本でした。あまり知らない世界なので、興味深かったです。お抹茶を使用したいわゆる茶道については文章で読むことがあっても、玉露煎茶はあまりなかったので面白かった。
一話ごとに登場した茶葉や水、茶器について、扉頁に記されているのがよかったです。なんというか、SNSとかでこだわりのある人が投稿した美しい写真のような感じでした、全体的に。好きな人にはたまらないだろうし、作者のひとつひとつの物へのこだわりが感じられます。
ただ、小説としてはどうかな。色んなうんちくを詰め込みすぎだし、やはり誰にも感情移入できない。表面的な感じが否めません。実際の暮らしだったらこういった表面的なことって往々にしてあると思いますが、小説なので、読み手の感情が動くようにもうちょっと背景が見えたり、人物に深みがあって欲しいなと個人的には思いました。最後の短編なんかは、もっと深く掘り広げられたらよかったのに、とちょっと惜しい気がしました。
やっぱり私には合わないかな、という感じです。
読書の記録をつけだして、昔より絶対的に読書量が増えたということもあり、合う・合わないが割と自分の中ではっきりしてきました。(でも、借りたりするとありがたく何でも読んでしまいますが・・・)
短編集とか、こういうほっこり系の作品を続けて読んでいると、ぐっと濃い物語や、読んでいてうっとりするような日本語の本を読みたくなってきました。
今回も辛口レビュー。申し訳ございません。 -
『出張カフェ承ります。どこへでもお道具ひとつで参上します。』
日本全国津々浦々を愛猫と共に旅をする主人公、如月たんぽぽ。
出張カフェを営みながらその先で彼女もある物の行方を探す。という物語でした。
6話、話が収められているのですが、1話ごと始まりのページにその話に使われる、茶、水、菓、器が書かれています。それを見るだけで「わくわく」して、話を読んで「うきうき」しました。
詳しくはないけれど、どれも興味があるものでした。
そして、「占い日本茶カフェ」なのでタロット占いのことも書かれています。
また、話の途中で父親が好きだった落語の小噺も出てきました。
色々とてんこ盛りの感じがしましたが、面白かったです。
続編が出たなら読んでみたいと思っています。 -
#標野凪
著者の標野さんは福岡で開業し現在は東京の現役カフェ店主らしい。薬院文月や喫茶ドードーの本は図書館予約待ち長いのでこちらを試しにお取り寄せ。
出張日本茶カフェを営む主人公たんぽぽさんと飼い猫のつづみ達に同行して旅気分で読める。
現地の茶葉に水、菓子や器も土地のものを用意し、依頼主さんとの希望を聞きつつ占いや迷い猫カードも活用して楽しいひとときを演出。行く先々でのたんぽぽさんと触れあう人たちの笑顔や、気持ちがリセットされて前向きになる様子が自分にも波及されるよう。
売茶翁について、栄西のお茶に関する日本最古の本『喫茶養生記』を記し喫茶文化を広めた功績、日本の最北のお茶は茨城県の奥久慈茶や新潟県の村上茶、製茶の最北だと手摘みは秋田県檜山茶など様々な産地があること、緑茶は摘み取ってすぐに熱処理するが紅茶は摘み取ってしばらく酸化させて加工など、豆知識が随所にある。
星の文化館、不老水、背振山、有田焼、小石原焼など九州ではなじみのある場所が触れられていてワクワクする。
文中に紹介の和菓子、鶏卵素麵、霜ばしら、若草、山川、奈良饅頭がどれも美味しそう。
器探しまでの謎解きと祖父母夫婦への曾祖父との思いをたんぽぽさんが届けるところで終わっているが、続きがありそうな余韻。
ま 廻り道
よ 寄り道もまた
い いずれをも
ね 願いにつながる
こ 古都の春の日-
初めましてm(._.)m
ベルガモットさんフォローさせて頂きました。
小説が好きでブクログに入りました。分野は雑食系です!わからないことがあ...初めましてm(._.)m
ベルガモットさんフォローさせて頂きました。
小説が好きでブクログに入りました。分野は雑食系です!わからないことがあると、まことさんにお世話になっている私、影響を受けたようで最近短歌を楽しいと感じています。初心者の私、どうぞよろしくお願いします!2024/04/19 -
アールグレイさん、はじめまして。コメントありがとうございます!
たくさんのいいねとフォローも嬉しいです!
まことさんに私もいろいろ聞いて...アールグレイさん、はじめまして。コメントありがとうございます!
たくさんのいいねとフォローも嬉しいです!
まことさんに私もいろいろ聞いて情報共有しています♪
ぜひぜひ一緒に短歌を楽しみましょう!
アールグレイの紅茶大好きです♡
こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。2024/04/20
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標野凪さん2冊目。本作の前に読了した『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』は、カフェを営む男性オーナーが主人公だが、本作は、東京を拠点に依頼を受けたら全国へ茶器や茶葉を持ち出張する日本茶屋さんの女性が主人公。福岡、仙台、東京郊外、鳥取、奈良、静岡のお寺や古民家、ギャラリー、ホテル等々に出張し、依頼主やその土地の人々などと交流する様子が描かれている。ハチワレの飼い猫を相棒に連れているのも微笑ましい。標野さん自身がお茶の店の経営者で、出てくるお茶や茶器の説明はとても詳しい。また、出張先の土地のものを使うスタンスでやっているので、茶葉のみならず、お茶菓子やお水、道具等にも少し詳しくなる。個人的には奈良の「和紅茶」にとても惹かれた。出てくる人たちが皆良い人たちでなんとなく『孤独のグルメ』に雰囲気が似ていた。日本茶やお寺、日本各地の土地に根付いたものという要素に触れ、何とも言えない落ち着きを感じる自分は、やはり日本人なのだなあと感じた。そして、標野さんの営む実在のお茶屋さんにはいつか行かねばという思いを新たにした笑。
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すごい!素敵な小説に出会えた。
読んでる途中で既にもう一度…いや何度も読みたいと思わされた。
愛猫つづみを連れ日本全国のイベントやギャラリーに出向く出張占い日本茶カフェ「迷い猫」を営む如月たんぽぽ。
タロットカードを使った占いとご当地のお茶とお菓子を提供しながら訪れる人達の心を癒し、導いてくれる。
日本茶、器…もうこの響きに完全に心持っていかれました。
お茶のあれこれも沢山知れて(^^)
大好きなものオンパレード!
たんぽぽや家族、友達、各地で出逢う人々…皆魅力的で読みながら自分の心の雑念や汚い部分が清められ、スーッと浄化された気分になる。
たんぽぽさんが入れてくれたお茶を味わいながら(実際は自分で淹れたお茶だけど)本書に浸れました。
最後は家族それぞれの想いが心に響く。
読み終えるのがもったいなくてゆっくりゆっくり味わいながら…あー、もう読了しちゃう〜…と思ったら…きっとこれ続編あるよね!って喜び爆発(^.^)
何度も読み返したいし、続編に期待大!
楽しみに待っていよう!
特に旅が好きな訳ではないけれど本書を読んでいてなんだか知らない土地にふらっと行ってみるのもいいいなぁと思ってしまった^^; -
凄く好みの作品だった!
お茶と旅する物語
たんぽぽさんと猫のつづみくん、お茶を入れに旅出張
お茶に詳しくないとしても、その地域に寄り添ったお茶を丁寧に煎じてくれるから興味をそそられ楽しめる
地域差によってお茶の味がどのように違うのか、それらがすーっと伝わってくる
緩急の激しい物語でないからこそ、お茶を飲むようにホッと一息
お茶と共に、悩み事もゆっくりゆっくり中和させてくれる
本当にお茶には気持ちを落ち着ける力があるのではないかと思ってしまう
私もお茶に導かれ、久々に温かなお茶を入れて飲んでいた!
お茶は身近なものだけど、だからこそなかなか自分で入れることってないんだなとしみじみと感じられる
私もたんぽぽさんの入れたお茶を飲んでみたいなー!
甘みのあるお茶ってどんな感じなのだろう
新茶のお茶に興味をそそられる -
日本各地を巡りながら出張カフェで出会う人々。
優しい人ばかりだけど、優しいからこそ悩んでいるような人たち。出てくる人みんな素敵。(ねこのつづみも!)
日本茶にも占いにもあまり興味は無かったが、作品の雰囲気がアッサリしていたので読みやすかった。 -
ほっこりする小説でした。
お茶に関する勉強にもなるし、主人公と一緒に旅をしてる気持ちになれました。